社会

ABEMA TIMES

2025年12月30日 11:00

次々と生まれる学校の「アイドル部」 現役生徒「応援してくれる日々がすごく楽しい」元アイドルが語るリスクと未来

次々と生まれる学校の「アイドル部」 現役生徒「応援してくれる日々がすごく楽しい」元アイドルが語るリスクと未来
広告
1

 長野日大高校に来年度からプロのアイドルを育成する「アイドル部」が創設されることがネットニュースとなり、話題になっている。教えるのはEXILEらが所属するLDHグループのダンススクール講師で、入部後にはライブ活動やメディア出演、楽曲制作など、プロさながらの活動が待っている。また、同じく長野県の佐久長聖高校では「学校公認アイドル」が活動しており、その本格的な姿も大きな反響を得ている。学業と両立しながら夢を追い、学校が安全面をバックアップするには、これからどう進めていけばいいか。「ABEMA Prime」では、現在アイドル部で活動する生徒、さらにプロのアイドルとして活動してきた経験を持つ人々とが、今後について議論を展開した。

【映像】佐久長聖高校・アイドル部「7限目のフルール」プロ顔負けのパフォーマンス

■「学校公認」で活動するスクールアイドルたちの現状

 実際に「学校公認」として活動する生徒たちは、その環境を非常に前向きに捉えている。北海道の星槎国際高校(旭川キャンパス)のアイドル部で活動するまいまいさんは、「プロデューサーさんはいないので、歌やダンスは全て私たちでやっている。地域のイベントを中心に出ているが、温かいコメントや応援をしてくれる日々がすごく楽しくてうれしいです」と、充実感を語る。また、同部のかななんさんは、「他の部活と変わらず、部費を自分たちで払って活動資金にしている。イベントの時に出演金をいただくことがあり、それも活動費に充てている」と説明した。

 佐久長聖高校には、アイドルとしてのスキルを学ぶパフォーミングアーツコースがあり、生徒は「7限目のフルール」で活動する。メンバーの竹内花春さんは、「マネージャーさんがアイドル経験者。1年生の頃とかは1限から6限まで普通科の授業を受けて、月曜日以外はレッスンや自主練習がある。土日はライブやイベントに出演するので、自分の時間がなかなか取れなくて試行錯誤していたが、学校の先生方も勉強をすごくわかりやすく教えてくださるので、勉強と活動を両立して高校生活を楽しむことができている」と語った。

 知らない多くの人の前で歌って踊り、ステージ外でもファンと交流する機会もある。「私たちのパフォーマンスを見て、笑顔になっている姿が見られた時や、特典会で『今日のライブ、すごく楽しかったよ』と言っていただけた時に、すごくうれしかった思い出がある。今は緊張しながらでもお話をすることができるが、最初の頃は初めての人と話すのがすごく苦手だった。この3年間でたくさんお話しする機会が増えたおかげで、初めての人や、テレビの場面でもお話をすることが得意になれた」と成長も実感している。

■アイドル経験者が語るメリットとデメリット

アイドル部の活動内容

 各所で増え続けるアイドル部に対して、芸能界でのアイドル経験者はどう思うのか。元SKE48でフリーアナウンサーの柴田阿弥氏は、人気グループに所属していた経験からリスクについて考える。「他の部活以上に安全配慮とガバナンスが必要。人前に露出することがある以上、アイドルは容姿の誹謗中傷をネット上でされたり、ストーカーや個人情報を特定されるというリスクが高まる。どれだけ学校がガバナンスと安全配慮をするのか。身体的にもそうだが、メンタル面も含めてそこの設計がうまくできていれば問題ないと思う。ただし1個(事件・事故など)事例が生まれたら、たぶん全国でなくなってしまう」。

 また元乃木坂46でタレントの山崎怜奈氏は、アイドル時代に自身が通う学校を明かしていかなったことに触れ「自分は大学の学部やキャンパスがバレるようなことは言わなかった。(アイドル部は)学校がわかっている以上、そこから家までついていけてしまうし、仕事場にも行ける。学校の送り迎えといっても、自動車のナンバーを控えられてしまえばそれまで」と付け加えた。

 さらに元アリス十番のメンバーで、現在は渋谷区議会議員、アイドルのセカンドキャリア支援「ツギステ」代表・橋本ゆき氏は「アイドル経験された方にも営業職、広報職、人事職、政治家として活動している人もいて、人に自分の思いを伝える、上手なコミュニケーションを取るための必要なスキルは、アイドル活動で培われる部分がある」と評価もする。

 反面、リスクについては「私自身もアイドル活動中に誹謗中傷をかなり受け、不安障害を患って通院してたこともあるし、殺害予告をファンから受けて警察に相談もした。こういうことは対症療法ばかりで、未然に防ぐことはそもそも無理な場合が多い。教育期間が提供している機会というだけあって、保護者の方も大丈夫かとみんな思っているところがある。本人も保護者も学校自体も、しっかりとマネジメントをすべき」と述べた。

■学校限定でのアイドル経験の意義

佐久長聖高校「7限目のフルール」

 「アイドル部」で、期間限定の活動を終えた後の将来について、出演者たちは「判断期間」としての価値を見出している。EXIT・兼近大樹は、「いきなりプロの、大人の世界に入れられるより、(部活動で)判断期間を設けた方がすごくいいし、広まってほしい」と、早急なプロ入りを避ける選択肢として推奨した。続けて「よくわからない大人と絡むことで、変な対象にされてしまったり、金銭的な面で取られてしまったりする。ちゃんとした大人がいるところで、ちゃんとした場所でやることはすごく重要だと思う」と、不安定なまま業界に飛び込むことのリスクを、むしろ学校のアイドル部が排除している点について指摘した。

 これを受け、山崎も「金銭が発生するような場所に最初から飛び込んでいくと、運営によってはトラブルの元になる。それよりは、確かに学校の部活動の一環として体験の場がある方がリスク回避としてはいい」と同調していた。 (『ABEMA Prime』より)

広告