陥没事故の現場では今も復旧工事が続いています。発生から1年、住民の生活は一変しました。一体、何が起きているのでしょうか。
日常と非日常を分断
「あとお風呂場はシャワーヘッドのところが…」
この1年間、日に日に腐食は進んでいます。
突然、道路に空いた穴。直径40メートルほどにまで広がり、中に取り残されたトラックの運転手が亡くなりました。当初、まだ小さかった穴は、これだけの大きさに広がっています。
埼玉県八潮市の道路陥没事故から一年。今も大規模な工事が続いています。
事故以来、周辺で暮らす人たちの生活は一変しました。
現場から約20メートルの場所で、喫茶店を営む松井多恵子さん(81)。
お冷を注ぐためのポットは黒く変色。下水道管から発生する、硫化水素が原因とみられる金属の腐食被害です。
喫茶店のすぐ隣は工事現場。店の前は今も住民以外立ち入ることができず、営業再開のめどは立っていません。
陥没現場から半径200メートルの事業者に対して、埼玉県が支払う補償金は一律で10万円。休業している分の補償の相談は、これからだといいます。
「天井にも亀裂」
一年が経過した八潮の陥没現場。復旧に向けた工事は今も進められています。
「県道部分は4月から交通規制を(4車線のうち)2車線について解除したい」
4月には暫定2車線で通行が再開される見通しです。ただ、現場の下水道管は流れる水量が多いことなどから、今後下水道管をもう1本増やす「複線化」の工事などを実施。本格復旧までには5年〜7年かかるとされています。
陥没の現場から約70メートルの場所に住む木下さんも、様々な影響に苦しむ一人です。
「この腐食部分が黒く、毎月毎月青黒くなっている」
さらに、新たに悩まされていることも。
この揺れ、復旧工事によるものです。この振動の影響でしょうか、住宅には亀裂が。
埼玉県は、硫化水素が原因とみられる腐食被害や、復旧工事で生じた建物損傷の修復費用などを個別に相談して、補償するとしています。
“目に見えない被害”
一方、被害は目に見えるものだけではありません。
県は、ストレスなどの間接的な影響は認めていて、臨床心理士による個別相談などで対応をしていますが、日々検出されている硫化水素の濃度などから、直接の健康被害はないとみています。
埼玉県は「その他の補償」として、一律で1世帯あたり3万円と、加えて1人あたり2万円の補償を支払うとしています。
問題が発覚する度に、住民が個別で県に訴えることに限界を感じた木下さんは、先月「被害者の会」を組織しました。詳細なアンケートをとり、要望書を作成。県、そして国に提出していきたいと話します。
埼玉県は、「今後も被害に応じた補償について個別に相談していきたい」としています。
(2026年1月28日放送分より)







