東京・池袋で、女性店員が男に刃物で刺されて死亡した事件、男は過去に女性にストーカー行為をしていて、加害者向けのカウンセリングを拒否していました。
ストーカー殺人は、なぜ繰り返されるのでしょうか。
ストーカー被害に遭う人を、どのように守ればいいのか、見ていきます。
■ストーカーから殺人事件に発展 被害女性は勤務先変更せず
事件の経緯です。
被害者の春川さんと廣川容疑者は、2024年10月〜2025年7月まで交際していました。
春川さんは、2025年12月25日、「元彼が付きまとってくる」と警察に相談。
その日の夜、廣川容疑者は、ストーカー規制法違反の疑いで逮捕されました。
年が明けて、2026年1月29日、廣川容疑者に警察から『禁止命令』が出されました。
『禁止命令』とは、同一の人物に対して付きまといなどを繰り返すストーカー行為を禁じるもので、翌日1月30日に、罰金80万円を納付し、廣川容疑者は釈放されました。
警視庁の対応です。
廣川容疑者が逮捕された後、1月5日〜2月6日まで、春川さんを東京都外にある親族の家に避難させました。
さらに、春川さんの自宅に防犯カメラを設置するよう依頼し、釈放前には設置が完了していました。
廣川容疑者は、1月30日の釈放後、神奈川・川崎市の実家に戻りました。
事件までに、春川さんの勤務先に押しかけたことは確認されず、春川さんが自宅に戻ってからの接触はなく、春川さんの自宅の防犯カメラへの映り込みもありませんでした。
廣川容疑者の釈放後、警視庁から春川さんへ、電話で定期的連絡が3回行われています。
容疑者が釈放された1月30日、2月25日、事件2週間前となる3月12日です。
いずれも、春川さんは、「異常ありません」と答えています。
勤務先についてです。
春川さんは、交際を解消する際に、現在の勤務先に転職しました。
廣川容疑者は、この転職の話を聞いていました。
警視庁は、勤務先を変えるように指導しましたが、春川さんは、「仕事は変えたくない」と、変更していませんでした。
「ポケモンセンターで働くことが夢だった」と話していたということです。
警視庁は、「取りうる最善の措置をとっていた」としています。
ストーカー事案の相談件数です。
2025年は、過去2番目に多い2万2881件でした。
また、付きまといなどを禁じる禁止命令が出されたのは、3037件で過去最多となりました。
ストーカー事案の検挙数です。
オレンジ色がストーカー事案に関する刑法犯などの検挙数で、青色がストーカー規制法違反での検挙数です。
刑法犯などの検挙数は、2171件で過去最多でした。
住居侵入が437件、脅迫が292件などです。
ストーカー規制法違反での検挙数は、1546件で、こちらも過去最多でした。
被害者と加害者の関係です。
最も多かったのは、交際相手もしくは元交際相手で38. 9%でした。
■加害者カウンセリング「参加者8割が良い変化」も受診率5%
加害者側のカウンセリングです。
警察庁は、2024年から、禁止命令などを受けた加害者全員に、カウンセリングや治療の働きかけなどを行っています。
さらに、2025年9月には、対応を強化するよう全国の警察に指示していました。
加害者の更生プログラムです。
ストーカー問題に取り組む、NPO法人『女性・人権支援センターステップ』では、カウンセリングが週1回グループワークで行われ、年間52回です。
1人あたり1回、2時間3000円です。
カウンセリングには、『学びの時間』というものがあり、
「過去と他人は変えられない」
「変えられるのは自分と未来」
と加害者に説明し、認知させます。
そして、『振り返りの時間』というものもあります。
『学びの時間』で教わった考え方で、
「実行できたこと、できなかったこと」
を話し合い、解決方法を見つけていきます。
「参加した約8割の人の考えが、良い方向に変化している」といいます。
警視庁は、廣川容疑者に対して、医療機関でのカウンセリングや治療を働きかけましたが、受診を本人が拒否しました。
拒否した理由は、わかっていません。
カウンセリングや治療は、義務ではなく任意で、強制力はありません。
カウンセリングや治療の受診率です。
2024年に、カウンセリングなどを働きかけた加害者3271人中、実際に受診したのは184人、5. 6%でした。
「加害者の多くは、『自分が加害者』だと気付いていないので、カウンセリングに来ない野放し状態。一度でも被害者に連絡や接触をしたら、強制的に更生プログラムを受けさせる法整備が必要」ということです。
■ストーカー加害者 GPS装着 海外の導入例 日本の対応は?
