社会

ABEMA TIMES

2026年2月7日 11:30

冬眠しないクマ…急ピッチで開発進む“クマ用防護服” 刃物で刺されてもノーダメージ?開発者「爪の貫通を防ぐことが大事」

冬眠しないクマ…急ピッチで開発進む“クマ用防護服” 刃物で刺されてもノーダメージ?開発者「爪の貫通を防ぐことが大事」
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 「冬眠しないクマ」の目撃情報が相次いでいる中、“クマ用防護服”の開発が急ピッチで進められているという。

【映像】“クマ用防護服”に対するクマの反応(実際の映像)

 2025年のクマによる死傷者数は過去最多の236人となった。そんな中、注目を集めているのが、クマ用防護服だ。ベスト、アームガード、そしてマスク。マスクは耳から首にかけてすっぽり覆うサイズで、ヘルメットを被ったままでも装着できるという。

 開発したのは神戸市のメーカー「株式会社SYCO」だ。代表の笹田直輝氏は実物を手に取り「黄色いのがアラミド繊維。よく言われる防刃素材で、アラミドの手袋とかだと切り傷にも強い。これだけだと切り付けには強いが、『突き刺し』は通る、繊維なので。ここにプラスチック片(をとりつけた)、炭素で強化されたプラスチックなので、刃物を通さない素材になっている」と紹介した。この素材をベースに、衝撃を吸収するクッション材を入れ、作られているという。

 開発のきっかけは「防刃ジャケットをクマ用に使えませんか」という問い合わせから。実はこちらの会社では防犯製品を製造。不審者対策用として「普段着できる防刃ジャケット」を販売したところ、ネットで話題に。実はこれがなかなかの強度を誇る。鋭い刃物で実際に何度刺してもビクともしない。これだけ念入りに実験するのには訳がある。

「軽くやって切れなかったら、『これで刃物は大丈夫』という感じはよくない。そういう意味で検証はしっかりやるというポリシーでやっている」(笹田氏、以下同)

 この防御力に目をつけたのが、クマの出没が相次ぐ地域。山林保全に関わる会社や周辺の見回りを行う自治体職員らの命を守る対策は切実な問題だ。

「半年ぐらいは開発にかかる想定で進めていたんですけど、クマが出たって言うと、仕事に行くか行かないかという話になっちゃうので、それで今回特急で開発したのがこの3点のセット」

 そこで防刃ジャケットのノウハウをクマ用防護服に活用。しかし、刃物とクマには違いもあった。

「防護する部分は人とはだいぶ違って、クマの場合は一撃目は顔が圧倒的に多い。鋭的な切り裂きによる外傷とか、爪が食い込んだことによる感染症、その爪によって顔が麻痺したり。真っ先に爪の貫通を防ぐことが大事」

 実際に顔に大きな怪我を負った人は多い。クマに襲われた人の治療にあたる秋田大学医学部附属病院の土田英臣医師は「9割以上の方が顔面の怪我で来ているので。クマの習性として、弱点である顔面を本能的に知っていて狙っているのもあると思う」と指摘する。

 そのため、爪による切り裂きや感染症を防ぐことを考え、貫通させない強度を追求したという。

 笹田氏によると、実物のクマの爪を使用して強度を検証したそう。「実は刃物に比べるとそれほど尖っていない」。防護服に使用されているパネルを引っ掻くと、クマの爪の方が削れていく。さらに、「特注で鍛冶屋さんに作ってもらったクマの手を模した攻撃具」を使ってテストを実施。思いっきり殴打しても貫通しないことを確認した。

 しかし、本物のクマと遭遇した場合、果たしてこれで安心できるのか。実際に試験をした際の映像を見せてもらった。すると、クマは防護服を触りながら遊んでいた。実は、急遽の開発のため実験用に用意できたのは冬眠直前のクマ。攻撃が想定より弱めだった。

「罠にかかった動物が逃げる時はもっと必死。ガンガン檻を曲げるような衝撃でどうかを見るのが本来の趣旨ではあるので」

 クマ用防護服は、現在予約販売中で初回の納品は4月予定。納品までに冬眠明けのクマによるテストを行い、改良を続けるという。

「それぞれ皆さん考えられる防犯対策がある中で、1つの選択肢として防護するウェアをいろいろ開発していけたらと思っている」

(『ABEMA的ニュースショー』より)

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