新型コロナウイルスの後遺症に苦しむ人々がいる。感染後も強い疲労感や息苦しさ、頭痛などの症状が続くことで、かかった人の約6%が発症すると言われているが、治療法は確立されていない。
【映像】4年間寝たきりの当事者、演歌歌手だった時代(実際の映像)
介護が必要な患者がいる一方、「コロナは終わった」という風潮も手伝い、コロナ後遺症の苦しさは理解してもらえない。『ABEMA Prime』では、必要なサポートともに、どうすれば理解が広まるのかについて、当事者と考えた。
■「『絶対怠けている』と言われた」寝たきりとなった当事者

児玉美樹さん(30)は新卒から教員として働いていたが、去年転職を余儀なくされた。とあるアパートの1室で、布団に横たわり画面に向かう。「サボっているように見えるかもしれないが仕事中。在宅ワークで会社の会議室に飾る絵を描かせてもらっている」。
感染したのは約4年前。「筋肉が鉛に変わってしまったみたいな(体の重さ)」で、通院するとコロナ後遺症と診断された。今なお強い倦怠(けんたい)感や思考力低下により、長時間働くことが難しく、教員を諦め、障害者雇用で休みながら働ける今の仕事に転職した。
さらに症状以上に苦しめたのは、周囲に理解されなかったことだという。「(当時の同僚からは)『絶対怠けている』と平気で言われた。『気持ちの持ちようだ』ともよく言われた。それで余計に頑張り、クラッシュする」。
コロナ感染からの経緯を「当時は10日間ほどの隔離期間で、その間に治った。1カ月ほど普通に仕事にも行けていたが、だんだん倦怠感が強くなってきた。頭の中が真っ白になるブレインフォグで、子どもたちとの会話もわからなくなった」と振り返る。
その後は、「病院へ行ったが、後遺症に理解のある医師がおらず、『とにかく運動して』と言われた。しかし、運動してみるとどんどん悪化して、寝たきりになってしまった」のだという。
■かかりつけ医の紹介状に「思い込み」「重度のうつ病」と書かれた当事者

演歌歌手として活躍してきた相澤めぐみさん(30代)は、後遺症により約4年間、ほとんど寝たきりの生活が続いている。体調が悪い時は「5歩くらいのトイレに車いすで行く」状態だという。
しかし当時のかかりつけ医が書いた紹介状にがくぜんとした。「(紹介状に)『コロナ後遺症だと思い込んでいる』『重度のうつ病』と書いてあった。この人は1年半、私の何を診ていたのか。治療法がないのが一番大きいのだろう。医師も面倒くさいことはしたくないのかなと」。
3年かけて、ようやく理解のある医師にたどり着き、治療を再開した。体調は少しずつ上向いていると言うが、今も家族のサポートは必須だ。「ちょっと良くなってきたと言っても、料理を作るとかは、まだまだできない。お皿が重い(と体に疲労がたまってしまう)ので、軽いプラスチックにしてもらっている」と明かす。
コロナ発症時は軽症だったが、「1カ月半ほどして、微熱が下がらず、せきもひどくなり、日を追うごとに病状が悪化した。おかしいなと思い、コロナ後遺症専門ダイヤルにかけても、『動いてください』と鼻で笑われた」と語る。
一時は「完全に寝たきりで、トイレにもお風呂にも入れず、オムツで生活している時があった」のだそうだ。すると、「当時の訪問医から『うちではわからないから、他の所に行ってくれ』と突然言われて、青天のへきれきだった。その時に訪問した病院にも拒否され、戻ってきた紹介状に『重度のうつ病』と書かれていた。何を信じていいかもわからない状況だった」。
そして「近くの大学病院で検査してもらったが、そこでも所見がなく、『慢性疲労症候群の疑いが強い』と言われた。関西で慢性疲労症候群の専門医が1人いて、その医師を紹介してもらい、今も診てもらっている」と話す。
■「コロナ後遺症に関する知識が足りていない」

いち早く新型コロナ後遺症外来を設置し、のべ8000人以上の患者を診察してきたヒラハタクリニックの平畑光一院長は、医療現場の課題を指摘する。「負荷をかけずに関節だけ動かすなどには効果があるが、普通の運動をしてしまうと悪くなることが多い。本当はやってはいけないことを、医療側が“常識”として押しつけて、それで悪化する人が多い」。
医師の認識不足によって、「胸が痛くなり『心筋梗塞かも』と救急搬送された病院で、『コロナ後遺症だ』と言った瞬間、検査を断られて、『帰れ』と言われたりする。生き残る権利すら認めてもらえない、ひどい話が日常的に起き、今も続いている。コロナ後遺症に関する知識が足りていない」との弊害を指摘する。
治療法については「世界中で研究されているが、特効薬はまだ出てきそうにない。となると、今ある手段を使っていくしかなく、対症療法になってしまう」という。
児玉さんは「漢方を処方してもらっていたが、今は慢性疲労症候群という難病に移行したと診断されている。専門医に頭のツボを押してもらったり、ビタミンを処方してもらったりといった治療を受けている」と語る。
平畑院長は、メディアの協力が必要だといい、「『コロナは終わった』という空気にしてしまうと、新規感染者も増え、後遺症の患者も新たに出てきてしまう。後遺症がないかのような雰囲気になると、患者に対する無理解も促進する。まだコロナは存在すると、ある程度は伝えてもらわないといけない」とした。
(『ABEMA Prime』より)