社会

グッド!モーニング

2025年12月29日 13:13

伝統技術「緞通」を刑務所で継承 受刑者の手織りじゅうたん 価格は10分の1

伝統技術「緞通」を刑務所で継承 受刑者の手織りじゅうたん 価格は10分の1
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 有名な絵画などのデザインを、手織りの絨毯(じゅうたん)として仕上げる伝統の技術があります。その最後の名人が亡くなり途絶えたかと思われましたが、その技術は刑務所の受刑者によって受け継がれていました。

伝統技術を刑務所で継承

 ここは、大阪府堺市にある「大阪刑務所」。今月、番組のカメラがその内部に入りました。目的は、刑務所内で行われているある作業を取材するためです。

 広いスペースの一角で、歌舞伎役者が描かれた浮世絵を見本に絨毯を作っています。これは、およそ200年前に生まれた「緞通(だんつう)」と呼ばれる堺市の伝統技術です。

約200年前に誕生「緞通」
約200年前に誕生「緞通」
大阪刑務所 「緞通」担当
作業専門官

「刑務作業の職業訓練として導入したのが始まり。(技術を)途絶えさせるわけにはいかないので、また後継者も育てていきたいなと思う」

 この「堺緞通」の技。かつては、町の多くの農家が兼業として営んでいました。

かつては多くの農家が兼業
かつては多くの農家が兼業
堺式手織緞通技術保存協会
西埜植俊成会長

「小さい頃から『緞通』を自転車で運んでいる方が、ちょくちょく、うちの町内では見ましたね。(音が)『ダンダン、ツーツー』と聞こえて『緞通』になった(という説も)」
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受刑者の手織り絨毯

1992年に最後の名人が亡くなる
1992年に最後の名人が亡くなる

 1992年に最後の名人が亡くなり、製品レベルの技の継承が途絶えてしまいました。その技術を唯一受け継いでいるのが、大阪刑務所です。

 ここは覚醒剤や窃盗など、再犯リスクの高い日本人や外国人の男性、およそ1200人が収容されています。

大まかなスケジュール
大まかなスケジュール

 受刑者の部屋にはテレビがあり、新聞を読むこともできます。一日のスケジュールを見ると、体育館で運動する時間なども設けられていますが、午前と午後で合計7時間ほどあるのが、刑務作業です。

 しかし誰もが緞通に関われるわけではありません。

作業専門官
「比較的『刑期が長い』のが第一。作業に対する『集中力』『手先の器用さ』『色彩感覚』そういったものが条件として考えられます」

 現在、この条件を満たしているのは3人だけ。うち2人は外国人です。

 緞通は、「トルコ結び」や「ペルシャ結び」と呼ばれる方法で、縦糸2本に色糸を結びつけ、はさみでカットしていく、とても手間のかかる作業です。

「緞通」外国人受刑者
「緞通」外国人受刑者
「緞通」外国人受刑者
「今ではもう18年ですね。少しでも売れたら、すごくうれしいです」

 一日に1センチほどしか進まない作品もありますが、機械では再現できないデザイン性と丈夫さが魅力です。

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名人技作品が10分の1価格

 今月、都内で開かれた「矯正展」でも、彼らの作った緞通が大きく展示・販売されていました。

「矯正展」
「矯正展」
来場者(70代)
「伝統工芸がなくなって、それを継承しているって。そこが私の一番のひかれたところです」
一般的な価格の10分の1ほど
一般的な価格の10分の1ほど

 受刑者の作業は人件費が発生しないため、価格は一般的な緞通の10分の1ほどと安くなっています。

 名人が消え、刑務所の中だけで受け継がれる緞通の技。この伝統は今後どう守られていくのでしょうか。

(「グッド!モーニング」2025年12月29日放送分より)

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