社会

ABEMA TIMES

2026年2月22日 11:00

何もない刑務所で「足るを知る」本と絵に人生を救われた青年画家 大麻で服役5年も「熱心なものがあれば、それだけですごく充実した日々」

何もない刑務所で「足るを知る」本と絵に人生を救われた青年画家 大麻で服役5年も「熱心なものがあれば、それだけですごく充実した日々」
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 日本で刑法犯として検挙された者のうち再犯者が占める割合は、2024年で46.2%と高い水準にある。ネット上では「前科者は嫌だ」「元犯罪者が混ざってくるのは普通に怖いでしょ」といった厳しい声が溢れている。「ABEMA Prime」では、かつて罪を犯した当事者たちが、犯罪に至る背景や出所後の過酷な現実について議論を交わした。その中で、社会復帰への壁をアートで乗り越えようとする一人の男性が、その思いを語った。

【映像】元受刑者・堀切さんが手掛けた作品「苦悩は羅針盤」

■5年間の服役、きっかけは「大麻の栽培と販売」

堀切健太さん

 アーティストの堀切健太氏は2020年、大麻の販売と栽培(麻薬取締特例法違反)で逮捕され、懲役5年の刑を受けた元受刑者である。当時の価値観について「(大麻は)稼げた。たくさんいろいろなものが欲しいとか、どこかに行きたいというのがあった。結局、根本的に『人によく見られたい』という欲があった」と分析している。周囲への見栄や物欲に支配されていたことが、犯罪への引き金となっていた。

 懲役5年という月日は、堀切氏にとって自分自身と深く向き合う時間となった。彼は刑務所の中で膨大な本を読み、絵を描き続けた。そこでたどり着いたのが「足るを知る」という考え方だ。

 「懲役中は、部屋に(物が)とても少ない。なんでも1つしかないが、それでも生活は回る。自分は本をたくさん読んで『足るを知る』に至った。自分のやるべきこととか熱心なものがあれば、それだけですごく充実した日々になった」。

 堀切氏は、記号化された無機質な受刑者たちの姿をモチーフにした作品「苦悩は羅針盤」を完成させる。自身の服役生活を「長い人生の中では得だったのでは」という問いに対し、「(社会にいれば)たくさんの時間を創作に当てる時間はない。まだ活躍できる時にそういう経験できたのはすごくプラスになった。ただし入るべくして入ったというのもある」と、前向きに振り返っている。

■「気づく人」と「そうでない人」の決定的な差

堀切健太氏

 同じ環境に身を置きながら、生きがいを見つけられる人と、再犯を繰り返す人が分かれるのか。堀切氏は「気づき」の重要性を説く。

 「再犯しないためには、どこかで気付くとか、『これはもう自分にいらない』『もうやる意味がない』と、どこかで腑に落ちない限り、一生同じ。周りにはテレビを見るしか楽しみがない人も、人の悪口を言って一日が終わる人もいた」。

 やるべきことを見つけられない人を「残念」としつつも、「そういう出会いが、(刑務所に)行くまでにあったら、もっと違う人生だったのかなとかも思う」と、きっかけの欠如が更生を阻んでいる可能性にも触れた。

 現在、堀切氏はイラストレーターとしての仕事を増やしながら、自らの思想を投影した個展「チョーエキノート」を開催するなど、精力的に活動している。しかし、現実は甘くない。刑期満了を伝えるニュースが流れただけで、アルバイト先から連絡が来なくなるなどの排除も経験した。

 願いは一度の失敗で全てが終わりになるような空気感の変容だ。「日本は1回ミスをしたらすごく厳しい。『もうあいつダメでしょ』みたい。1回ぐらいのミスは、人間誰にでもある。『そういうこともあるよね』と、トライするチャンスがあるといい」。 (『ABEMA Prime』より)

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