社会

ABEMA TIMES

2026年4月4日 14:00

池袋ポケモンセンター刺殺事件…ストーカー対策にGPSは有効?「加害者への抑止じゃなく、被害者を守るために今すぐやるべき」

池袋ポケモンセンター刺殺事件…ストーカー対策にGPSは有効?「加害者への抑止じゃなく、被害者を守るために今すぐやるべき」
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 池袋のポケモンセンターの女性店員が、男に刃物で刺されて死亡した事件。男もみずから首を切り死亡した。その後の捜査関係者への取材で、男は大声を出して涙を流しながら、女性を襲っていたことがわかった。

【映像】事件当日のポケモンセンターの様子(実際の映像)

 男は元交際相手で、2025年12月、女性が「元カレが付きまとってくる」と警察署に相談。警視庁はストーカー規制法違反の疑いで男を逮捕していた。その後、警視庁はつきまとい行為をやめるよう命じる禁止命令を出し、男を釈放。その際に「もう近づきません」と話していたという。

 釈放後に女性は、警視庁の依頼で自宅に防犯カメラを設置し、親族の家に避難。警視庁は定期的に女性と連絡も取っていたことから、「取り得る最善の措置を取っていた」としているが、それでも事件は防げなかった。

 こうした中、「ストーカーへのGPS装着」導入の声が高まっている。すでに韓国では、司法がストーカー再発のおそれがあると認めた場合、判決前であっても被告にGPS付きの足輪を着用させる「暫定措置」が取られている。

 ネットでは「日本でも導入すべき」という声がある一方で「プライバシー侵害では」といった声も見られる。警察庁は、ストーカー行為で禁止命令を受けた加害者に治療やカウンセリングの働きかけをしているが、実際に受診したのは約5.6%にとどまる。今回女性を襲った男も拒否をしていたという。

 同じような悲劇を防ぐには、何が必要なのか。『ABEMA Prime』では、有識者とともに考えた。

■ストーカー対策にGPS装着

京師美佳氏

 自身もストーカー被害にあったことがあるという、防犯アドバイザーで犯罪予知アナリストの京師美佳氏は、池袋の事件について「現行法でできる対応は行われていたため、警察が悪いことはない。ただ被害者が出たことで、現行法の限界が見えてきた」と指摘する。

 警察と連携してストーカー加害者へのカウンセリングを行っている、京都文教大学の川畑直人教授は「警察もでき得る最大限をしたと思われるが、法律を変えれば抑止を高められるかは、さらに研究が必要だ」と考える。

 今後取り得る対策として、京師氏は「警察に限界があるのなら、被害者を守るためにGPS装着やカウンセリング、薬物治療などの強制も必要だろう。守るべきは加害者の人権ではなく、被害者の人生や命だ」と語る。

 また、強制によって「加害者へのストレスを高めるのでは」との指摘には、「それは確かにあるが、加害者がどこにいるか分からず、いきなり襲われるのとはストレスが異なる」と返す。

 GPS装着に対する懸念について、川畑氏は「行動抑制に一定の効果がないとは言えないため、賛成とも反対とも言い切れない」としつつ、「対象者をどこまで絞るか」の論点を示す。「ストーカー規制法違反の全員を対象にして、行動把握に対応できる人的コストが警察にあるのか。絞れば逆に、そこから外れた人が行動する機会が増える。確率的な問題を考えると、単純にGPS装着だけでは解決できない」。

■「8割の加害者は元に戻るが、残り2割は一線を越える」

「ストーカー禁止命令」「DV相談」過去最多

 警察による警告は、どのような効果を持っているのか。京師氏は「8割の加害者は元に戻るが、残り2割は一線を越えてしまう。逮捕者は、社会生活を失ってもいいという極論に立っている人であり、規制されるべきだ。警告程度であれば、反省して元の人生に戻れる可能性があるため、いったん除外してもいいのでは」とする。

 そして、警告された人々は「『会社を辞めたくない』『家族に嫌がられたくない』と、諦めるのが8割だ」といい、「あとの2割が強硬手段に及ぶ。逮捕までされた加害者には、強制した方がいいのではないか」との見解を述べる。

 元参院議員の音喜多駿氏は、「2割の加害者は『人生どうなってもいい』と、GPSを破壊するのではないか。抑止力にも限界がある。体内埋め込みならいいが、それも人権上のハードルが高い。GPS装着のコストに見合うだけの効果を得られるのか」と疑問を示した。

■「GPSは加害者への抑止じゃなくて、被害者を守るために今すぐやるべき」

川畑直人教授

 川畑氏は「ストーカー事件では、短期間で『もうしない』と気持ちが変わり、終わるケースが多い。しかし中には、ひきこもりや孤独、対人関係などの社会的背景を抱えている人もいる。そういった相手には、長期的な関わりが必要だ」と説明する。

 元経産官僚で宇宙事業を手がける武井亜樹氏は、「カウンセリングとGPSは別の話だ。カウンセリングは加害者更正のために行う。ただ被害者を守るために、今すぐやるべきこともある」と考えている。「GPSは加害者に『ストーカーをやめよう』と思わせる抑止よりも、個人的には『近くにストーカーがいるから逃げる』といった防御のために使いたい。自分が被害にあったら、民間サービスでも頼みたい。人を裁いたり、プライバシーに介入したりは政府がやるべきことだが、加害者抑止ではなく、被害者を守る方法を今すぐ考えてほしい」。

 京師氏は「被害者保護を第一に、制度を変えてほしい。警備担当のボディーガードもいるが、費用が高額で、若い人は個人負担できない。今すぐGPS装着が実現できないのであれば、その補助金を出してほしい」と求めた。

(『ABEMA Prime』より)

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