近年、公園の利用ルールが厳しくなっています。
子どもの遊びを制限する公園が増えています。
子どもの声が騒音という苦情や世代間の分断について見ていきます。
■“禁止看板”15枚 変わりゆく公園 年齢や服装の規制も!?
子どもたちが遊ぶ公園で規制が増えているようです。
東京・練馬区にある公園です。
こちらの公園では注意事項や禁止事項の看板が15枚設置されています。
現在では整理されてこの数になっているようですが、一時、多い時は24枚もの看板が設置されていたということです。
「固いボールを使った遊びはやめてください」
「火気厳禁 バーベキューや花火などは禁止です」
「公園の植物はみんなの物です。折ったりして遊ばないでください」
このような看板が公園に設置されているということです。
公園の利用者の声です。
「子どもが小さいので固いボールを蹴っているのは怖い。 禁止はかわいそうだけど遊具の近くとかはありがたい」
「自分たちが子どものころよりルールは厳しくなったかなと思う。でもこれだけ住宅が密集していたら仕方がない」
遊んでいた子どもにも話を聞きました。
「午前中サッカーボールで友達と遊んでいるとお巡りさんがくるから午後遊ぶようにしている」と公園で遊ぶことに委縮していると話しています。
「看板はない方がいいと思っているが、 夜にバイクが入ってきたり、樹木が踏み荒らされたりなどの事例があり、 近隣住民の声もあるので対応せざるを得なかった」ということです。
平日の子どもの外遊びの日数です。
平日月曜日から金曜日までの5日間で外遊びをしている日数を調査した結果、
・0日(1日も外で遊ばない)と答えた子が78%、
・1日と答えた子が10%、
・2日と答えた子が4%、
・3日と答えた子が3%、
・4日と答えた子が2%、
・5日(毎日)と答えた子が3%、
とほとんどの子どもが外でまったく遊ばないと答えています。
公園や遊具について研究している東京科学大学准教授の北村匡平さんが調査した公園には、こんな規制がある公園もあったそうです。
東京都府中市や山口県下関市にある公園では、遊具に年齢制限を設けています。
写真のステッカーでは3歳から6歳まで、6歳から12歳までと細かく年齢制限されています。
山口県下関市の公園には、
『マフラーはとりましょう』、
『うわぎのまえのボタンをとめましょう』、
など遊具で遊ぶ際の服装について細かく指定している公園もあります。
「2000年代以降から禁止事項の貼り紙や看板が増えた。自転車やボールは禁止が多い。場所によっては服装も指定されていて、子どもたちにとって楽しくない場所になっている」
ボール遊びについては、自治体の規模によって差があるようです。
こちらは公園でのボール遊びを規制している自治体の割合です。
東京都内では、ボール遊びを一律に規制している自治体が一番多く約6割を占めています。
政令指定都市をみると、個別規制が7割以上に。
人口10万人未満の小都市になると、規制がない自治体が過半数となりました。
一番下の町や村単位になると、規制なしが6割以上となっています。
東京都内ではすべての公園を規制している自治体が多く、その他の自治体では規模が小さくなるにつれて規制なしが増えるという結果になっています。
■子どもの公園遊び制限 背景に『苦情』 遊具による事故も
ルールが多くて、子どもたちの公園遊びが難しくなっている背景について、北村さんに3つ挙げていただきました。
背景1つ目は、『子どもの声は騒音』という大人の苦情です。
「家の前が公園で、毎日一定以上の子どもの声はしんどい」
「公園のそばに住んだことない人には騒音・マナーの悪さがどれほどかわからない」といった声があります。
東京都内の公園では2007年、(公園の)近隣住民が「噴水で遊ぶ子どもの声がうるさい」として、東京地裁に騒音差し止めの仮処分を申し立て、東京地裁が噴水を使用してはならないとする決定を出しました。
決定が出た翌日、公園を管理する自治体は噴水を止めました。
