上野動物園の双子のジャイアントパンダは、25日が最終観覧日です。記録を積み重ねてきた「飼育日誌」。現役職員らが番組の取材に語った秘話とは。(1月24日OA「サタデーステーション」)
■最終観覧日は応募倍率24.6倍
日本でパンダが見られるのも、あと1日。
「開園5分前ですが、 すでに大勢の方が並ばれていますね」
「(抽選)当たってないが、 近くで過ごしたいなと思って」
27日、中国に返還される双子のパンダ、シャオシャオとレイレイ。観覧できるのは、抽選に当選した人のみで、最終日の25日の応募倍率は24.6倍になりました。双子のパンダは、いつもと変わらない愛らしい姿を見せ、一挙手一投足に歓声が上がります。約1分間の限られた時間の中で、別れを惜しむ人たちの姿がありました。
「本当にありがとうっていう、すごい楽しい時間だったので、そういう気持ちです、今は」
「パンダさん、また来てね」
■現役職員ら語る飼育秘話
「上野といえばパンダ」。そのイメージを長年支えてきた“ある記録”があります。番組が今回、特別に見せてもらったのは…。
「ジャイアントパンダの飼育日誌です」
飼育員が毎日欠かさず記入するという飼育日誌。エサやフンの量、温度や湿度、そして1日の行動の記録が残されています。
「シャオシャオが授乳されているところに途中で合流して満足したシャオシャオにもたれかかる」
20年ほど前の記録でも、当時から分刻みで細かく記されていました。
「これだけの動物の観察状況、観察の記録を積み重ねてきたのは、他の動物ではほとんどないと思います。そういった意味で非常に貴重かと思います」
■パンダ初来日 当時は“未知の生き物”
元獣医師の成島さんも、飼育日誌を書いた1人です。成島さんが上野動物園に配属されたのは1972年。ジャイアントパンダのカンカンとランランが、はじめて日本にやってきた年です。2時間並んで対面はわずか50秒。それでも、馴染みのない白黒の生き物は、その愛らしさで一大ブームになりました。
Q.はじめて見てどうだった?
「かわいいと思った」
もちろん、当時の成島さんたちスタッフにとっても、パンダは未知の生き物でした。
「情報がほとんどなかったんです。当時は本当に日本語の本がなかった。外国の本を集めてきて翻訳するようにと職務命令が下った。大変な動物を預かったんだなと思いました」
その後、パンダの健康管理や繁殖プロジェクトに携わった成島さん。繁殖のため、オスのリンリンのメキシコへの“婿入り”に同行したこともあります。自然交配を試みましたが…。
「リンリン(オス)は結構シャイで、メキシコのメスと交配させようとしたが、メキシコは気が強い個体で、残念ながら人工授精になった」
繁殖や健康管理の難しさで知られるパンダ。成島さんにとっても、初めての連続だったといいます。
「犬や猫は症例がたくさんある。パンダやゾウもそうですが、1回1回が新知見な訳です。そういう難しさが野生動物を扱っているとある」
2021年、上野動物園で初めて誕生した双子のパンダ、シャオシャオとレイレイ。母親は1頭しか育てない性質を持つため、飼育員がもう1頭の“母親代わり”になる必要がありました。
「お乳を与える、それから保温はどうすればいいんだとか、技術的なこと、そういったことが必要になりました」
半世紀にわたり、守り続けてきた命。
「普通に健康に飼うというだけでも、ものすごく大変ですし、それを繁殖させる、子どもを産ませる、そして育てあげることも、ものすごく神経を使う、気をつかうし、大変な努力をしてきたんだなと思います」
■上野はどう変わる?54年ぶり国内“パンダゼロ”
パンダが姿を消し、転機を迎える上野。
「パンダを見に来たお客さんが商店街に流れる、こういう流れが理想的な姿です。だからね、この後が…」
実は過去にも上野は“パンダゼロ”を経験していました。2008年、リンリンが死んでしまった時のことです。
「(人が)全然いないですね。非常に景気が悪くなったら、やっぱりパンダがいないせいじゃないかと」
ただ調査では、上野を訪れる目的は「動物園」だけでなく「買い物」や「美術館」などもほぼ同じ割合に。
二木さんは、パンダの再来日に期待を寄せながらも、ほかの魅力にも目を向けていきたいと話します。
「(上野は)文化ゾーンとしては日本一最高な集約された凝縮されたゾーンだと思います。上野だけが持つオリジナル。この良さをやっぱり知ってもらいたいですね。この機会に」
■“アフターパンダ” 不在でどう集客?
“アフターパンダ”の観光をどう展開すべきか。そのヒントを求め、番組が向かったのは和歌山県白浜町。去年6月、アドベンチャーワールドのパンダ4頭が中国に返還されました。
「今はやっぱりちょっと暇になりましたね。回転が違うんですよ、タクシーの回転が」
白浜町にパンダがいた時の経済効果は、31年間で約1200億円。まさに、観光の柱でした。
■魅力を磨き新たな付加価値を
「(パンダ不在は)南紀白浜の魅力を伝える、そのあたりを考えなおす非常な大きな機会になった」
町が目指しているのは従来からある魅力のブラッシュアップです。
【魅力1 温泉】
実は白浜町、約1400年の歴史を持つ温泉地で、「日本三古湯」の1つにも数えられています。案内してもらったのは、宿泊施設や公衆浴場に供給されている源泉。
「こちらが、完成の予想図になります。お湯がたまる施設がありまして、こちらで温泉たまごを作ることも可能です」
温泉を利用した新たな施設は、今年5月のオープンを目指しています。
「温泉の湯けむりとか、ぬくもりを感じられるような、新たなスポットとして整備できればと思っております」
【魅力2 冬でも過ごしやすい気候】
力を入れているのが“ペットツーリズム”です。夏は繁忙期、冬は閑散期の白浜町。ペット連れの旅行者は暑い時期を避ける傾向があるといい、冬でも過ごしやすい白浜町と相性がいいといいます。町ではドッグランやペットと泊まれる宿泊施設が新たに誕生しています。
【魅力3 アクセスの良さ】
訪れたのは、白浜の海を一望できる客室や足湯が売りのホテル。
「こちらがビジネスルームとなります。ちょうど目の前に海が広がっており、お仕事とバケーション両方味わっていただける施設になります」
WORK(仕事)とVACATION(休暇)を組み合わせた“ワーケーション”を展開しています。首都圏からのアクセスのよさを背景に、ワーケーションの先進地とされる和歌山県。このホテルでも、ビジネスルームや会議室を整備しました。
「ホテルで滞在していただく時間、ここを充実していただけるような施設になろうということで、いろんな選択肢を用意しておくというのが大事なのかな」
パンダの陰に隠れてきた、白浜町の魅力。改めて掘り起こし、発信していくといいます。
「南紀白浜は結構リピーターのお客様も多くいらっしゃってくれています。そういった方々にも新しい白浜というところをPRしていければ」