社会

ABEMA TIMES

2026年3月24日 07:00

女子高校生ら死亡の2隻「事業登録なし」…専門家が指摘する行政の問題点「組織改革しないと事故は続く」 辺野古転覆事故

女子高校生ら死亡の2隻「事業登録なし」…専門家が指摘する行政の問題点「組織改革しないと事故は続く」 辺野古転覆事故
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 「安らかにお眠りくださいと、哀悼の意を表したいと思います」(同志社国際高校西田喜久夫校長)。またも繰り返された海の事故。楽しいはずの修学旅行が一転、高校2年生の女子生徒と船長が死亡。14人が怪我という大惨事に。

【映像】転覆した2隻の船(実際の様子)

 転覆したのは「不屈」と「平和丸」の2隻の小型船。海上保安部によると、16日、2隻は沖縄県名護市の辺野古沖にある長島を抜け大浦湾を北上し、Uターン。その後、サンゴ礁が広がっている付近へと進んだところで大きな波を受けて「不屈」が転覆。その2分後、別の波を受けて「平和丸」も転覆したという。

 亡くなった女子生徒が見つかったのは平和丸の船体の下だ。発見時、救命胴衣を着ていたが、船体に引っかかった状態だった。

 亡くなった高校生を乗せた平和丸の乗組員は「目の前に溺れかけようとしている生徒たちがいて、引き返して自分たちだけ緊急避難できるのかが問われた。早く気づいて、船内に潜って探してあげられれば。すぐに救出できていれば。後悔の思いでいっぱい」と明かす。

 この悲惨な事故は、一体なぜ起こってしまったのか。小型船舶教習所を経営し船舶免許の試験官も務める、東京・港区議の榎本茂氏は「一番の問題は船長の自覚。安全に対する認識が浅すぎる」と指摘する。

 当時、現場の海域には波浪注意報が出ていたが、出航については亡くなった船長の判断に委ねられていたという。

 そして榎本氏が問題視するのは2隻の小型船に乗っていた人数だ。「乗船定員が非常に多いなというのが第一印象。国土交通省が本当に許可したのかなというのは正直なところ思います」(榎本氏、以下同)

 第11管区海上保安本部によると、転覆した2隻の最大搭載人員は、平和丸が旅客12人と船員1人、不屈が旅客9人と船員1人。事故当時、平和丸には12人、不屈には9人が乗っており、いずれも定員内だった。

 榎本氏は「小型船舶安全規則第75条 ここに最大搭載人員のことが書いてある。本来、定員は座席の数で決まる」と説明する。

 しかし、今回転覆した船は2隻とも座席は無し。榎本氏によると、その場合例外として、船の面積を0.3平方メートルで割り、最大搭載人員を算出するという。ここには、ある落とし穴が…。

「これを『立席』と法律用語でも書いてある。立って乗ることが前提の計算方法。ありえないでしょ?あれ立って乗れない、曲芸になっちゃう。立席というのは手すりがあって、立ってないと乗れないような種類の船に対する便宜的な別枠。通常、乗船定員は5、6人だ」

 つまり、平和丸13人、不屈10人という最大搭載人員は、そもそも実行できない「立って乗ることを前提」とした数であり、榎本氏によれば座って乗るなら、5、6人が適正だという。

 そのようなことがまかり通る背景に行政の問題が大きいと指摘する。「免許も含めて国交省の事務方がやっている。海上保安庁が権限をちゃんと持って指導に当たれれば、今回(事故が)起きていない可能性がある」。

 船の免許制度、そして船の検査制度の権限を握っているのは国交省の海事局。一方、海上保安庁は国交省の傘下ではあるものの、それらの権限がない。榎本氏によると、仮に海上保安庁が現場で船を取り締まっても、過去の違反歴はおろか、その操船者が免許を持っているかどうかさえ国交省に文書照会しないと確認できないという。

 今回転覆した2隻は、人を乗せる場合に必要な事業登録をしていなかった。波浪注意報が出ていた事故当日、海上保安部は2隻に直接、注意を呼びかけたが、事業登録しているかどうかの確認は行われなかった。

「今回、(転覆した2隻は)旅客船の登録していなかった、ダメだね。じゃあ旅客船の登録したら安全なのかというと、危ないとか安全だとかの判断を国交省の方は多分わからない。陸上と海は違う。陸に波は立たないし、地面は揺れない」

 榎本氏は、陸では運転免許は警察。取り締まりも警察。ところが海では免許は国交省、取り締まりは海上保安庁。制度が分断されているのが問題だと指摘する。

 榎本氏は「だからやっぱり、そもそもの仕組み。組織改革に繋がってくれたらいいなと思う。そうじゃないと(こういう事故は)続きますよ」と警鐘を鳴らした。

(『ABEMA的ニュースショー』より)

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