東京都港区の赤坂1丁目の交差点で内閣府の公用車が時速約130キロで別の車に衝突する事故が発生した。
事故の瞬間をとらえた映像には突然突っ込んできた車が白いミニバンに衝突。並走していたタクシーにもぶつかり反対車線まで飛ばされ、火花をあげる様子も映っていた。この事故でタクシーの乗客が死亡、6人が重軽傷を負った。
突っ込んだのは内閣府の公用車。およそ時速130キロの速度で赤信号の交差点に進入したとみられ、事故の瞬間、アクセル全開でいわゆる“ベタ踏み状態”。公用車を運転していた69歳の男性はドライバー派遣会社の運転手で、勤務先によれば「体調は特に問題なかった」という。警視庁は危険運転致死傷の疑いも視野に調べている。
事故が起きたのは総理官邸から350メートルほど先の交差点。官邸を出てからわずかおよそ30秒後のことだった。いったいこの30秒の間に何があったのか。元宮城県警で交通事故鑑定人の佐々木尋貴氏とともに検証を試みた。
佐々木氏は「官邸を出てから現場に行くまでの道路は一直線の道路ではない。曲がっているが、その曲がっている道路をちゃんと道なりに沿って運転している」と指摘する。
総理官邸を出ると、事故現場まではわずか350メートルほど、見通しのいい2つの下り坂となっている。警察によれば事故の数秒前、1つ手前の交差点を通過した時点で、公用車はすでに時速100キロに到達。事故が起きるおよそ2秒前にハンドルを右におよそ45度切り、反対車線へはみ出したことがわかっている。公用車は官邸を出た後、ブレーキをかけていないことも判明している。
意識がなかったのだろうか。佐々木氏は「意識はあったと思う」と推測する。事故を起こした公用車は、事故が起きる1つ手前の交差点でシフト操作を行ったことがわかっており、佐々木氏はここに注目する。
「シフトを操作することによって車の運転の状態やギアの状態を変えるわけだから、それは運転手の意志そのもの」(佐々木氏、以下同)
さらに、公用車は事故直前、ハンドルを右に45度切っていた。この動作の意味をこう推測する。
「事故を起こした車がそのままの車線を保って交差点に進入していこうというのであれば、赤信号で停止していた車に追突する形で大破してしまう。今回の場合はハンドルを右に切って、停止している車に追突するのを避けるようにして交差点の中に入っていった」
今回の事故、公用車が事故を起こしたのは、赤信号に変わってから68秒後。つまり、赤信号に切り替わってすぐにすり抜けようと進入したわけではなく、すでに信号待ちの車が並んでいたと考えられる。
「居眠りとか、脇見しているとか、そういった状況ではなく、ちゃんと自分の運転経路を視界にとらえて、その通り運転していたと考えられる」
ではなぜ事故は起きたのか。佐々木氏は「ブレーキペダルをアクセルペダルと誤認識していた可能性は高い」と述べる。しかしそう考えても専門家として謎が残るという。
「踏み間違い事故の多くは、発進する場合とか停止する場合。ある程度、速度が乗ってしまって運転していく段階では、あまり踏み間違えという要素はなくなる」と、運転中の踏み間違えはレアなケースだと説明した。
さらに、佐々木氏は「通常であれば、交差点に進入する前に、他の車にぶつかったり、電柱にぶつかったり、そういった状況に陥る。そうじゃなく、赤信号で止まっている車をあえてきちんと回避するように避けて交差点内に進入していく、極めて異常な、想定されていないような交通事故の対応だと感じた」との見方を示した。
(『ABEMA的ニュースショー』より)