社会

ABEMA TIMES

2026年4月5日 13:15

九九暗唱は有効でも暗記一辺倒はダメ?大学教授「公式だけ覚えていると、応用が利かなくなる」「文章から式を導き出す読解力が育たない」

九九暗唱は有効でも暗記一辺倒はダメ?大学教授「公式だけ覚えていると、応用が利かなくなる」「文章から式を導き出す読解力が育たない」
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 日本の教育について書いた“ある記事”が話題となっている。評論家の白川司氏による「九九をはじめとする暗記教育は重要だ」という旨の記事だ。

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 これに対し、Xでは「九九を子どもの時に暗記して正解だった」「早いうちにある程度の教え込みは必要」「かけ算の理論が分かった上で九九覚えないと意味がない」などの声があがっている。

 九九に代表される、日本式教育はどこまで必要か。AIが何でも教えてくれるいま、取り組むべき教育について、『ABEMA Prime』で白川氏らとともに考えた。

■九九の暗記と「意味の理解」の境界線

芳沢光雄氏

 例えば「3×6」という問題。九九を暗記している人は「サブロク18」と即答するが、『数学嫌いの犯人』の著者で、桜美林大学の名誉教授、芳沢光雄氏は、「暗記の前に『3円のチョコが6枚あれば18円になる』といった意味の理解が不可欠だ」と主張する。

 さらに「最近は異常なことが起こっている。3を6個足したら18になるという過程を学ばないまま、呪文のように『サブロク18』という奇妙な言葉を習わされている。昔の日本は間違いなく意味を理解した上で教えていた」と危機感を示した。

 また、江戸時代の数学教科書『塵劫記(じんこうき)』を引き合いに出し、「そこには『3×6』の記載がない。それは掛け算がひっくり返しても同じであることをおさらいさせる意味がある。理解してから暗記するべきだ」と述べた。

■「理解の先送り」としての暗記

白川司氏

 これに対し、白川氏は「理解が後に来ることもある」といい、「まずは一通り覚えてしまい、道具として使っていくことで、後から『なるほど、こういうことだったのか』と理解できることがある。暗記は理解の先送りでもある。公式を丸暗記して問題を解いていくうちにひらめきが生まれる。この勉強の仕方は野蛮かもしれないが、有効だ」。

 この「先か後か」という順序の議論に対し、ウクライナ出身のYouTuber、サワ氏は「理解は絶対必要だと思う。ぶっちゃけ順序はどっちでもいい。ただ、理解なくして暗記だけで終わったら意味がない。それは別に遅くてもいいから、『理解はいつかしろよ』ということだ」と最終的な理解の重要性を強調した。

 芳沢氏も「ものによって違う」と一定の理解を示しつつも、「割合や濃度の問題を単なる公式の当てはめだけで覚えていると、応用が利かなくなる。意味を理解させないうちに公式を教えるから、文章から式を導き出す読解力が育たない」と、理解なき暗記の弊害を指摘した。

■AI時代に求められる「語彙力」と「考える楽しさ」

 議論はAI時代の学力にも及んだ。白川氏は「学校に入る前の6歳までに、語彙の量で学力の根本が決まっているという論文もある。語彙力こそが大事だ」と話す。芳沢氏も同意し、「AIで調べるにしても単語を知らなければ何もできない。暗記によって知識を身につけておくことは、AIを使う上でも絶対必要だ」。

 また、「かつてテレビ番組で、数学者が『小学校の算数は考えることの楽しさを教えてくれた。だから算数が好きになった』と語っていた。好きこそ物の上手なれ。今の教員が疲弊し、暗記だけの世代が教えている現状はまずい。考えることの楽しさを感じさせる環境を整えるべきだ」と続けた。

 白川氏は「語学も単語と文法の暗記、そして無意識に使えるようになる『慣れ』の2本立てが重要だ」とし、改めて暗記と理解の両立を強調した。

(『ABEMA Prime』より)

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