アメリカ・イスラエルがイラン攻撃を行い、イランも反撃する状況が続いている。停戦交渉については、両者が発するメッセージが異なり、いまなお、先行きが見えない。日本でも高市政権の立場が問われる中、各地で一斉に「反戦デモ」が起きている。
【映像】まるでライブ会場!大量のペンライトが光る夜の反戦デモ
デモは全国34カ所で行われ、合わせて数万人規模に発展しているが、果たして平和につながるのだろうか。『ABEMA Prime』では参加者や政治学者と議論した。
■「反戦デモ」はどこに届く?

なぜデモに参加したのか。沖縄出身の崎浜空音さんは「基地がある町で育った。大学を先日卒業したが、憲法を勉強して『国の最高法規だと思われている憲法が、沖縄ではきちんと適用されていない』と感じた。まずは憲法の順守からで、改憲も止める。沖縄には日米地位協定の問題もある」と語る。
塾講師や本屋を経営する永月さんは「イランへの攻撃は、国際法や国連戦争に違反している。日本は平和憲法を持つ国として、アメリカやイスラエルを批判すべきだ。ホルムズ海峡を通過する石油に、日本は9割以上依存している。このままイランと交渉しなければ、あらゆることが崩壊するため、平和憲法に基づいた外交をしてほしい」と訴えた。
加えて、「イランは『アメリカ・イスラエルに加担しない国は、ホルムズ海峡を通す』と言っている。実際にタイや中国、インドは通過できている。イランは日本に交渉を呼びかけているが、交渉しない高市政権は何を考えているのか疑問だ」と批判する。
日本政府の姿勢には「トランプ大統領に従属・追従し、属人的な評価で『アメリカだからいい』といった外交態度を取っている。法の支配では、誰でもルールを破るのはダメだ。アメリカなら先制攻撃しても批判しなくていいのか。主権者としてちょっと問題があるのではと思う」とする。
そして、「市民が動くことで、国際的に拡散され、『日本の市民はちゃんと考えている』と伝わることが重要だ。戦争は偉い人が国同士で争うが、市民同士は巻き込まれたいと思っていない。そうした連帯が可視化されるのが大事だ。選挙はしょせん代議士を選ぶもので、主権者がそれ以外の民主主義を行使することが大事だ」と説く。
芸人で記者のおしどりマコは、「イランは『イスラエルとアメリカだけは通さない』と言っていて、実際にトルコなどは交渉で通れている。アメリカに擦り寄っているから通れないのは、外交としてまずい。各国が次々と『国際法違反の戦争には加担しない』と言い、イタリアのメローニ首相さえ言っているのに、日本はダメな方に行っている」と考える。
その上で、デモに参加する理由として、「『政府が明言しなくても、市民はこんな声を上げている』と、映像や写真、SNSやウェブを通して、海外メディアにも伝えることが重要だ」と話した。
各国の動きを見ると、イタリアのメローニ首相は「国際法の範囲外」の介入だったと批判。「イタリアはこの介入に参加しておらず、参加する意思もない」とした。また、フランスのバロ外相は「明確な目的が定まっておらず、とりわけ国際法の外で行われたので承認できない」、アイルランドのマッケンティ外相は「すべての国は国際法と国連憲章の原則を守るべき」と発言している。
政治学者で高千穂大学教授の五野井郁夫氏は、「デモ初回の数百人規模から、2万4000人になった。大使館前では静穏保持法などの関係で抗議が行えないため、象徴的な国会前で声を出すことが重要になる」と説明する。
そして、「『国会前に集まっても意味がない』と言う人もいるが、駐日イラン大使館は『日本の皆さんが反戦だとわかっている。イランに心を致してくれている』とメッセージを出している。それが日本の船が通ってもいいという判断につながるため、政府が言い出せないことを市民社会側がカバーしていると言える」とも述べた。
日米関係についてはどうか。「日本企業は、ほぼアメリカで稼いでいる側面もある。ただ今回、面と向かって『今回は一緒に行動できない』と言った各国も、アメリカと稼いでいる。一緒になって稼げなくなる方向へ行くよりは、『申し訳ないけど』と折れることが大事だ。1970年代に田中角栄元総理が『経済優先だ』と、イランから石油を融通してもらった。それを今回もやっていいのでは」。
■政府として真正面から言えないことをデモで

EXIT・兼近大樹は、「トランプ氏相手に、日本は強行できるのか。別の大統領なら『法律を破っている』と言えるが、そもそもトランプ氏は法律を破る人だ。『ルールを守らなくても力がある』と評価されている人に指摘すると、別の不利益が出るのではないか」と心配する。
トランプ氏特有の事情として「正論が通用する相手だったら言うべきだが、それが通じないのなら、ふわっとさせておくのはどうか」と提案し、現状を「僕はすごくいい。活動してくれる人々がいるおかげで、うやむやにできる。『国民はこう思うが、政府はこうしている』と顔を立てられる」と評価した。
反戦を訴える左派に対しては、「丸腰になろうとしている」というイメージもある。しかし五野井氏は、「そうした左派は、結構滅んでいる。いまは『怖い各国がいる中で、日本もある程度の防衛力を持とう』がコンセンサスだ。となると『憲法9条は意味がないのか』という話になるが、今回トランプ氏はホルムズへの自衛隊出動を要求したが、高市総理は憲法9条を理由に断った。日米安保条約も『互いの国の憲法に従う』となっている」と返す。
自民党の様子として「高市氏を含めて、『今回は憲法改正をやめておこう』と引っ込んでいる現状があり、憲法9条にはまだ使い道がある。制度疲労を起こしても、日米同盟の中では言えないこともある。そこで市民社会側を使うことが重要だ」とする。
研究者の立場から「海外では米軍基地に対して、政府が『どいてください』と言えない時に、市民運動を使う」という事例も挙げる。「2015年の安保法制時点で、今回の件も予見されていて、『ここで憲法を変えたらまずい』と踏みとどまった経緯がある。それが遅効性で効いてきた結果、高市氏も『自衛隊は送れない』と言えているのではないか」。 (『ABEMA Prime』より)