金などの資源価格の高騰を背景に、資源ごみを収集場所から持ち去る悪質行為が全国で相次いでいます。京都府宇治市では、全国でも珍しい資源ごみの無料回収や持ち去りを取り締まるGメンが活躍しています。
資源ごみ持ち去りの瞬間
早朝の京都府宇治市役所では、出勤前の時間にもかかわらず、多くの職員の姿がありました。そのワケは。
「ごみ置き場に置かれている資源物とかを抜き取る者がいるので、ごみ置き場周辺を青色パトライトをつけてパトロールして回ります」
資源ごみ収集日に持ち去りが多発している宇治市内。この日は4台の車に分かれ市内を回ります。
しばらくすると、早速、別の車から持ち去りの瞬間を見つけたという連絡が入りました。
現場に向かうと、自転車の横にたたずむ一人の男性がいます。袋の中には鉄製の調理器具や電線コードが入っています。
「お金に換える?」
「お金…?」
「売る?」
「売る?あぁ〜」
「日本語分からない?」
「(うなずく)」
「今、警察呼ぶから警察」
「警察?」
「分からない?」
日本語が分からないという男性。事の重大さも分かっていないのか、警察が来るまでの間のんびりとたばこをくゆらせます。
「日本人ではない方なんで、詳しい事情は聞けないんですけど、おそらくどこか買い取りをしてくれるところに持ち込んでお金に換えておられるというようなことだと」
到着した警察官に職員が状況を説明。男性に対し、事情聴取が行われます。
「回収業者とか、そういうのではないですよね?これは資源で回収して市が使っているやつなんですけど知ってます?」
身分証明書を確認して本部に連絡をします。
「ちょっと現時点でどの程度、日本語を解しているのかちょっと判別つかない状況です。中国系です」
その後、この男性は警察署で取り調べ受け、厳重注意となりました。
トラック荷台に大量の資源物
番組が取材を続けていると、新たに資源が盗まれたという連絡が入りました。他の職員も急いで移動します。
向かった先は一軒のアパート。トラックの荷台には資源物が大量に積まれていました。
「パトロール中にすれ違った。すれ違って積載物見たら大量に取ったんじゃないかっていう物がいっぱい載っていたので回り道して追いかけていったら、ここ(男性の自宅)にたどり着いた。普段のパトロールでもしょっちゅう見かける“常習犯”なので、もう顔は覚えています。もう30回以上は見ていますね。パトロールのたびに見ていると言っても過言じゃない」
この男性、過去にも資源物の窃盗で捕まったことがある“常習犯”だといいます。
「これどうしたの?」
「月曜日、火曜日、水曜日…」
「どうやって手に入れたの?」
「日本語…」
「日本語分かるでしょ。この荷物!荷物どこでとったの!?」
「城陽(隣の市)と…」
「城陽と?」
「月曜日と火曜日…」
「とったんやね。ごみ置き場からとったんやね?なぁ!?とったんやね!」
「(うなずく)」
「ごみ置き場からとったって。城陽市からもとってる」
「やっぱりそうですか、嘘つかれてました?」
「うん」
宇治市だけではなく、隣の城陽市でも資源物を盗んだと話す男性。さらに盗んだものは、荷台以外にも。
自宅に1トンため込む
「これは!?これもやな!」
「これは前のやつ…」
「前にごみ置き場からとったんやろ!?」
「前…」
「前とかじゃなく、ごみ置き場からとったんでしょ?これももう回収するから。ほなら警察呼ぶからね。分かった?」
男性が住むアパートの敷地内にあった資源物すべてが、ごみ集積所から盗んだものだということが判明。男性は落胆を隠しきれない様子です。
「しょうがない」
「しょうがないじゃなくてダメなものはダメ」
「仕事もない…」
市は要注意人物ファイルを作成。逮捕歴のある人物などについて警戒を続けています。
「一番ひどい時であれば信号無視。3連続信号無視で逃げていったりする。私たちはそれは追いかけられないので、それを現地確認したというところで止まってしまうんですけれども。そういった危ない運転をする人間もファイルにはとじている。特徴とか車種とかナンバーとかは控えさせてもらって、そういった人物も要注意としてデータに残している」
今回の男性も“常習犯”の1人でした。パトカーや白バイなど6人の警察官が到着し、現場は騒然となります。
「交番来たの覚えている?3カ月ほど前。交番来て、これ持って行ったらダメって言った」
「あの〜…」
「私言った」
「ごみ箱の…」
「そうそうあかん。一回警告している。忘れたとは言わせへんで」
大量の資源物に、警察官は思わず絶句。
資源物は合わせて224点、重さにしておよそ1トンにも。男性は警察署へ同行を求められました。
先手打つ引き取りサービス
環境省が発表した報告書では、全国1741市区町村のうち729市区町村が資源ごみの持ち去りを認知していて全国的な問題となっています。
ベリーベスト法律事務所の齊田弁護士によると、窃盗罪として立件された場合には最高10年以下の拘禁刑または50万円以下の罰金が科せられる可能性もあるといいます。
そんな中、宇治市では持ち去られる前に先手を打つ取り組みを始めています。
「市民からごみが出しにくいという不安の声を寄せられていましたので、無料で家まで行って回収のほうをさせてもらっています」
2年前から始めた資源の引き取りサービス。家電や自転車、調理器具などを自宅まで出向いて回収します。
集めた資源物は契約している業者に持っていくことで市の収入に。自宅まで回収に向かう取り組みは環境省のモデルにも採択されました。
開始1年目には1033件の依頼があり、およそ99万円の売り上げに。市民にも好評です。
「これはいいことだと思いますよ」
「こうして来てもらえてうれしいです。助かりました」
「今年に関しては捕まえる数も増えていますので、(持ち去り)グループがあるかどうかは分からないですけども、そこの中でもおそらく宇治市は捕まえるぞと(情報が)回ってきていると思うので抑止力にはなっているのかなと」
(2026年2月11日放送分より)
















