社会

ABEMA TIMES

2026年3月28日 14:30

盲導犬ユーザーが経験する“入店拒否”…当事者「数え切れないくらいある」衛生&法律面で誤解も

盲導犬ユーザーが経験する“入店拒否”…当事者「数え切れないくらいある」衛生&法律面で誤解も
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 行きたい場所に自由に行ける。誰もが感じる“当たり前”の行動が制限され、生きづらさを感じている視覚障害者が多くいる。団体の調査では、実に半数近くの盲導犬ユーザーが、飲食店などの施設で受け入れ拒否にあっていたことが明らかになった。

【映像】盲導犬とスーパーで買い物する様子(実際の映像)

 人間の目となり、安全な歩行をサポートする盲導犬は「補助犬」の一種で、他にも手足に障害のある人をサポートする「介助犬」、耳が不自由な人に必要な生活音を知らせる「聴導犬」が存在する。こうした補助犬の受け入れは法律で義務づけられているが、苦情を訴える他の客もいる。

 ベリーベスト法律事務所の杉山大介弁護士は、その背景に「盲導犬への理解不足」を指摘し、「『動物だから飲食だと良くないんじゃないの?』というような、ふわっとした感覚をもとに、『ダメだ』とか言ってしまうことが多い。ただの犬ではなく、どれだけの訓練を受けて、何ができる犬なのかも理解した上で、対応しなければいけない」と法律の趣旨を説明する。

 障害のある人に対する「合理的配慮」の提供が義務化されてもなお、なぜ理解は広まらないのか。『ABEMA Prime』では、共生社会の前に立ちはだかる壁について、当事者と考えた。

■何度も入店拒否された盲導犬ユーザー

桑原真紀さん

 視覚障害がある桑原真紀さんは、盲導犬を理由に入店拒否された経験がある。「数え切れないくらい。だいたいは『申し訳ありません、ワンちゃんは入店できない』と言われる。『ペットではなく盲導犬だが、どうしてダメなのか』と聞いても、アルバイトでよく知らない場合が多い。責任者に確かめてOKになることもあれば、責任者も盲導犬を知らず、『他は大丈夫でも、うちはダメ』『保健所から衛生的に問題があると言われている』と言われることもある」。

 しかし実際には、衛生面に気を配っているそうだ。「おしゃれではなく、マナーとして服を着せる。シャンプーも月1回程度は必ず行い、毎日のブラッシングや、お湯で体を拭くなどは、私たちの役目だ。汚いままで『一緒にお店に入りたい』というのは違う。しっかりした上で、言いたいことを言うべきだ」。

 マナー面では「座敷では『畳に爪の跡が付いて困る』と言われることがあるため、マットを持っていって、敷いた上で伏せて待たせるようにしている」といった工夫もある。行動については、「全くほえないわけではないが、無駄ぼえはしないようにしつけられている。動き回ることに関しては、ユーザーが管理する。今もリードを私のお尻の下に挟んでいるが、野放しにしていると、大きな音でどこかに行ったり、他の人の席に行ったりする事があるかもしれない。そうしないのがユーザーの役目だ」と語る。

■「ペットと盲導犬を一緒に考えちゃうのが一番の誤解」

杉山大介弁護士

 盲導犬の扱いについて、杉山弁護士は「『うちは受け入れる』ではなく、基本的にはみんな受け入れないといけない。たまに保健所にも誤解がある。厨房(ちゅうぼう)はダメだが、人が出入りする場所は、本来は同じように出入りできるべきだ、と法律でも考えられている」と説明する。

 また、人々の認識には「そもそも盲導犬とペットを一緒に考えるのが、一番の間違いだ。生まれた時から盲導犬として育てられ、訓練を受けてきた子と、一般家庭のワンちゃんを一緒に考えてはいけない」と話す。

 法的な観点からは、「犯罪として罰するようなことはない。ただ、もし入店できなかった人が裁判を起こせば、大体は店側が損害賠償をしないといけないだろう。法律では都道府県知事にクレームを入れてもいい事になっているため、まともに対応してくれないと、自治体からの調査が入ることもある」という。

■「『拒否されたからどんどん出て行かなければ』と思う」

 桑原さんは「盲導犬の数が少ない理由は、視覚障害者すべてが盲導犬を必要だと思っているわけではなく、『白杖(はくじょう)を使用して歩きたい』という希望の人もいるためだ」としつつ、「拒否されたからといって、『あそこに行かないようにしよう』とは思わない。むしろ『拒否されたからどんどん出て行かなければ』と思う」と話す。

 そして、「かつては汽車で荷物同然に扱われ、着いた時には死んでいたという話もある。先輩たちの努力があって、だいぶ良い社会になってきた。いろいろな場所で拒否事例が無くならないのであれば、私たちが未来のために出て行かなければいけない」との思いを明かす。

 飲食店以外の事例として、「病院でも病棟に入れない、アパートを借りる時も『盲導犬がいるから貸してくれない』がある。貸す代わりに『部屋が汚れるから』と、割増料金を取られるケースも聞いたことがある。ホテルもクリーニング代で、プラス数千円を求められるケースもある」として、「それはちょっとどうなのか」と苦言を呈した。

 盲導犬に対する注意事項として、話しかける、じっと見つめる、触る、口笛を鳴らすなどの気を引く行動は控えて、温かく見守ることがある。また盲導犬が待っているときも、ハーネスを付けている場合は、仕事中であることも知っておきたい。

(『ABEMA Prime』より)

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