「私たちは誰ですか?」そう問いかけるのは、80歳前後とみられる男女だ。2025年8月25日、愛知県岡崎市の交番に高齢の男女2人が現れ、「自殺未遂をした」と告げた。
2人は身元がわかる物を何も持っておらず、互いに「おとうさん」「おかあさん」と呼び合い夫婦と見られるが、自分の名前もわからない。記憶喪失の状態とみられている。
男性には認知症のような症状は見られず、日常生活は自身ででき、介助は不要。さらに会話も問題なくできているという。
おおかみこころのクリニック代表で精神科医の三浦暁彦氏は「一般的に記憶喪失は、医学的には健忘症という名前。過去にあったはずの記憶を失ってしまうというのが逆行性の健忘」と語る。
続けて「脳の一部に出血とか外傷とか物理的に障害が発生して健忘の原因になる場合と、耐えられないストレスから心を守るため出来事そのものを記憶から消し去る乖離性の健忘もある」と説明する。
聞き取りの結果、断片的な記憶は出てきた。「生まれは西三河で最近戻ってきた」「長く関東で生活し、千葉県に関する思い出が多い」「千葉駅前のそごうに行った」「中学を出てから父と大工仕事をしていた」「消費税が3パーセントのころにお寺に自分たちが入るお墓を建てた」「4つ上の兄は60歳直前くらいで亡くなった」。
男女2人が揃って記憶喪失になることなど通常ありえるのだろうか。三浦医師は「無くはないと思うが、稀なケースだと思う。女性の方は認知機能にも低下があると記事で拝見したので、女性の方が認知症に由来する健忘かという考え方はできる」と見解を示す。
つまり、2人同時に記憶喪失になったわけではなく、どちらが先かは不明だが、男性はストレスによる乖離性健忘、女性が認知症由来で記憶喪失になってしまったケースが考えられるという。
「本人の願いとしては記憶が戻ったらいいとは思うが、それだけがゴールではなく、忘れた方がいいことも中にはある」(三浦医師)
岡崎市によると、23日、この高齢の男女2人の身元が判明したという。
(『ABEMA的ニュースショー』より)