社会

ABEMA TIMES

2026年3月30日 11:00

300円のサンドイッチ万引きで逮捕 報道のあり方と繰り返す窃盗犯罪者の更生を考える 犯罪学者「繰り返す人を刑務所に入れても社会的な生きづらさを加速させるだけ」

300円のサンドイッチ万引きで逮捕 報道のあり方と繰り返す窃盗犯罪者の更生を考える 犯罪学者「繰り返す人を刑務所に入れても社会的な生きづらさを加速させるだけ」
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 先日、元タレントの女性が300円相当のサンドイッチ1個を万引きし現行犯逮捕された。今回の事件では、SNS上では「逮捕より助けや保護が必要ではないか」といった疑問の声も上がっている。

【映像】万引きしたらどうなる?再犯率と刑罰

 「ABEMA Prime」では、万引きが単なる“魔が差した”行為ではなく、背景に根深い依存症や生活困窮、そして一度レールを外れると二度と社会に戻れない更生の難しさを抱えている実態を、専門家とともに考えた。

■見せしめ的報道と社会的コストの矛盾

元タレントの万引き逮捕

 今回の実名報道について、EXIT・りんたろー。は「罪に重い・軽いはないと思うが、この報道には若干の違和感を覚えている」と率直な思いを語った。「社会復帰も、これだけ報道されて顔も出てしまうとかなり難しい。このサイクルの中にどこか『更生』を入れないといけない」と指摘した。

 なぜ、おにぎりやサンドイッチを盗むような犯罪を繰り返してしまうのか。立正大学教授で犯罪学が専門の丸山泰弘氏は、刑務所の収容者で最も多いのは窃盗と薬物であり、その多くが生活困難に起因していると解説する。

 丸山氏は「前科10犯や15犯と聞くと、すごく凶悪なイメージを持つかもしれないが、実は1つの犯罪がすごく小さいものだから、10犯や15犯もできてしまう。こういう人たちを何度も刑務所に入れても、社会的生きづらさをさらに加速させているだけ」と語った。

 さらに、従来の「反省」を促す教育の限界についても指摘する。「内面を責めるプログラムにはあまり効果がない。警察、検察、裁判、刑務所でひたすら謝らされ『反省しろ』と言われても、鬱が進むだけで社会的生きづらさがどんどん進む。ひたすら内面を責めても、再犯防止には意味がなかった」と、加害者を追い詰めるだけの指導に警鐘を鳴らした。

 安部氏も、依存症の観点から更生の難しさを強調した。「万引きはクレプトマニア(窃盗症)とも言われるが、他害性が高い類の依存症」と述べた上で、加害者の心理をこう代弁する。

 「(窃盗で)罰金を何十万か払わされた人に気持ちを聞くと『これを取り返さなきゃ』と、拘置所でずっと悔しく思っていたという人がいる。そしてまた出所してから、窃盗をする」。このように、罰金という「罰」が、逆に犯行を促す「悔しさ」に変換されてしまう認知の歪みが存在する。

 また、生活のために自ら重い刑を望むケースもある。丸山氏は、「冬を越したいとか、正月は建物(刑務所)の中で過ごしたいから窃盗をされる方もいる。放置されている自転車を持って交番の前に行き、警察官が声かけてくるまでずっとその前で待っているような方もいる」という悲痛な実態を明かした。

■解決への糸口 問題解決型裁判所と個別アプローチ

犯罪の根本原因は

 万引きがあった後の対処として、逮捕の手続きなどに約130万円、刑務所に収容すれば年間350万円の税金が投入されるという。この負のループを断ち切るため、丸山氏はアメリカの「問題解決型裁判所」の事例を挙げた。

 これは、画一的な刑罰ではなく、犯罪の背景にソーシャルワーカーが介入し、根本原因を解決することで再犯を防ぐ仕組みだ。「薬物使用に至っている背景の社会的生きづらさを、ソーシャルワーカーの方たちがたくさん入って、裁判の中で解消することで再使用を止めていく試みが始まった。このアプローチはドラッグ以外でも使える。例えば窃盗でも所持金が10数円しかなくて、もう3日も何も食べていない人と、ギャンブルで借金しててお金を返さないといけないという人では、アプローチが全然違う」と、個別の背景に光を当てる重要性を主張した。

 こうした支援に対し、兼近は「どっちが得か」という合理的な視点を持つべきだと提言した。「税金を使って、ルールを破った人を全員刑務所に入れ、社会復帰させずに閉じ込めておく損失と、更生プログラムを作ってみんなで一緒に社会復帰して税金を納めてもらい、国を回していくのとどっちがいいか。僕はやはり後者の方が、今後は回っていきやすいと思う」。 (『ABEMA Prime』より)

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