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2026年3月12日 19:51

医療過誤に8件関与?“ドリルで神経切断”医師の男に有罪判決

医療過誤に8件関与?“ドリルで神経切断”医師の男に有罪判決
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 医師の男に有罪判決が言い渡されました。関わった医療事故は8件、医療の現場で一体、何が。

関わった手術8件で医療事故

 「脳外科医竹田くん」。地方の病院に勤める脳外科医「竹田くん」が起こすトラブルや医療ミスを描いたマンガです。

 この竹田くんのモデルとなったのが、医師の松井宏樹被告(47)です。

業務上過失傷害の罪に問われている
業務上過失傷害の罪に問われている

 2020年1月、兵庫県の赤穂市民病院で当時70代の女性患者の腰の手術の際、骨をドリルで削る最中に誤って神経を切断し、重い後遺障害を負わせた業務上過失傷害の罪に問われています。

 「脳外科医竹田くん」を描いたのは被害女性の親族で、「この問題を社会に伝えたい」と自ら関係者に聞き取りを重ね、マンガにしました。

被害女性の親族
「『いっぱい起こしているんだよ、彼は』と、たくさんの医療関係者から聞いて。この病院一体どうなっているんだろうと」
計8件の医療事故に関わったことが認定されている
計8件の医療事故に関わったことが認定されている

 松井被告は2019年に病院に採用されてからおよそ8カ月の間に、70代の女性の件を含めて8件の医療事故に関わったことが認定されています。

松井被告
「50例ほど執刀しています。緊急患者を診ている脳外科医としては、それほど悪い成績とは思いません」

 女性は手術を受ける前には、持っている杖もつかず、すんなりと車に乗り込んでいます。

 それが手術後は、ほとんど歩くことができなくなり、絶えず襲ってくる痛みを訴えるようになりました。

絶えず襲ってくる痛みを訴えるように
絶えず襲ってくる痛みを訴えるように
被害女性の親族
「強い痛み止めを何年間も投与され続けるような状態になりました。痛みでもがき苦しんでいる姿は、家族として見てて耐えられない」
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“ドリルで神経切断”

 女性は2020年1月、腰痛の検査で入院し、主治医となったのが松井被告でした。

「早急に手術したほうがいい」と促された
「早急に手術したほうがいい」と促された

 腰の骨が曲がることで神経が圧迫される重度の腰部脊柱管狭窄症(ようぶせきちゅうかんきょうさくしょう)で、「早急に手術したほうがいい」と促されたということです。

 手術は前半に脳神経外科の科長だったA医師が手本を見せ、後半で松井被告が執刀することになったといいます。

「スチールバー」と呼ばれるドリルで…
「スチールバー」と呼ばれるドリルで…

 松井被告は、「スチールバー」と呼ばれる削る力が強いドリルを使って骨を削っている最中に、神経を巻き込み切断したということです。

手術の映像
手術の映像

 実際の手術の映像も、裁判の中で証拠として提出されました。神経が露出する映像です。

被告の主張
被告の主張
松井被告
「スチールバーで掘削したこと、患部が見えにくい状態で削ってしまったことが、私の過失だと思っています。明確に先生(A医師)の指示がありました。『そんなことをしていたら日が暮れる』と」

 A医師からのスチールバーを使うように指示があった、また「チームでやっているので、1人だけ悪いとなるのは違うのかなと」と主張しています。

A医師の主張
A医師の主張

 一方、証人として出廷したA医師は、スチールバーを使うように言ったことは「なかった」と明確に否定。「以前より松井被告から執刀を完遂させてくれないと文句を言われていた」と証言しています。

 松井被告自身、手術後、A医師にメッセージを送り、自身のドリル操作が原因だと認めています。

自身のドリル操作が原因だと認めている
自身のドリル操作が原因だと認めている
松井被告→A医師 メッセージの再現
「今回の件、先生のせいではありません」
「止血が甘かったこと、焦っていたこと、ドリリングが荒かったことが原因です」
研修医のころ同僚だった医師
研修医のころ同僚だった医師
松井被告と同僚だった医師
「昔から手技的に危なっかしさというのはあった。(松井被告は)脳外科医として技術を向上することもなく、このような問題を起こしてしまったんだろうなと」

