社会

ABEMA TIMES

2026年3月22日 11:00

下ネタ絶対NG時代?岐路に立つ芸人「以前ならドカンとウケていたが、お客さんがモジモジしてる」

下ネタ絶対NG時代?岐路に立つ芸人「以前ならドカンとウケていたが、お客さんがモジモジしてる」
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 パワハラ、モラハラ、ルッキズムなど、世代間のギャップから様々な問題が生じる現代。昔は冗談で済まされていたことも、今では“問題発言”とされるケースも少なくない。その一つが「下ネタ」。

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 かつては「会話の潤滑油」とも言われたが、今や軽はずみに言おうものなら、セクハラで一発アウト。価値観が次々とアップデートされる時代、下ネタはどこまでOKで、どこからNGなのか。その境界線について『ABEMA Prime』で考えた。

■10年続けてきた下ネタに逆風?芸人が感じる「時代の変化」

すてきなひととき

 お笑いコンビ「すてきなひととき」は、ネタの9割以上が下ネタという独自のスタイルを貫いている。なぜ下ネタにこだわるのか。すてきなひととき・ろぱ仔氏は「2人で共通して1番面白いと思っていることが下ネタだった。10年ぐらい続けているが、ここ1、2年で急にウケにくくなってきた。以前ならドカンとウケていたところで、お客さんがもじもじしている」と現状を語った。

 これに対し、ぺこぱ・松陰寺太勇氏は「わかる。下ネタっぽいワードを言うと、以前よりもさっと引いていくのが早くなったと感じる」と同意。すてきなひととき・岩佐氏は、客席の反応について、「下ネタで笑うと、それを理解していることが周りにバレてしまうという心理があるのではないか。周りが笑わなければ、どんどん全体的に笑わなくなる」と分析した。

 また、賞レースにおける厳しさについて、「『キングオブコント』が今1番下ネタに厳しい。どぶろっくさんが優勝した2019年以降、下ネタをやっても一切ウケなくなってしまった。予選からお客さんが笑わなくなっている」と明かした。

■下ネタは高度な知性? 脳科学から見た「リスクと報酬」

菅原道仁氏

 脳神経外科医の菅原道仁氏は、下ネタがもたらす脳への影響について「人間は危険なものやリスクを背負うことに対してドーパミンが出る。ギリギリを攻めることで報酬系が刺激され、楽しくなる」と説明する。

 しかし、不適切な場で下ネタを言ってしまう人には注意が必要だという。「瞬間的な思いつきをコントロールするのは前頭葉だが、その力が落ちると脱抑制という状態になる。特にお酒が入っている時やイライラしている時は前頭葉の力が落ちやすい。下ネタを許容できるかは相手との信頼関係の醸成次第だ」。

 さらに、「いい下ネタ」と「悪い下ネタ」の境界線について、「いい下ネタは、自分自身のことを話す自虐的なもの。抽象的で、全員が面白いと共有できるネタ。悪い下ネタは相手を小馬鹿にする、支配する、恥をかかせるといった下心があるもの」だと解説した。

 この解説を受け、岩佐氏は「僕らは下ネタも鍛錬してやっている。露出度の高い衣装を着ない、直接的な単語は言わないなど、不快に思われないラインを長年研究している」と、プロとしてのこだわりを強調した。

■「ハラスメント」と「表現」の切り分けが必要

おじさんの特徴

 社会における下ネタの役割について、コラムニストの河崎環氏は、「下ネタがNGなのではなく、ハラスメントがNG。ハラスメントではない下ネタを編み出したり、追求したりすればいい。人間は全身で生きているのだから、会話の中から下ネタが一掃されてアンタッチャブルなものになるのは、逆に危ういのではないか」と疑問を呈した。

 一方で、下ネタを苦手とする層への配慮も不可欠だ。「なんもり法律事務所」の南和行弁護士は「下ネタを言うことで男性同士の連帯感が高まるという人もいるが、それが苦手な人もいっぱいいる。下ネタを笑えるか笑えないかで上下関係を作るような使い方は暴力的だ」と述べた。

 今後の戦略について、松陰寺太勇氏は「下ネタは全世界共通。海外を目指してみるのはどうか」と提案する。岩佐氏は「テレビ以外でも下ネタをガンガンやって知名度を上げられる方法があるなら、そっちでもいい。とんでもない国で単独ライブをやるのも面白い」と、新たな可能性に意欲を見せた。

(『ABEMA Prime』より)

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