「保育園児の声は騒音」だという意見に共感できるかという、調査です。
地域活動への参加の度合いで見ると、騒音という意見に「共感できる」と答えた人は、地域活動に参加していない人だと約4割を占めていますが、逆に『月1日程度以上参加』の人は騒音だという意見に「共感できない」という人が7割以上を占めました。
地域の交流が少ない人ほど子どもの声に不寛容な傾向がうかがえます。
背景2つ目は、『公園利用の全世代化』です。
公園は、1956年の都市公園法で『児童公園』という名称で児童の利用が主な目的とされていました。
それが1993年、改正され、『街区公園』という名称に改められ、児童だけでなく、幅広い年齢層の地域住民の利用を視野に入れ、コミュニティの形成の役割も期待されるようになりました。
これにより変わったのが、公園内の健康器具の数です。
1998年は、2295基だったのが、2019年には、約7. 7倍増えて、1万7733基になりました。
取材した公園にあった健康器具には、
『 この器具は大人専用です 子どもの使用はできません」と書かれたシールが貼ってありました。
「全世代を公園に呼び込むという目的は果たしているが、一方で子どもにとっては、ワクワク感が欠ける公園になってしまう。また、世代間の分断にもつながる」
背景3つ目、『規制の強化』です。
1990年代後半、遊具による事故が相次ぎ、社会問題となりました。
1998年、宮崎県では11歳の女児が箱ブランコの下に落ち、ブランコに頭と体を挟まれ亡くなりました。
1995年、福岡県では、5歳の男児が、滑車やワイヤでできた遊具に手を挟み、左薬指を切断するなどのけがをしました。
遊具による事故を受け、国交省は2002年、『都市公園における遊具の安全確保に関する指針』を策定しました。
この指針に基づき、(年齢・服装など含め)遊具の利用が厳格化されていきました。
「子どもは年齢に応じて、体力や運動能力に大きな違いがみられる。高年齢向けの遊具で低年齢の子どもが遊ぶと重大な事故につながりかねない。あくまでも安全利用表示は、国の指針に沿った安全のための表示」としています。
■自由な外遊びへ 子どもの声「騒音じゃない」ルール改正も
子どもの声や公園での遊びの規制などについてみてきましたが、その解決のカギについてもみていきます。
子どもの声については、海外でも議論になったことがあります。
ドイツです。
ドイツでは、2000年代に子どもの声がうるさいという理由から、訴訟が相次ぎ、保育園の移転や閉鎖が多発しました。
これを受け、2011年にドイツの連邦議会では、児童保育施設や公園などで、14歳未満の子どもや子どものお世話をする大人が発する声は騒音ではないと認める法改正を行いました。
「子どもである以上、 走り回ったり、遊んだり、騒いだりすることから切り離せない。子どもたちは、子どもとして生きる権利がある」と説明しています。
こうした動きは日本でも進んでいます。
東京都では、2015年に騒音防止を定めた条例を改正し、騒音の規制対象から保育園や幼稚園、公園などでの未就学児の声を除外しました。
また、外遊びについて制限が多くなっている中、子どもが自由に遊ぶことを推奨する自治体もあります。
神奈川県の大和市では、2017年に子どもの心と身体の健全な育成を図るために、外遊びに関する条例を制定しました。
制定の背景です。
市は、外遊びは子どもたちにとって
▼体の活動を支える体力が向上する
▼骨が丈夫になる
▼豊かな感性が育まれる
▼他人との会話力や社会性が身につく
などの様々な効果が期待でき、将来を担う子どもたちにとって重要であるためだとしています。
どのような取り組みを行っているのでしょうか。
公園では、規制されていることが多いボール遊びが出来るよう、防球ネットを設置した公園を整備しており、子どもたちはキャッチボールやサッカーのパス練習などのボール遊びが可能になっているということです。
(「羽鳥慎一モーニングショー」2026年3月17日放送分より)
















