介護の現場から悲鳴があがっている。少子高齢化が進む中、2040年には介護職員が約57万人不足すると推計されている。そんな絶望的な状況を受けて、2ちゃんねる創設者・ひろゆき氏はXで「30歳までに6カ月間、介護職に就くことを義務化する」という提案を行い、賛否両論が巻き起こった。「ABEMA Prime」では、ひろゆき氏と介護現場で働くプロ当事者、介護ジャーナリストらとこの義務化案について議論。さらに年々増え続ける移民は、介護職のリソースとして期待できるのかも検討した。
■ひろゆき氏の「介護義務化案」とは

ひろゆき氏が提示したのは、30歳までの若者に対し、6カ月間の介護職従事を義務付けるというプランだ。もし従事したくない場合は、本人が選んだ介護施設に500万円を支払えば免除されるという仕組みもセットで提案されている。
この案の背景には、深刻な人手不足がある。ひろゆき氏は「2040年までに高齢者が300万人増えるが、労働者自体は1000万人減る。給料を高くすれば介護に人が集まるというが、それは無理。労働者自体も減る」と、待遇改善だけでは慢性的な人手不足の解消にはならないと述べる。さらに「(他業種も)人材不足の中、若い人たちが介護の仕事をするわけがない」と危機感を露わにした。
その上で、ひろゆき氏は「好きで兵隊になる人なんてほとんどいない。それでも必要だから徴兵制という仕組みでなんとかしてきた歴史がある。介護も同じで、やりたい人は多くないし、給料も低いが、誰かがやらないと社会が回らない」と、国家存続のための義務としての必要性を説いた。
500万円という免除額については「指定した施設に500万円払う。そうすれば施設はその500万円で別の人を雇ってもいいし、機械化をしてもいい。使えない素人が来るより500万の方が得というパターンもある」と柔軟性を語る。また、この義務化によって「会社の中で(社員が)何か月か抜けるのが当たり前という社会になると、むしろ産休・育休も取りやすくなる。職場から離れたとしても回せるようになるのは民間の会社に対する影響も大きい」と、社会構造の変革にも期待を寄せた。
なすの在宅生活支援センター代表・中村洋文氏は、この案を「1つの問題提起としては素晴らしい」と評価しつつも、現場の切実な状況を訴えた。中村氏によれば、現場はすでに「もうほとんど破綻しかけている」と述べる。
特に深刻なのが、責任の所在と「線引き」の問題だ。中村氏は「例えば、誤嚥する可能性があって危険だから食べさせられないという話をしても、家族が『もう誤嚥してもいいよ』と言う。なのに誤嚥したら訴えられたという事件もあるくらい、線引きが難しい。その線引きを、我々現場に任せられているので、にっちもさっちも行かないような状況が今もずっと続いている」と、現場の疲弊理由を明かした。
また、6か月間という短期間でスタッフが入れ替わることへの懸念も強い。「こんなに早いサイクルで人が代わると、利用する高齢者の方、介護を必要とされる方も絶対に困惑する。現場でもかなり問題が起こってくる」と指摘。「いかに離職を減らすかに、私たちは力を入れていかなければならない」と、人材の定着こそが重要だとの見解を示した。
これに対しひろゆき氏は、担当者が変わることを前向きに捉える。「担当者がコロコロ代わる問題が悪いことのように言われるが、僕は良いことだと思う。そもそも人間が人間を世話することはできなくなる。そうすると機械化、ロボット化、AI化が必要になり、マニュアル化も進む」と述べた。
■リソースを「移民」に求めるアイデアも

議論は「家族による介護」のあり方にも及んだ。京都精華大学前学長のウスビ・サコ氏は、日本における「自分の親を介護する文化」に触れ、「高齢の親を持っている方は、親の近くで仕事ができるなど、全体の方針を変えていくというのはどうか」と、家族が支え合える環境整備を提案した。
しかし、ひろゆき氏は「高齢者の介護を家族がやるという仕組み自体もやめた方がいいと思う」と反論。ヤングケアラーの問題を念頭に、「本当は大学に行ってめちゃめちゃ優秀になれて、(働き出した後)納税額がすごいかもしれない子どもが介護に縛られてしまい、結果として、介護だけで30歳過ぎになってしまい、スキルがないからアルバイトで働くようになるのがもったいない。社会保険料はみんな払っているわけだから(介護は)社会が負担すべきこと」と主張した。
近畿大学 情報学研究所 所長の夏野剛氏は、ひろゆき氏の案について「実際には法律が通らないと思うが、1つの考え方として非常にいいと思う」としつつ、海外の現状に目を向けた。「各国の現状では、この分野を担っているのが移民だ。ヨーロッパもアメリカもどこの国でも、介護に移民が入ってきて、ものすごい力になっている。この議論は避けて通れない」と提言した。
サコ氏も「ヨーロッパはかなり移民(頼み)。日本も、そうせざるを得ないところもある」と同調する。一方で、フランスなどでは海外人材と利用者の間での文化的なズレや、「この人に触られたくない」といった抵抗感といった課題も生じているという現状も伝えていた。 (『ABEMA Prime』より)