沖縄県・多良間島で「地元の人が飛行機のチケットを取れない」問題が起きている。
多良間島在住の湧川農さんは「初めての経験で。(飛行機の)便が取れないけどどうなっているの?って」と訴える。多良間島で生まれ育ち、長年島の案内をしているそうだ。
多良間島は宮古島からおよそ60キロ余りに位置し、人口およそ1000人。「南洋に浮かぶ癒し」と紹介されている島だ。ダイバーにも人気で「多良間ブルー」として愛されており、ABEMA的ニュースショーMCの千原ジュニアも訪れたことがあるという。
そんな多良間島で今起きているのが、地元の人が飛行機のチケットが取れない問題。湧川さんは「去年の12月ぐらいから、毎週土日がキャンセル待ち。1月はほとんどキャンセル待ち。どういうこと?ってなって調べると、“修行僧”ですか?そういう人たちが押さえてるよっていう話になってきて」と明かす。
ここでいう「修行僧」とは、航空会社のマイレージやポイントを貯める目的で、短期間で何度も飛行機に乗り、距離と回数を稼いでプライオリティの高い上級会員を目指す人たちのこと。
航空・旅行アナリストの鳥海高太朗氏は「空港から出ない。一旦到着ロビーに出て、そのままもう1回保安検査をして、飛行機に乗る。ある意味、“推し活”なんですよ」と説明する。
マイル修行やポイント修行と呼ばれるストイックな“修行”を経て上級会員になると、これまで味わったことのないワンランク上の世界が体験できる。
「ラウンジもビジネスクラスとファーストクラスの感じがまず違う。荷物もエコノミークラスに乗ってもファーストクラス用のタグが付けられるので、最初に出てきたり。これに関して言うと、1回それを味わってしまうとやみつきになってしまう」(鳥海氏、以下同)
鳥海氏によると、JALのダイヤモンド会員の場合、1年で120回乗らないとグレードが下がってしまうという。
多良間島から宮古島へは、およそ25分間前後、1日2往復運航している。“修行僧”にとって、飛行機に乗った回数を効率よく稼げる狙い目のルートに、今はポイントが倍になるキャンペーンが適用され、連日満席状態が続いているという。
「沖縄から出発して、宮古島行って、多良間行って、宮古行って、そういうのを沖縄の中で繰り返すと、最大12回、1日で乗れる」
実際に予約サイトを確認すると、2月11日までほぼ満席だった。
貴重な足を奪われてしまった島民。湧川さんは「飛行機が電車感覚、タクシー感覚、そういう感覚でみんな乗る。それに乗れないっていうのは困る」と語る。
「病院に通っている方たちとかも、この日はちょっと飛行機が取れなくて行けない、というのが出てきていて。診察が遅れ気味になっている。子供たちの学校行事だったりとかも行けない」(湧川さん)
さらに、島の主要な収入源でもある畜産業にも影響が出ている。湧川さんは「今回1月18日が(牛の)セリだった。去年から次のセリに行けないよっていう話を何名かの購買者さんがしていた」と明かす。セリの購買者が島に来られないことで、交渉価格が普段より安くなるなど影響が出たという。
また、多良間島で2月に予定していた乳幼児健診が、検査を担う職員らの航空券が取れないため3月に延期する事態も起きた。
多良間村総務財政課の仲間智也課長は「村長がエアコミューター(航空会社)さん、沖縄県の方にこういったことで村民が困っているので、何か対応策は対応してもらえませんかという要請はしております」と述べた。
現在、日本航空グループは臨時便を5便設定するも、抜本的な解決には至っていないという。一部島民からは、規制を求める声も出ているが、難しい面もあるという。
鳥海氏は「子供を預けに行くとか、物を運んですぐそれで帰らなきゃいけないとか、本当に乗った便で帰らなければいけない人も一定数いるので、制限するというのは難しいと思う」と指摘する。
「ファンの人たちもむしろ応援している。“修行”することによって、離島路線の搭乗率に寄与している、特に離島路線は自治体の支援があって成り立っているというのもあるので」
湧川さんは「悪いことをしているわけではないので、この方たちを責めることもできない。本当に誰も責められない。(怒りを)どこにぶつけていいのかっていうのは、島民もすごい難しい問題に直面していますね」と複雑な胸中を語った。
(『ABEMA的ニュースショー』より)