社会

ABEMA TIMES

2026年4月4日 07:00

高崎市の小学校「朝7時開門」に賛否 元教師「学校は託児所じゃない」“小1の壁”解消の一手とは

高崎市の小学校「朝7時開門」に賛否 元教師「学校は託児所じゃない」“小1の壁”解消の一手とは
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 群馬県高崎市が新年度から打ち出した「市立小学校58校すべてで午前7時開門」という方針が、教育現場や保護者、そしてSNS上で大きな波紋を広げている。子育て世代には“小1の壁”というものが存在する。これは子どもが小学校に入学するタイミングで保護者の仕事と育児との両立が難しくなる問題を指す。共働き世帯への支援を掲げる市に対し、現場の教職員側からは安全管理や責任の所在を懸念する声が噴出している。「ABEMA Prime」では、この「7時開門」の是非について、現場を知る元教師や専門家を交えた議論が交わされた。

【映像】7時開門の撤回を求める看板

■「開けるだけ」で済むのか?用務員対応への強い懸念

高崎市の小学校 7時開門へ

 高崎市の計画では、これまで午前7時半から50分の間に順次行っていた開門を午前7時に前倒しし、その作業を学校用務員が担当するとしている。市側は「見守り事業ではなく開門事業である」「門を開けるだけだから子どもたちを見守る必要はない」というスタンスだが、現場の教職員はこの論理に強い危機感を抱いている。

 静岡の元教師であるすぎやま氏は、「学校は託児所じゃない」という意見を持ち、現場の教員が直面する心理的なプレッシャーを指摘する。「用務員さん1人で何人見るんだという話。自分が教員なら、7時に子どもが来るとなれば、たぶん学校に行ってしまう。子どもがケガをした、吐いた、熱を出した、いじめがあったとなった時、そこは用務員さんの責任だと言って切り離せるかというと、現状だとかなり厳しい状況だ。現場の先生方に負担がいくことが予想されていて、全国的にもかなり話題になっている」。

 放課後NPOアフタースクールの平岩国泰氏も、他の自治体ではシルバー人材センターや学童保育のスタッフが組織的に対応するのが一般的であると述べ、「用務員さんが対応するパターンは珍しい。このパターンに少し無理があるような感じを受けている」と、体制の特異さを危惧している。

 議論の焦点の一つとなったのが、児童の特性を把握していない大人が早朝の校内を見守ることの具体的リスクだ。午前0時のプリンセス・momohahaは、自身の小学生時代を振り返り、教師による細やかな管理が重要であるかを強調した。「私はよく転んでケガをするし、喘息持ちの子どもだったのでよく保健室にお世話になっていた。私の学校には、靴を履かずに裸足で登校するような子もいたけれど、先生はそういう不思議な子の特徴をちゃんと捉えているから、その子をマークして見ている。(用務員だと)この子が危険な行動するのがわからないことが多いから、ケガが増えてしまうのではないかと、ちょっと怖い」。

 2ちゃんねる創設者・ひろゆき氏も、用務員1人による管理の限界と、行政側の無責任とも取れる姿勢だと指摘する。「用務員さん1人だとして、全校生徒を1カ所に入れて、この部屋から出てはいけないとなればまだいいが、たぶん監視はできない。その状態で、子どもが(校外などに)出ていったり、何かあった時に責任が取れるのか。責任が取れないなら、もっと多くの大人を置く判断が必要だ」。

 実際、この方針を巡り、現場の疲弊は深刻化している。すぎやま氏によれば、2026年1月時点で高崎市の58校に対し、15人もの用務員募集が出ているという。「用務員さんは子どもが好きかもしれないが、子どもの面倒を見るために採用された人ではない」と指摘する。

■予算の壁と「受益者負担」の視点

小1の壁

 高崎市はこの事業に対し、用務員の時間外手当として約1900万円の当初予算を計上している。しかし「1校あたりの約32万円」という金額で、外部の事業者で対応できるかという問いに、専門家の平岩氏は首を振る。 「(1900万円の予算では)厳しいと思う。朝の1時間だけ働く人を見つけるのはとても難しい。正規の職員を1人なり2人なり雇うとなると、ケタが違う予算が必要になってくる」。

 この予算不足と体制の不備を解決する手段として、ひろゆき氏は「受益者負担」の考え方を提示した。「例えば月30万あげるから1日1時間、子どもの見守りを頼めば、やる人いると思う。(子どもを託す)共働きの親たちは、それで早く会社に行けるわけだから、その分は高めに月謝を払う形にすればいいのではないか。ただで預けようとするから用務員や学校にも無理が出る」。

 さらには「共働きの人は、働けなくて自分のキャリアが途絶えるくらいなら、子どもを預けるのに1万円を払った方が全然いいという人もいると思う。お金で解決した方がシンプルなのかなとも思う」と付け加えた。

 高崎市長は「社会全体で子育てをしている働く女性たちを出来る限り支援していくというのは社会的な命題。これは学校施設も無縁ではない」と語り、教職員の出勤を強要していないことを強調する。しかし、すぎやま氏は「(自分が高崎の教員なら)絶対行かざるを得ない。特に管理職だったら絶対行くと思う」と語るように、現場には「何かあったら」という恐怖に基づいた、目に見えない強制力が働いているとも伝えていた。 (『ABEMA Prime』より)

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