日本における再犯率は46.2%と高止まりしている。ネット上では「前科者は嫌だ」「混ざってくるのは普通に怖いでしょ」といった厳しい声が上がり、元受刑者が一般社会に戻る上での、大きな壁にもなっている。「ABEMA Prime」では、かつて罪を犯した当事者たちが、犯罪に至る背景や出所後の過酷な現実について議論を交わした。その中で、元「トクリュウ(匿名・流動型犯罪グループ)」の主犯格として服役したフナイム氏が、自身の転落と現在の活動について赤裸々に語った。
■「50万から100万稼げる」役者志望の若者を襲った甘い罠

フナイム氏が犯罪に手を染めたのは、役者を目指していた23歳の頃だった。生活のために夜の飲食店でアルバイトをしていた彼は、そこで知り合った客から「いい仕事がある」と持ちかけられたという。
「50万から100万ぐらい稼げる金融の仕事あるから、よかったらやってみないかと。身分証1枚あればできると言われたのがきっかけ。芸能界はすごくきらびやかな世界だし、お金もたくさん稼げる。でも役者としては売れてない。だったら、そういった世界でお金を稼いでもいいのではと、欲望が勝ってしまった」。
足を踏み入れた先は、普通のマンションの一室だった。しかし、そこで待ち受けていたのは、暴力団の名前を出すようなコワモテの男たちと、「融資保証金詐欺」という名の犯罪現場だった。フナイム氏は当時の心境を「抜けたらヤバいというか、抜けられないところにいた」と回顧しつつも、一方で「そこの人たちがすごく優しかった。ご飯も奢ってくれたり、飲みにも連れていってくれた。いろいろ買ってくれたりもして、やっていることはダメだけど、いい人だった。警察にも捕まらないと言っているし、お金ももらえるんならやっていこうかなと。やめる勇気はなかった」と流されてしまった。
■「3種類の声」を使い分け、高齢者を欺く巧妙な手口
フナイム氏はその後、特殊詐欺グループの中で主犯格にまで昇り詰めた。その背景には、役者を目指していた彼ならではの、人並み外れたコミュニケーション能力があった。
「言葉も上手ですし、声を3種類に変えていた。高齢者の方を電話で騙していたので、コミュニケーション能力が人より高かったかと思う」。
当初は罪悪感があったものの、次第にその感覚は麻痺していったという。4年2カ月の服役を終えて丸5年が経つ現在、彼は当時の自分を「完全に利己的な人間だった」と後悔している。
刑務所での日々は、フナイム氏にとって自身の「利己的な生き方」と向き合う時間となった。「自分で自分のことを殺してやりたいぐらいのことを思った」という深い後悔から、彼は「このまま行けば再犯してしまう、変わろう」と決意し、現在は犯罪撲滅活動に心血を注いでいる。現在の具体的な活動内容については、こう語る。
「犯罪撲滅活動としてSNSで発信したり、メディアにも出させていただいている。高校や大学で講演して、闇バイト・特殊詐欺という世界に入ってはいけない、騙されないようにしてください、こういう世界なんですよ、危ないですよと啓蒙活動をしている」。
フナイム氏は、更生のために必要なのは、自分を上から俯瞰するような「客観的な視点」だと強調する。社会復帰後、誹謗中傷などの強い逆風にさらされながらも、「罪を犯したら絶対にこうなるからやめてくださいということ伝えたい」とし、かつての自分と同じ過ちを繰り返す若者を減らそうと力を尽くし続けているという。 (『ABEMA Prime』より)