加害者へのGPSの導入です。
海外では、性犯罪の常習者やストーカーなどに、再犯防止のため、GPS装置をつけて監視している国があります。
スペインでは、加害者にGPSをつけ、被害者に支給される端末と接続し、加害者が被害者の近くなど立ち入り禁止区域に侵入すると、被害者の端末と当局に警告が通知されます。
韓国では、被害者が、加害者の位置をリアルタイムで追跡できるアプリを開発中です。
加害者が接近した場合、被害者に警告が通知されるだけでなく、加害者がどこにいるか把握できるようになります。
日本では、保釈中の被告人が海外逃亡するのを防ぐために、GPS装置を装着できる制度が、2028年までに導入予定です。
ただ、これは、ストーカー対策ではありません。
どういうものでしょうか?
保釈中の被告人にGPSを装着しますが、通常時は監視をしていません。
被告人が、港や空港など海外逃亡の恐れがある場所に立ち入ると、裁判所に通知がいきます。
裁判所から検察に連絡して、身柄確保へ動くことになります。
「加害者へのGPS装置着用を義務化するため、法整備をする必要があると思う」としています。
「実現には、GPS装着の基準の難しさ、警察のマンパワーなど実務上の問題もある」といいます。
■被害者「終わりが見えない」苦悩の現実 外国へ移住も
過去に、NPO法人『女性・人権支援センターステップ』の栗原理事長が支援した実例です。
約15年程前のことです。
被害者は30代の女性の看護師、加害者は元夫です。
離婚をきっかけに、元夫が付きまとい行為を始めました。
職場についての対策です。
職場に加害者が現れるようになったため、別の病院に転職しました。
住居と宅配の対策です。
民間シェルターに引っ越しました。
郵便や宅配は、すべて栗原理事長宛てに届くように設定しました。
さらに、被害者の女性は、偽名を使って日常生活を送りました。
その結果、解決には至りませんでした。
被害者が看護師ということで、加害者の元夫は、全国の病院を直接訪ねて被害者を探し続けました。
「精神的、経済的につらい状況が続き、終わりが見えない」という状態でした。
最終的に、国内では不安なため、外国に移住を決断しました。
現在は、現地でも看護師を続けて、平穏な生活をしているということです。
「やっと『逃げ切れた』と感じた」と話しています。
「極端な解決策に見えるかもしれないが、ストーカーはどこまでも追いかけてくることが多く、被害者は平穏な生活が送れない。被害者側が生活を変えないといけないのは、非常に理不尽だが、『殺されるよりは、生活を捨てて逃げたほうがマシ』という状況もある」
■ストーカー被害者 何度も転居 重い金銭負担 支援は?
ストーカーの被害者へは、どんな支援があるのでしょうか。
民間の支援です。
調査会社JCIでは、被害者が緊急で数日間避難可能なシェルターを用意しています。
被害者の金銭的な負担はありません。
一時避難の支援です。
警察庁では、費用を公費で負担して、一時的な避難場所を確保できる場合があります。
公的施設や親類、知人宅への避難が困難または危険な場合などに適用されます。
支援の長期化です。
東京・品川区は2026年度から、ストーカーやDVの被害者が、宿泊施設に一時避難する際、最長で21泊分の宿泊費を助成する制度を導入します。
引っ越しの対策です。
警視庁では、ストーカーやDV被害から避難するための引っ越しについて、7万円を上限に費用を負担する制度があります。
課題として、
「被害者が引っ越しするなど、逃げるための金銭的負担がネック。ストーカー被害者は、『自分が悪い』と思いこんでしまい、助けを求められない精神状態になってしまっている人も多い。ストーカーがエスカレートしてしまう前に、まずは相談してほしい」ということです。
相談窓口です。
●最寄りの警察署
●警察相談専用電話 #9110
●女性相談支援センター #8778
などがあります。
(「羽鳥慎一モーニングショー」2026年3月30日放送分より)


