 研修医のころ同僚だった医師は、松井被告が以前から問題行動やミスを繰り返していたと証言します。

「当時から遅刻や、主治医であるにもかかわらず連絡がつかない。連絡がつくと『自分は行けないから』他の医師に『代わりに説明をしておいて』と押し付けて、実際本人がどこにいたか分からないということが多々あった」
「(松井被告は)これまで2つの大学の医局に所属していたことがあり、いずれからも最終的には破門の形で所属から外れた。やったことない手術を『やった』と言って実際に執刀して、あわや大惨事というようなことを招いたと聞いた」

 赤穂市民病院でも松井被告は技術の問題や患者を診ないなど、スタッフや患者から苦情が相次ぎ、病院が文書で警告をしたこともあります。

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医師に有罪判決

検察側と弁護側の主張
検察側と弁護側の主張

 先月18日に行われた論告で、検察は「止血をして視野を確保するのは手術の基本中の基本で、極めて基本的な注意義務に違反している」として禁錮1年6カ月を求刑。

 一方、弁護側は「事故が起きた時に一人の医師に責任を負わせたら、医師を志願する人は少なくなる。刑事責任を彼一人が負うべきではない」と主張しました。

 松井被告は病院を移りますが、その病院でもトラブルが…。

山田進さん(当時90歳)の家族も被害を訴える
山田進さん(当時90歳)の家族も被害を訴える
山田進さんの長女
「テレビに出て意見を言っているのも、全部“父に対して申し訳なかった”から。申し訳なかったから、やれることは全部やろうと」

 山田進さん(当時90歳)の家族も被害を訴えます。

 2023年、新型コロナに感染した山田さんは透析を受けるために大阪市内の病院に入院しましたが、2日間透析を受けられずに容体が急変し死亡しました。

山田進さんの長女
「どういう医者なんだろうと思い、(名前を)検索した。そしたら一発で出てきた。赤穂市民病院のこと」
医療事故ともミスとも認めず
医療事故ともミスとも認めず

 担当した医師は、松井被告でした。

 病院側は透析が遅れたことは認め、山田さんの呼吸状態が悪化した可能性はあるものの直接の死因ではないとして、医療事故ともミスとも認めませんでした。

 その後も勤め先を変えた松井被告ですが、現在は病院には勤めていません。

 刑事裁判で有罪判決が確定し、さらに厚生労働省の審議会で免許の取り消しが相当と議決されれば、医師免許は取り消しになります。

手術ミスの被害者
「ああいう人を野放しにするのは断固反対です。これから新たな患者を出さないように努めてほしい。もう、たくさんです」

 そして12日に行われた裁判で、松井被告に禁錮1年、執行猶予3年が言い渡されました。

「視野の把握が困難な状態でドリルの使用を止めるべきだった」
「視野の把握が困難な状態でドリルの使用を止めるべきだった」
裁判長
「止血の回数が少なく、視野の把握が困難な状態でドリルの使用を止めるべきだった。被害者は被告を信用して手術を受けたのに、ずさんな手術で一生治ることのない傷を負った」

 神戸地裁姫路支部は、松井被告が基本的な注意義務を怠ったと指摘する一方で、病院の被告をバックアップする体制が十分ではなかったとし、執行猶予付きの判決としました。

 判決を受け、被害者の家族が代理人を通じてコメントを出しました。

被害者の家族が代理人を通じてコメントを発表
被害者の家族が代理人を通じてコメントを発表
被害者側の弁護士
「(被害者の家族としての思い)医療過誤によって奪われた母の身体の自由や、失われた時間が戻ることは二度とありません。被告人質問での他責的な発言や自己弁護の繰り返し、平然と嘘を並べ立てる供述態度には絶望いたしました。患者の生命を軽視するような方は医療に携わるべきではないと考えております」

(2026年3月12日放送分より)

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