社会

ABEMA TIMES

2026年2月21日 16:00

“高市動画”なぜ回る? 政治系切り抜き動画 専門家が指摘「一部界隈でバズってる“数字マジック”も」

“高市動画”なぜ回る? 政治系切り抜き動画 専門家が指摘「一部界隈でバズってる“数字マジック”も」
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 自民党の圧勝で幕を閉じた衆院選。野党が自民党の勝因の一つとして分析するのが「切り抜き動画」。

【映像】「SNSの切り抜きはテレビより雑」カンニング竹山が不満爆発させる瞬間(実際の映像)

 選挙期間中にSNS上で公開された政治動画の約7割が“切り抜き動画”だという調査結果も。その多くがテレビやネットメディア、政党や政治家が発信している映像を短く再編集したもので、その数は近年急増している。今回トレンドとなったのは、高市総理を「アゲる」動画と、中道改革連合を「サゲる」動画だったという。

 こうした状況に対して、Xでは「収益目的の素人の切り抜きが選挙を歪めてる」「デマや悪質な切り抜きが多すぎる」などの懸念の声があがっている。一方で、切り抜き動画がきっかけで政治に興味を持つ若者が増えたとの指摘も。なぜ政治系切り抜き動画がここまで広がり、大きな影響力を持つようになったのか。『ABEMA Prime』で、専門家が解説した。

■「高市フィーバー」の裏に政治家の“自力”

谷原つかさ准教授

 「高市フィーバー」とも呼べる現象が起きたことについて、政治とSNSの関連性に詳しい立命館大学の谷原つかさ准教授は、「やはりもう高市さんの自力が強すぎる」と分析する。

 谷原氏は、過去の参院選時のデータ分析を引き合いに、「内容や政策について語っていることや、感情性が高いことも多少は再生数を説明するが、それ以上に投じられた本人の自力が大きい」と指摘した。

 ここでいう「自力」については、「オフラインでの活動や、テレビ、既存メディアで集めたアテンションを、自身のチャンネルやネット空間に誘導していく動き」と補足した。

 政治家とインフルエンサーの違いは、「政治家や政党は動画の良し悪しで評価が割れるような次元の存在ではない」といい、「オンラインで完結せず、オフラインでの人気がオンラインの支持を支える相互作用がある」との見解を示した。

■切り抜き動画の“不健全さ”と“数字のマジック”

 一方で、切り抜き動画が著作権のグレーゾーンにある点についても言及。テレビ番組の切り抜きについて、「普通に著作権違反だと思う。権利者が申し立てれば収益を剥がされたり削除されたりするはずだが、YouTube側で追いついていない」と語る。

 許諾のない動画がネット空間をジャックしている現状に対し、「あまり良くないのではないか」と苦言を呈した。 さらに、特定の政党や候補者を称賛する動画が溢れる現状に対し、「嘘を言っているわけではなくても、一方向的な意見が支配的になることで、反対意見を持つ人が言いにくくなる。思想の自由市場の健全性という観点から見て、不健全になっているのではないか」との懸念を示す。

 また、動画の再生数という「数字」の捉え方には注意が必要だという。英語圏の研究データを紹介し、「党派性が強い匿名チャンネルの再生時間の80%は、わずか0.6%のユーザーが回していた。見ている人もチャンネル登録者ばかりというケースがある」と説明した。

 さらに、YouTubeのショート動画は表示された瞬間に1再生となる仕様に触れ、「数字のマジックで、一部の界隈でバズっているだけで、一般的な人にはそれほどリーチしていない可能性もある」。

 オンライン上の政党の「消費期限」が早まっていることを指摘し、「タイムラインの編集権がユーザーに移っていくような流れになれば、景色は変わるのではないか」とした。

(『ABEMA Prime』より)

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