社会

ABEMA TIMES

2026年3月11日 13:30

スカウト集団「ナチュラル」の実態?元メンバー「『おとり捜査の情報が入っているから別の街に行け』という連絡は何度も」「条件面の交渉など、真っ当な仕事の真似事のような感覚」

スカウト集団「ナチュラル」の実態?元メンバー「『おとり捜査の情報が入っているから別の街に行け』という連絡は何度も」「条件面の交渉など、真っ当な仕事の真似事のような感覚」
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 先日、警視庁はトクリュウ(匿名・流動型犯罪グループ)のひとつで、国内最大規模のスカウトグループ「ナチュラル」の会長を逮捕した。

【映像】「ナチュラル」に情報漏えいしていた元警部補(顔出しあり)

 2023年、東京・渋谷区で暴力団にみかじめ料を払った疑いが持たれているが、ナチュラルが行っていたのが違法なスカウト。全国の繁華街で女性をスカウトし、風俗店へ違法に斡旋。警視庁によると、女性の売り上げに応じて支払われる報酬などで、年間44億円以上の収入を得ていたとみられている。そして、スカウトを行うために暴力団に定期的に、みかじめ料を渡していた。

 その特徴だが、メンバーの募集はSNSで行い、警視庁によると、組織内で使うアプリを管理する部門もあったという。またグループのルールを破ったとして、仲間の男性にわいせつな行為を行い、けがをさせた上、監禁するなどして逮捕、起訴された幹部も。さらに衝撃をもたらしたのが、現役警察官の協力だった。

 去年12月、警視庁・暴力団対策課に所属していた警察官が、捜査用カメラの設置場所などの情報を漏らした疑いで逮捕され、先月の初公判で、起訴内容を認めた。被告は去年3月までナチュラルの捜査を担当、関係先からは現金数百万円が見つかっていた。

 ナチュラルの実態はどこまで解明されているのか。なぜ警察官が犯行に加担してしまったのか。その背景を、元ナチュラルのスカウト、そして、かつて組織犯罪の捜査に従事、逮捕された被告の上司だったこともある元警察官とともに『ABEMA Prime』で考えた。

■巧妙化・組織化する「性風俗スカウト」の実態

テッド氏

 2018年までの4年間、ナチュラルに在籍していたテッド氏は、その活動内容について、「道を歩いている女性に声をかけ、仲良くなって、夜の仕事を探していれば適したところに紹介をして、スカウトバック(紹介料)をいただくというシンプルなことをしていた」と説明。動機については「手っ取り早くお金を稼げるという話で、他の仕事からズルズルと移っていった」。

 また、単なる紹介にとどまらず、店と女性の仲立ちをするマネージャーのような役割も担っていた。「お店も善意で女の子を受け入れるわけではない。女の子の給料をごまかしたりすることもあるので、条件面の交渉など、真っ当な仕事の真似事のような感覚はあった」。当時の収入については「月収50万円に達することもあった」と明かした。

 違法だという認識については、「完全に何にも触れていないとは思っていなかった。ただ、迷惑防止条例違反のような、いわゆる迷惑行為の延長線上にあるものだと軽く見ていた。ただ、完全にいいこととして紹介していたつもりはない」。スカウトを辞めた理由は、「続けるのは気持ち的にしんどいと思っていた」と述べた。

■元暴対課が明かす組織の巨大化と捜査の裏側

平野晃也氏

 元警視庁暴力団対策課の平野晃也氏は、ナチュラルについて、「2020年の歌舞伎町でのトラブルから本格的に捜査に入った。この組織は会長の下に主要メンバーがおり、各部門に役割を与えて組織化している会社形式のグループだ」と解説した。

 この種の組織が暴力団と異なる点として「暴力団は完全な縦社会だが、スカウトグループはあくまでビジネス目的で集まっている」。しかし、暴力団との接点については「スカウトの利益が暴力団の資金源(みかじめ料)になっている。彼らは縄張りを守る暴力団に挨拶をし、自分たちの行為を容認させている」と、裏社会の繋がりを明かした。

 また、警察側の情報が漏洩した事件については、「警察官としての倫理観を持って一線を引かなければならない。相手と駆け引きをする中で、取引(情報の交換)をやってしまうと足を取られることになる」と、捜査の難しさと危うさを指摘した。

■イタチごっこの現状と今後の展望

捜査の課題

 組織の統制についてテッド氏は、「おとり捜査の情報が入っているから別の街に行け、といった連絡がアプリを通じて何度も行われていた」と、警察の目を逃れる手口を証言した。

 これに対し平野氏は「彼らは潤沢な資金でエンジニアを雇い、独自のアプリを改良し続けて全員を統制している。源氏名や通り名を使い、顔の識別すら難しいこともあるため、全体像を掴むのは非常に難しい作業だ」と語る。

 今後の対策については、「店側がLINEなどで気軽に求人に応募できる環境を整え、女性がスカウトを通じなくても働ける仕組みを作れば、彼らの存在意義はなくなっていくはずだ」と提言。

 また、「スカウトバックが暴力団の資金源になる。どんなことがあっても、その解明と阻止という使命に向かっていかなければならない」とした。

(『ABEMA Prime』より)

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