「英語」には見たり、書いたり、声に出したりと、さまざまな学び方がある。そんななか、文部科学大臣の諮問機関の部会が、中学生が学ぶ英単語について「学ぶ英単語数を厳選し、リスト化してはどうか」との案を示した。
各教科書で取り扱われている語彙(ごい)にばらつきがあり、普通使わないような難しい単語などを学ぶことが、子どもたちの負担になっているとの指摘などを受け、学ぶべき英単語を厳選し、リスト化していこうという提案だ。
中学までに学ぶ英単語は現在、2200〜2500語あるとされており、英語を勉強する時間は、小学校では約100時間、中学校では約400時間となっている。Xでは「今の中学生の教科書は難しすぎる」「外国語の習得には単語を知らないといけない」「英単語減らしたら英会話の基礎が弱くなるのでは?」といった反応が見られる。
日本の英語教育には、「学校でいくらやっても英語ができない」との批判も多い。『ABEMA Prime』では、どうアップデートすればいいか、有識者とともに考えた。
■日本の英語教育

英語教育起業家の嶋津幸樹氏は、「英語母語話者は、2万〜3万5000語を知っている。英語を第1言語とする4歳の子どもが、5000語超えだ。見聞きしてわかる重要語彙を“リセプティブ・ボキャブラリー”と言う。格差を広げずに負担を軽くする目的であれば、学ぶ単語を減らしてもよいかもしれない。ただ、各国はどんどん先へ進んでいて、出遅れている状況だ」と指摘する。
今の日本の状況では「もう追いつけない」と考えていて、「経済大国ならいいが、いまの日本経済は落ちている。日本語だけでやれる状況ではなく、これからどんどん物価が上がり、やばい状況になれば、英語をやるのではないか」と語る。
合宿制の英会話学校「Language Village(ランゲッジ・ヴィレッジ)」秋山昌広代表は、「しかるべき時にやる」という考え方だ。「大学受験を最終目標として意識せざるを得ない国になってしまった結果、優秀で勉強していても、最終的に英語をしゃべれない。やり方はあるのに、大学受験がある以上、どうしても動けない」。
学ぶタイミングについては、「学校教育でできることを、欲張ってもしょうがない。できることと言えば、抽象的議論ができるようになる12歳以上から、文法の規則を論理的に理解してもらい、基礎を固める。その後に会話のレッスンをすることが望ましいが、その余力が現在の学校教育にはない」と話す。
■「子供の頃からやると英語は運動、高校生からは勉強」

起業家の河村真木子氏は、子どもには日本語より英語を優先させるようにしたという。「自分自身が英語に苦労した。高校からアメリカに行ったが、中学から来ている子を見て、『たった3年間、私より早く来ているだけで、なんでこんなに英語うまいんだろう』とうらやましかった」。
そして、「子どもの頃からやると、英語は『運動』。体や耳で覚えられ、何の苦労もなく言語が入ってくる。でもそれを高校生や大学生からやると、いきなり『勉強』になって、数学や社会と同じように苦労する」と力説する。
加えて、「もし日本の学校に行きながら英語を勉強するのであれば、TOEFLメインでやるのがいい。あれを満点近く取れるくらい勉強すると、めちゃめちゃ英語ができるようになる。これは日本人にもできる」と話した。
資格試験について嶋津氏は、「英検やTOEICは国産だ。TOEFLはアメリカの大学に行くためのテストで、アメリカの大学に入ることを想定した内容になっている。ただ、世界一受験者数が多い英語試験は、IELTS(アイエルツ)というもの。日本では知られていないが、上海では小学生からやっている」と解説する。「ジェネラルトピックから学術的なところまで幅広く、世界基準で400万人が受験する」。
■「英語どうこうより、教育が何かっていう話」

哲学研究者で批評家の森脇透青氏は、「英語がどうこうより、教育が何かという話だ」と考える。「どんな教育でも、ある程度『これを学びなさい』という暴力性があるが、本人が最終的にどうなるかはわからない。僕は『本人がやりたければ、その時に学ぶんじゃないか』派だ」。
また、公教育における英語については、「『日本という国が、子どもに対してどうなってほしいか』のビジョンがないと、議論しても意味がない。今では自動翻訳で“使える英語”は手に入るため、今後はむしろ『日常では使わないが、文化的理解のために必要な教材』を身につけた方がいい。使えない英語の方が、使えるようになっていく」と指摘した。
秋山氏は、AI時代においても「頭と頭で通じさせるのではなく、心と心で通じさせる必要性」があると説く。「ビジネスや生活、友人関係には絶対にあるはずだ。たとえそれが人口の5%でも、したくもない語学教育を受けて、自分で英語をしゃべれるようになる力を身につけることは絶対になくならない」。
一方、NewsPicksNY支局長、ジャーナリストの森川潤氏は「どんどんAIが進んでいくと思うが、カルチャーの部分だったり、自分がどういう人間であるかを象徴する1つの要素として、やっぱり日本語が重要だと今1番感じている」との見方を示した。
(『ABEMA Prime』より)