福島に今、最新の防災技術が集まっています。
災害想定環境で、年間約200件の実証実験
防護服に身を包み、行方不明者を捜す警察官。あの日から15年…福島県沿岸部の今。
福島県南相馬市と浪江町に位置する世界最大級の研究・開発拠点「福島ロボットテストフィールド」。さまざまな災害を想定した環境の下、年間およそ200件の実証実験が行われています。
先月、土砂災害の現場を再現したエリアでは、「音を検知して被災者を探す」実証実験が行われていました。
ドローンの先端に付いたマイクがスピーカーから流れる被災者の声に模した音を拾って、夜間など捜索が難しい災害現場で人命救助を支援します。
災害対応ロボット「MISORA2」。遠隔操作で、人の代わりに救助活動を行ってくれます。
さらに、100キロを30分で移動する空飛ぶクルマも。実際に乗ってみました。
「(Q.ハンドルは?)この操縦桿(かん)だけで操作します」
回転する複数のプロペラ。これは5年前、改良前のモデルが飛行試験に成功した時の様子です。
「日本で唯一、大型のネットが付いた飛行試験場がある場所だったので、この地(福島ロボットテストフィールド)に入居して開発を進めています」
ひび割れ勝手に直る“自己治癒コンクリート”
今、福島では新たなイノベーションを生み出そうとする国家プロジェクトが進められていて、全国からさまざまな企業が進出しています。
創業以来、人の命を守るインフラ作りを手掛けてきた北海道の総合コンクリートメーカーの「會澤高圧コンクリート」。2023年6月、福島県浪江町に新たな研究・開発拠点を作りました。
大橋未来さん
「実はこの建物、一見普通に見えますけど、ひび割れが勝手に直る『自己治癒コンクリート』が搭載されていて」
コンクリートに入ったひびが直ります。ひびから漏れた水も、徐々に止まります。
ひび割れが勝手に直る“自己治癒コンクリート”。温度や湿度などの条件によって期間に差はありますが、およそ2週間から1カ月で、ひび割れが自動で修復されます。
マイクロスコープで観察した映像を見ると、その理由が分かります。
「これ全部バクテリア。研究によると、このバクテリアは200年間ずっといる。コンクリート構造物の長寿命化につながる技術と認識しています」
一般的なコンクリートの寿命がおよそ60年であるのに対し、バクテリアの活動によって、100年近くまで延ばすことができます。
バッテリー?“蓄電コンクリート”
さらに、災害時に役立つ新たなコンクリートが“蓄電コンクリート”です。今、ここ福島で世界初のテクノロジーが生まれつつあります。
小熊祥平さん
「(Q.こちらは何でしょうか。ケーブルが青く光っていますが)コンクリートに蓄えた電気でLEDライトを光らせています」
これが電気を蓄えるコンクリート、蓄電コンクリートです。バッテリーのような役割を果たしていて、4つ合わせて洗濯機を5回回せるほどの電力を蓄えられます。
今年9月から東京都と共同で住宅の床下に置いて、蓄電できるかどうかを実証実験します。近い将来、住宅そのものに蓄電できる、そんな仕組みを目指しています。
「(Q.災害時は、どのように活躍する?)非常時に電気が使えない時でも、スマホを充電したり、非常用の電力として使えるような商品としての展開を目指しています」
浪江町から広げる「新しい防災の形」
一方で、コンクリートというインフラだけで、命を守る難しさを感じていました。
「コンクリートは人の命を守るインフラの役割を担ってきました。大きい地震であったり豪雨であったり、コンクリートの構造物だけでは人の命を守れないと感じてきた」
そこで、新たに取り組んだのが…。
精密避難支援システム「The Guardian」。いつ起きてもおかしくない巨大地震や津波などへの備えとして、自動で飛び立つ仕組みで、長時間の飛行ができます。
ドローンが撮影した映像はリアルタイムで住民に配信され、避難を促します。浪江町と連携し、本格的な運用は2030年を目指しています。
あの日、2階まで津波が押し寄せた請戸小学校。児童全員が無事に避難した学校の敷地内に、ドローンポートを構えました。
そして、児童が避難した山の近くに、今では會澤高圧コンクリートの研究・開発拠点があります。
(2026年3月11日放送分より)















