社会

ABEMA TIMES

2026年1月31日 11:00

東大院教授も推す“飛び入学”日本は「年齢にこだわりすぎ」と指摘 ひろゆき氏「先に行く子がいても、残る子がいてもいい」

東大院教授も推す“飛び入学”日本は「年齢にこだわりすぎ」と指摘 ひろゆき氏「先に行く子がいても、残る子がいてもいい」
広告
1

 今から30年ほど前、千葉大学が日本で初めての「飛び入学」を行い、大きな注目を浴びた。高校2年生の17歳から大学に入れる制度で、11人が受験し、3人が合格した。しかし今も飛び入学制度を実施しているのは、わずか10大学にとどまり、大きく広がっていない。また合格者のほとんどが千葉大学なのも現状だ。

【映像】海外の飛び級制度ってどんな感じ?

 そんな状況を変えるべく、年齢に関係なくどんどん学びを進めるべきだと訴える東京大学大学院の教授がいる。そこで『ABEMA Prime』では、“飛び入学”によって、どんなメリットやデメリットが考えられるか議論した。

■日本初の「飛び入学」をした人々の今

千葉大学の飛び入学

 千葉大学の飛び入学第1号である3人は、現在何をしているのだろうか。松尾圭さんは生活困窮者の相談事業のかたわら、塾で数学講師をしている。梶田晴司さんは現在、大手自動車メーカー関連の研究機関で、自動車素材などの研究開発に携わる。そして佐藤和俊さんは、約10年にわたり任期付き研究員として生活し、現在は運転手(トレーラー→バス)をしている。

 高校3年生を経験しないことで、弊害はなかったのか。松尾さんは「私は行かなくてもよかった。飛び入学で高校を中退しても、同級生や先輩・後輩との関係も悪くなっていない。1期生として後輩を見ても、デメリットがあるという話は聞かなかった」と語る。

 千葉大の飛び入学制度「先進科学プログラム」には、「早くから専門的教育を受けることで独創性豊かな科学者・研究者に」との狙いがある。高2から大学入学可能で、7分野14コース(物理・化学・工学・人間科学など)から選べる。これまで108人が入学(年平均約3.9人)した。また、入学後も手厚いサポート体制があり、本プログラム限定の「特別セミナー」や、マンツーマンに近い少人数指導、1カ月の海外研修(経費は原則大学側負担)を得られる。

 東京大学大学院数理科学研究科の教授で、数学者の河東泰之氏は「飛び級を当たり前に」と訴える。「日本社会や学校は年齢に縛られすぎ」で、「高い意欲と才能がある少年に、一律の中学・高校教育を受けさせるのは無駄」という理由から、「大学受験を年齢無制限にすればいい」と提言する。年齢関係なく大学受験できるようにすべきで、「特別な制度は不要。ただ年齢制限をなくすだけ」としつつ、「既存制度の活用なのでコストはほぼゼロ」だと話す。

 教育課程については「人それぞれ、やりたいようにすればいい。飛び級できても、したくない人もいるだろう。独自に研究するなど、選択肢が多いことがいい」とする。「『飛び級できる人は天才で、大事にしよう』と言っているわけではない。大抵の飛び級経験者は、ちょっと賢い専門家になるだけで、歴史に残るような天才ではない。それでも、自分のペースで好きな時に大学に入れるのがいい仕組みだ」。

 日本の教育制度には「自由が少ない」として、「中国は激烈な受験競争があるが、15歳で北京大学に入る人もいれば、12歳でオックスフォード大学の数学科へ行き、入学後も一番だった人もいる」と語る。「年齢にこだわりすぎている。大学は15歳も、40歳も同じクラスにいて、年齢なんか関係なく、仲良く勉強できる仕組みが良い」。

■日本の教育システムは「年齢型」飛び級・飛び入学に“壁”

日本の飛び入学

 日本の飛び入学は、法的にどのような扱いなのか。学校教育法や文科省告示などによると、受験者側の年齢要件として、大学は高校に2年以上在学(実質17歳以上)、大学院は大学に3年以上在学(大学の飛び入学と組み合わせても実質20歳以上)と定められている。

 パックンは、「法律を変えていい。アメリカでは、8歳で大学に入り、10歳で卒業する選択肢がある。とんでもない天才はいる」と説明する。「アメリカには選択肢はあるが、基本的に推進しない。同年齢の子と育つことで、集団生活や社会性が身に付くためだ。頭が良ければ学業は進めるが、学年生活は守る。それが、自由度の高いアメリカの教育スタンスだ」。

 松尾さんは、「直接言われたことはないが、社会的には『1年飛ばしたことで、人格形成に影響が出るのではないか』と議論になっていた。だから私は、人格にちょっと問題がある可能性がある」と笑う。

 2ちゃんねる創設者のひろゆき氏は、「“天才”という言い方がまずい」と指摘し、「ある種の発達障害の人は、若いうちに異常に勉強ができる一方で、体育ができなかったり、友達ができずいじめられたりする。それで学校が嫌になり、教育自体を拒否するが、1人で勉強すると成果を上げる。ただこれは、性格なだけで天才ではないため、大学進学後は普通の社会人になる」といった例を挙げる。

 その上で、「逆に言うと、小学校でかけ算ができなければ、留年させてでも、わかるまでやらせるべきだ。かけ算がわからないまま、割り算を教えても、わかるわけがない。先に行く子も、残る子もいるような多様性を持たせた方がいい」と提案する。

 松尾さんは現在、生活困窮者の自立支援をしている。「中学生の学習支援にも関わっているが、九九ができない子がすごく多い。ひろゆき氏が言うように、留年しなければならなくなると、中学校へ上がれる子はどれほどいるだろう」。

 パックンは日本の教育システムに触れつつ、「4月生まれと3月生まれは1年違う。個人差もある中で、早生まれの人はつらいと思う。実は僕も『落ち着きがないから、まだ入学できない』と、幼稚園の年長を留年し、『クラスで1番若い子』から『3番目に年上の子』になった」と明かす。

 そして、「幼稚園をダブっても、ハーバード大学に入った」と自虐を飛ばしつつ、「同じ学年が一緒に動く、日本の仕組みはすばらしい。底上げ教育により、識字率もほぼ100%だ。計算もできれば、歴史もわかっている。その代わり、同学年の中でも『先に勉強してもいい』という柔軟性は欲しい」と求めた。 (『ABEMA Prime』より)

広告