社会

ABEMA TIMES

2026年3月22日 12:00

「中学時代にバターナイフで刺され…」母親から虐待受け“愛着障害”と診断 当事者抱える苦悩とは?「些細な失敗でも、自分はダメな人間なんだと追い詰めてしまう」

「中学時代にバターナイフで刺され…」母親から虐待受け“愛着障害”と診断 当事者抱える苦悩とは?「些細な失敗でも、自分はダメな人間なんだと追い詰めてしまう」
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 親や養育者の愛情不足による心の傷が原因で、大人になっても自己肯定感が低く、仕事や対人関係がうまくいかない「愛着障害」。現在、児童虐待の相談対応件数は約22万4千件と、高水準が続いているが、その結果、愛着障害を背負う人も少なからずいる。

【映像】ナイフで刺してきた母親との写真(実際の映像)

 どうすれば 愛情不足を克服できるのか。親から子へどう「愛情」を伝えればいいのか。愛着障害に悩む当事者と専門家とともに『ABEMA Prime』で考えた。

■虐待と「愛があるから」という誤解

診断までの経緯

 母親から受けた虐待が原因で、半年ほど前に愛着障害と診断された、綿雨とわ氏(28)。経緯について、「幼少期から母親から虐待を受けて、父親は放置していた。大学生になってから母親と距離を置こうと決意して、早朝と深夜にバイトを入れて働き詰めになってから体調を崩して精神科に入院した。社会人になってから仕事がうまくいかない壁に当たり、精神科で愛着障害と診断された」と明かした。

 具体的な症状については「人にとっては些細な失敗だったとしても、自分の中ではめちゃくちゃ大きく感じてしまい、自分はダメな人間なんだと追い詰めてしまう」。

 また、虐待を受けていた当時の心境を「母親は自分のことを愛してるからこそ殴る蹴るをしてくるんだ、だから自分はダメな子供なんだと思っていた」と振り返った。

 異変に気づいたきっかけは「中学時代にバターナイフで刺されたことだった」という。「学校に相談したら大慌てになっちゃって、『それはやばいよ』となって。カウンセラーさんや保健室の先生に聞き取り調査をされた段階で、うちは普通じゃないんだと気づいた」。

■愛着障害の原因

益田裕介氏

 早稲田メンタルクリニックの院長、益田裕介氏は、愛着障害について「言葉は広まっているが、本来は子供につける病名。大人の場合は『大人の愛着障害』という形で言われることが多い。子供の場合、不安な状況でも大人に助けを求めない、感情があまり出ない、楽しい状況でもイライラする、といった特徴がある」と説明。

 原因については、「愛情が欠如している状態。虐待もあれば、ネグレクト、適切に養育されていない、あるいは気はなくても日中過ごす時間が圧倒的に足りなくてネグレクトに近い状態になっているケースもある。脳が未熟な状態で生まれてくる人間にとって、育て直す過程で愛情がないとうまく育っていかない」と述べた。

 大物マダムタレントのアレン様は、「親の愛情のかけ方はそれぞれ。放任して見守るのも愛情と言えるし、暴力も愛情の一つと捉えるのであればいろんな形がある。ただ、本人が愛と捉えられない限りは愛ではないと思う。私の場合は放任だったが、後になって『あれは親の愛情だったんだ』と感じた。とわさんの場合は、自分の感情を最優先しちゃいけないと思っちゃっている」と分析した。

 とわ氏が「母親は優しい瞬間もあるが、豹変して暴力を振るう瞬間もあった。妹には全く暴力がなかった」と話すと、益田氏は「親の感情が安定していないケース。人格を尊重していれば愛情だが、子どもを自分の付属物のように扱い、自分の欲望のために着飾らせるような関係は、本当の愛情なのか非常に難しい。3人姉妹なら真面目な真ん中の子が狙われやすいといった構造もある」。

 さらに、虐待の連鎖については「育て方を知らなくて間違った育て方をしてしまうパターンや、感情のコントロールが効きにくいという遺伝的な要因もある。生まれと育ちの両方があって連鎖が起きやすい」と解説した。

■克服への道「依存先を増やす」

治療法

 克服や治療について、とわ氏は「自分以外に自分を肯定してくれる人間がいるとだいぶ変わってくる。依存先をどんどん増やしていった。大学生のときに恋愛で依存して痛い目を見て学んだので、次は友だち、バイト先の人と人脈を広げて頼る先を増やしたことで独り立ちできるようになった」。

 益田氏は「依存先を複数持つ、多極化させるのは良いこと。診断基準を満たさないくらいに回復することは可能だが、医師と患者の2人だけで良くなるものではない。夫や友人、職場の人など、いろんな関係が重なって良くなっていく」とした。

 親が子供に注ぐべき「愛情」について、「ボディタッチ、優しい声かけ、時には厳しさも必要だが、何より『相手が何を欲しがっているか』を手探りで悩み続けるプロセスが大事」だと主張した。

 さらに、「家庭の中に合理性を持ち込んではいけない。ルール化できないものをひたすら思いやりながら分ける、いわば『原始社会』のようなコミュニケーションが必要。相手の心をずっと考え続けて、何が欲しいのかを当てる。めんどくさいことをやり続けるのが愛情」だとした。

(『ABEMA Prime』より)

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