社会

ABEMA TIMES

2026年3月5日 12:30

東大生も陥る?“受験後遺症”とは「偏差値=自分の価値…」心が壊れていく子どもたち

東大生も陥る?“受験後遺症”とは「偏差値=自分の価値…」心が壊れていく子どもたち
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 年々過熱する、中学受験。そんななか、いま注目されているのが「受験後遺症」。小学生の頃から受験に取り組むことで「自分の価値=偏差値」という観念にとらわれ、子どもが疲弊し、心が壊れてしまう状態を指す。

【映像】「親を?すことを考えた」当事者の叫び(実際の映像)

 研究者によると、受験に失敗することで自殺や非行に繋がるケースもあり、合格しても、子どもに学歴偏重主義の考えを植えつけてしまう懸念があるいう。

 この受験後遺症について、Xでは「何年も前に中学受験を終えたのに、この時期になるといまだに緊張する」「中学受験させられ、苦しく、親を殺すことを考えた」「中学受験は合わないとトラウマになる。撤退も考えてあげて」などの声があがっている。

 受験後遺症の実情とはどのようなものなのか。『ABEMA Prime』では、抜け出すには何が必要か、考えた。

■ 合格の後に訪れる「目的の空洞化」と自己肯定感の低下

鳥羽和久氏

 塾の経営者、作家の鳥羽和久氏は、受験後遺症について、「合格後に、なぜ学ぶのかという目的が空洞化し、方向喪失が起きる。偏差値や順位、合否という尺度で自己価値を測る瞬間が身体化してしまい、常に試されているという緊張が続いてしまう。何もしていない時間を無駄と感じて焦ったり、成績の良し悪しがそのまま自分の価値であると極端な同一化に走ってしまう状態だ」。

 こうした状態になりやすい子どもの傾向については「真面目な子はなりやすい。子どもは親の期待や愛に応えようとするため、評価してもらえるかどうかが行動の基準になってしまう」と指摘する。

■ 「東大生の大半は受験後遺症に苦しんでいる」

澤氏

 自らも受験活動を通じて自己評価の問題に向き合ってきた精神科医の澤氏は、自身の経験を振り返った。「小学校4年生で全国模試1位を取ったことで親の期待が過熱した。5年生で成績が下がると、塾の成績表を見るのが怖くてポストが流れてしまえばいいとすら思った。母から『情けない』と言われ、成績を保つために塾でカンニングをするまで追い詰められた。当時は勉強ができないと愛されないという感覚に陥っていた」。

 これに対し、東大卒である作家の西岡壱誠氏は「中学受験の塾でカンニングする子は非常に多い。親に100点を見せないと怒られるからと、採点者に『赤ペンではなく消せる黒鉛筆で丸付けをしてくれ』と頼む子もいる。親の期待に応えるために、学力を高く見せようとする歪みが生まれている」と語る。

 また、「東大に入っても受験後遺症に苦しんでいる東大生は非常に多い。例えば私の友人は中学校、高校でトップの成績を収め、東京大学に合格したが、大学2年生のときにうつ病になった。理由を聞くと、弁護士資格の予備試験に落ちたからだという。20歳にして試験と呼ばれるものに初めて落ちたことで、全てが狂ってしまったと話していた。合格して一見うまくいった子の方が、実は激しく苦しんでいる場合がある」との見方を示した。

■ 親の不安が子どもを追い詰める背景

口にしがちな言葉・特徴は

 親世代の背景について、コラムニストの佐々木俊尚氏は、「就職氷河期を経験しており、頑張り続けないと脱落するという脅迫観念が強い。しかし、今の日本は多様化しており、必ずしもエリート大学を出なくても専門性を積めば転職もできる。親の世代の幻想を解きほぐすことが大事だ」との考えを話す。

 一方で、タレントの山崎怜奈氏は、自身の経験から中学受験のポジティブな側面にも触れた。 「小学校が合わなかった自分にとって、中学受験はある程度の価値観やレイヤーが近い仲間を探しやすく、楽しく過ごせる環境を選ぶための最初のポイントだった」。

 現在、後遺症に悩んでいる人々に対し、澤氏は、「親は子どもが自分の人生のレールに乗ると安心するが、そうならなかった時の不安を子どもにぶつけてしまうのは怖い。自分自身、悩んできた体験が今の仕事に生きている。親はただそばで笑っているだけでいいということを伝えていきたい」。

 鳥羽氏は「後遺症を完全にリセットするのは難しい。後遺症を抱えつつも、新しく自分自身が実感を持って生きられることを見つけ、上書きしていくしかない」とアドバイスを送った。

(『ABEMA Prime』より)

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