サメといえば、凶暴で海の覇者。そんなイメージを持つ人が多いですよね。ところが、その印象をくつがえすサメたちがたくさんいるんです。そこで向かったのは、アクアワールド茨城県大洗水族館です。
見た目も行動も意外すぎるサメたち
「かわいい子を発見しました、おはようございます!この足のパタパタがかわいいですよね。今日はサメの話を聞きに来たんですよ」
約60種類のサメを飼育する、アクアワールド茨城県大洗水族館。案内してくれるのは、3月13日に発売された、生態が面白いサメを集めた図鑑「実はサメなんです」を手掛けた高作真紀さん(編集プロダクションconte)と徳永幸太郎さん(飼育員)です。
「紹介したいサメがこちらです」
「サメなんですか?これ」
「私も最初びっくりしたんですけど。エイみたいに平べったくてくっついているというのがこれはサメじゃないと思うポイントです」
見た目だけではなく、名前も超ユニークです。
「タッセルドウォビゴング」
「タッセルドウォビゴング!アナウンサー泣かせですね」
「実はタッセルドというワードが房飾りっていう意味があるんですよね、ひげのようなもじゃもじゃがそのように見えるかな」
「たしかに、もじゃもじゃしていますねこれは何ですか?」
「これは海藻とか砂とかそういうものに擬態することができる」
だからこそ油断は禁物です。近づくとガブっとかみ付く危険もあるサメなんです。
続いては、高作さんが思わず悶絶してしまった、可愛らしい行動を見せるサメです。
「この子がスペックルドカーペットシャークといいまして、泳ぐよりも歩くのを好むサメです」
「歩く?歩くんですか?サメが?」
「この前(胸)ビレを使ってはうように歩くんですね」
この姿から、ウォーキングシャークとも呼ばれています。
「あえて歩くことに意味はあるんですか?」
「こういったサメは水深が浅いところでも生活できるといわれています。例えば少し潮が引いてしまって潮だまり状態になったところを、うまいこと移動するため這うような行動が有利といわれています」
ひょっとすると砂浜でバッタリ…なんてことも。さらに、サメらしからぬこんな特徴もあります。
「なんかみんな端に向かって、歩いてますね」
「こういったサメって意外と狭い隙間が好きなんですね。自分たちの身を隠そうとして一カ所に集中しちゃう」
「もうちょっと広いんだよ。水槽、広いよ!」
次の高作さんおすすめは、身近な動物のような行動をとるサメです。
「あの大きい岩の手前の白っぽいのがイヌザメと言いまして愛らしい姿が特徴的です」
イヌザメと名付けられた理由、それは、この愛らしいしぐさです。
「餌(えさ)を求めるときの姿が犬みたいっていうふうに言われています」
自然界では小魚のほかに、砂の中にいるエビやカニなどを食べて生活しているそうです。
「とてもおとなしいサメで、実は家庭で飼育されている方もいるぐらいです」
「飼えるんですか?」
「ある程度大きい水槽は必要になるんですが」
繁殖に隠されたギャップ
ここからは、“繁殖がユニークなサメ”です。まずは、生まれてくるまでが超過酷なサメです。
「こちらのサメシロワニといいます」
「サメですが、ワニなんですね」
「ワニというのもサメの別名」
「別名なんですか、今これ何の作業をされているんですか?檻の中に入って」
「ダイバーが掃除をしているところですね」
「檻の中に入っているということは危ないということですか?」
「そう思われている方も結構いるんですが、実はそうではなくてですね、この中にサメたちはすべて大人しいサメばかりなので、人を襲うことはまずないんです。体が大きい分、力もちょっと強いので、万が一当たったときに怪我をしないようにということで檻に入っています」
こんなにおとなしいのですが、生まれる前とはまさかのギャップがあります。
「おなかの中で赤ちゃんが共食いをしあって生まれてくる」
「穏やかな顔で怖い話をしましたね、今」
「メスのおなかの中には子宮と言って赤ちゃんを育てる器官が合計2つあります。そのなかで大きく育った赤ちゃんが後から生まれてくる赤ちゃんを食べてしまったり、卵の時点で食べてしまったり」
「数を産みたいわけですよね。母親としては」
「そうですね、本来ならたくさん生まれたほうがいいんでしょうけど、逆に強い個体だけが生まれてくるわけですので、その後の生存にはとても有利」
こう話す徳永さんお気に入りは、親子で全く姿が違う不思議なサメです。
「あちらのサメでトラフザメといいます」
「ちょっとサメのような、フグのような」
「そうですね、ちょっとまん丸くつぶらな瞳で私とっても好きなサメなんです」
「そうですか、だってニコニコされていますもん」
「顔に出ちゃっています。これ、大人のトラフザメなんですけど、とっても変わっているのが子どもの時の姿、実はこういった模様をしています」
この縞模様は、毒を持つウミヘビに似せることで、天敵から身を守るためだと言われています。さらに、サメって単為生殖をすることが最近分かり始めたそうです。
「サメって単為生殖をするということが最近分かり始めたんですよ。単為生殖というのは普通のサメって交尾をすることでお母さんザメのおなかの中で赤ちゃんが育つんですけど、交尾を全くしなくても赤ちゃんを増やすことができる能力のことを単為生殖といいます」
「そんなことができます?」
「当館のあちらのトラフザメも実は単為生殖で生まれた個体であることが分かったんですね。DNA検査をしまして親子関係を調べたところオスの遺伝子は全く入っていなくてメスのお母さんの遺伝子しか受け継がれていない個体であることが分かったんです」
透明やスクリュー型…卵にも個性全開
さらにサメは、おなかの中で赤ちゃんを育てて産む「胎生」だけでなく、卵を産んでふえる「卵生」もいます。そのサメの卵にも、こんな不思議があります。
「こちらサラワクスウェルシャークの卵になります」
「え!これですか?卵ですかこれ?」
「とっても見た目変わっていますよね」
「これ、どこからどこまでが卵ですか?」
「これ卵がぶら下がっている状態なんですけど完全に透明なんですね、これが自然な状態なんです」
「天敵にすぐ見えてしまいませんか?」
「そうですね、無防備な感じにも思われるんですが、この透明なことによって、周りの風景に溶け込んで、結果的に守られているんじゃないかと言われているんですね」
「ずっと見たかったんです、これ、早く出たい出たいみたいに、かわいいですよね」
「他の卵で生まれるサメもこういう形とは限らないわけですか?」
「そうなんです。サメの卵の形って本当に種類によって千差万別で、全く形が違う卵を産むサメもたくさんいるんですね」
さきほどイヌザメを紹介しましたが、今度はある部分がネコっぽいサメです。
「ここの水槽にいるのがネコザメという種類のサメになります。よく見るとオデコに出っ張りがあるサメがいると思うんですけど、それがネコの耳に似ているって言われて、ネコザメと呼ばれています」
特徴あるネコザメ。その卵は実にユニークです。
「これネコザメの仲間の卵なんですが」
「どの部分が卵なんですか?」
「これ全体が一個の卵ですね。特徴的なのはこのスクリュー型の卵。こういった形の卵を産むっていうのがネコザメの仲間の特徴なんですね」
(2026年3月23日放送分より)




















