大みそかの夜に、水戸市のアパートでネイリストの女性(31)が刃物で刺されるなどで殺害された事件。警察は28歳の会社員の男を殺人容疑で逮捕した。男は被害女性の元交際相手だった。
【映像】元交際相手の容疑者が車に乗っている様子(実際の映像)
警察庁によると、ストーカー事案の約4割が、交際相手か元交際相手によるものだという。なぜストーカー化してしまうのか。『ABEMA Prime』では、加害者側の心理について、専門家が解説した。
■加害者が抱く「見捨てられ不安」と「被害者意識」

恋人関係だった相手が、なぜストーカーへと変貌してしまうのか。警察と連携してストーカー加害者へのカウンセリングも行っている、公認心理師で京都文教大学の川畑直人教授は、加害者の心理状態について「2つのポイントがある」と指摘する。
川畑直人氏は「1つは見捨てられることに対する不安や傷つき、それから自分の自尊心やプライドが傷つくことに対しての耐性がないことだ。それが非常に大きな復讐心に変わってしまう。さらに、将来に対して希望が持てるような人間関係があれば気持ちを切り替えやすいが、『自分にはこの人しかいない』と思い詰め、不遇感でいっぱいになっている状況だと、相手に執拗にしがみついてしまう」と説明する。
また、加害者はしばしば「被害者意識」を露わにするという。「警察から介入されたとき、『別れを告げられ、これだけ相手に尽くしたのに、なぜ加害者にさせられるんだ?』という被害者意識を持つ。警察の介入が難しいのは、それによって逆に被害を強めてしまう危険性がある点だ。警察側も加害者の心理を十分に理解した上で介入することが重要になる」。
■「男性だから」ではない ストーカー化の要因は「弱さ」

ストーカー化と男尊女卑の関連性について、川畑氏は「”男性的”な人が加害者になるかというと、私はそうは思っていない」との見方を示した。
「カウンセリングを受けている方の約3分の1は女性だ。女性も捨てられることや浮気をされることへの傷つきからストーカーになってしまうケースは多い。捨てられることに対する弱さは、男性が強いのではなく、非常に大きな弱さを持っている人の方が加害者になりやすい」(川畑氏)
ストーカー化の兆候について、過去に元交際相手からのストーカー被害にあった経験がある文筆家の内澤旬子氏は、「SNSで他人の投稿に『いいね』をつけただけで浮気認定された」との経験を語ると、川畑氏は「それは非常に大きなサインだ。非常に嫉妬深く、少しでも他の人に関心を向けたら自分が傷つけられたと思いやすいということだ」と述べた。
■「別れ方をうまくすれば『被害に遭わない』は幻想」

では、どう別れればいいのか。川畑氏は「別れ方をうまくすれば被害に遭わないというのは、幻想かもしれない。相手がどんな人かによるため、こちらがコントロールできることではない」と、被害者側の努力だけでは限界があることを示唆した。
内澤氏は「メッセージを大量に受けていると、心理的に視野狭窄になり判断がつかなくなる。恐怖に囚われて客観的に見られなくなるため、まずは友だちに『こうなっているんだけど、どう思う?』と共有することが大事だ」と訴えた。
(『ABEMA Prime』より)