社会

ABEMA TIMES

2026年2月7日 14:00

妊産婦10人に1人が経験する“産後うつ”「生後3カ月の娘の微笑みに『なんでそんな目で見るの』という言葉が出た」「飛び降りたい、育児から離れたいと強く思った」

妊産婦10人に1人が経験する“産後うつ”「生後3カ月の娘の微笑みに『なんでそんな目で見るの』という言葉が出た」「飛び降りたい、育児から離れたいと強く思った」
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 “産後うつ”に苦しむ人々がいる。急激なホルモンの変動や、慣れない育児のプレッシャーなどから、気分が沈んだり、不安に駆られたりなどの症状がある状態を指す。妊産婦の10人に1人前後が発症すると言われている。

【映像】「かわいいと思えない」27歳・かなさんが2年前に産んだ長男(実際の映像)

 誰もがなり得る可能性がある“産後うつ”。「誰にも相談できない“孤育て”状態」「子育てママの悲しいニュースに共感してしまう」「周りと比べてできない自分を責め続けてしまう」という反応も少なくない。

 妊産婦の死亡原因では近年、自殺が占める割合が増加傾向にある。果たしてどうすれば“産後うつ”を防げるのか、なってしまった場合、抜け出すために必要なことは。『ABEMA Prime』では、産後うつ経験者や専門家と考えた。

■「かわいいはずなのに、かわいいと思えなかった」産後うつ当事者

かなさん

 かなさん(27)は、2年前に長男を出産したが、子どもをかわいいとは思えなかったという。「かわいいはずなのに、かわいいと思えなかった」というのは、なぜなのか。「子育てに正解はないが、正解を求めてしまう。理想の母親像が強く、でも思うように行かなくて抱え込む。涙が止まらないなどが続いていた」。

 「離婚をして、子どもとも離れたい」といった考えが頭をよぎる日々が続き、生後8カ月の時、ついに「夜間の授乳や、夜泣きもずっと。こちらも眠いしで爆発してしまい、旦那もいたので、夜中に『もう嫌だ。もう無理。これ以上、私に何すればいいって言うの?』と出て行った」そうだ。その後、病院を受診したところ、結果は“中度の産後うつ”だった。

 現在では、薬を服用しながら少しずつ落ち着き、家族3人で生活している。夫は当時を振り返り、「(産後うつに)なってから気付かされたこともすごく多い。『嫁にめちゃくちゃ負担をかけていた』など、改めて自分の生活と妻の生活を見直して、お互いサポートし合える関係性にならないといけないと思った」。

■「娘に『なんでそんな目で私を見るの』という言葉が出た」

ひかりさん

 ひかりさん(33)は、長女が生後3カ月の時に“産後うつ”と診断された経験がある。「産後1カ月ぐらいから、漠然と『しんどいな』と感じていたが、3カ月を過ぎた頃から、娘がほほえみかけてくれた時に、とっさに『なんでそんな目で私を見るの』という言葉が出た。私自身では気づかず、家族から言われ、自分でも信じられなかった」。そして、「子どもを家族に預け、外に出てしまった。家の前に線路があり、『飛び降りたい。死にたい。育児から離れたい』と強く思った記憶が残っている」と振り返る。

 そして、「その場で夫が『限界かもしれない』と見かねて、『1回先生に相談してみてもいいんじゃないか』と言ってくれた。『夫も一緒なら』と勇気を出して行った」という。症状は「眠れない、ご飯を食べられない」といったものだった。

 “産後うつ”と診断され、「まさかだった。看護師の資格を持っていて、育児でホルモンバランスが乱れることはわかっていたつもりだったが、いざ先生から突きつけられると、『ここからどうしていこうか。人に助けを求めなきゃいけないフェーズに来てしまったのか』と愕然とした」と話す。

■「家族が小さくなったことは1つの要因」

山本弘江氏

 コラムニストの河崎環氏は、「“産後うつ”では急激に転がり落ちる。子育てについてメインに書いてきた経験からすると、出産・子育ては母親が気付けないほどの大変な労働だ。知らない人は長引かせてしまう。私は学生結婚して、知識のないまま出産して、長引かせた。これから母親になる人には、『死のうかな』まで転がり落ちていく状態になると知っておいてほしい」。

 愛知医科大学准教授の山本弘江氏は「“マタニティブルーズ”という一過性のうつのような症状があるが、『そうかもしれない』『しんどいのは今だけなんじゃないか』と思って、ますます頑張ってしまう。しんどさを『これが普通』『周りも頑張っている』と思い、気づくのに遅れてしまう。うつは知られるようになったが、『自分はならないかもしれない』『妻はきっとならない』と思いがちなのかもしれない」と分析する。

 産後うつが増えた背景には、「家族が小さくなったことは1つの要因だ」と推測する。「生活の中で赤ちゃんの声が聞こえなくなった。家も防音で、周りに聞こえることもない。外から聞こえないと、逆に『泣かせちゃいけない』と思うようになる。便利な生活の中で、周りの育児も見えにくくなってしまっているのではないか」。

 モデルの益若つばさは、「息子を18年前に産み、“昭和の子育て”で育てた。情報も母や祖母に聞くしかなく、結構雑だったと思う。でもその分、病みにくかった。今の時代に産んで、産後うつになった友達は何人かいるが、性格が真面目だ。情報収集や、育児日記を一生懸命に書く。夫に『何時かを書いて』と繰り返し、夫が産後うつ気味になっているケースもある。情報社会で真面目すぎるのがネックになってきているのでは」との見解を示した。

(『ABEMA Prime』より)

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