社会

2026年4月25日 21:00

まさか水を買うようになるとは!「昔」を通して「今」を池上解説

まさか水を買うようになるとは!「昔」を通して「今」を池上解説
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 こんなの絶対に流行らないと思っていたのに、気が付けば当たり前になっていたり、まさかこんなことになるなんて思わなかった!ということたくさんありますよね。そこで今回は昔は想像できなかった、世の中の変化を見てまいりましょう。

男性が美容院で髪を切るようになるとは思わなかった!?

 現在は男性が美容院で髪を切るのは普通です。でも昔は男性は床屋さんに行く人がほとんどでしたよね。実はそれには訳がありました。
昔は男性は美容院では髪を切れなかったんです。10年ちょっと前まではカットだけの場合、男性は理容室のみ、パーマとカットがセットであれば美容院でも可能、そんなルールがあったんです。女性の場合は理容室でのパーマはダメ、とされていました。ちなみに髭剃りができるのは理容室だけ、これは今も変わっていません。

美容師と理容師〇× 今

このルールを破っても罰則があったわけではありませんが、店に行政指導が入る場合もあったそうです。なぜこんなルールがあったのかというと、客の取り合いをしないためです。1970年代、男性の長髪が流行したとき、一斉に客が美容院に行ってしまい、理容室の経営が厳しくなったことがありました。この時理容店と美容院の業界団体がモメたため、国が仲裁に入ってこんなルールが作られたんです。そのルールが形骸化しながらもずっと放置されていたわけですね。知らなかった方も多いのではないでしょうか。

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水を買って飲むようになるとは思わなかった!?

水を買って飲む

 日本の水道水は安全、おいしいとして世界的にも有名です。昔は水を飲むなら水道水で、水を買うなんて考えたこともありませんでしたよね。買うとしたら海外旅行の時くらいでした。でもある出来事をきっかけに水を買うことは一般的になりました。
 そもそも家庭用ミネラルウォーターが発売されたのは80年代前半でした。最初は紙パックで売られていました。当時は主にお酒の水割り用として使われていたそうです。

ミネラルウォーター生産量グラフ

 国内でのミネラルウォーターの生産・輸入量の推移を見てみると、急に増えたのは90年代に入った頃でした。実はこの時期にマンションの貯水タンクの汚れが社会問題となったのです。調べてみると汚れているところがいくつも見つかり、そのころから水を買う習慣が出てきたと言われています。その後一気に買う人が増えたのが2000年問題のとき、そして東日本大震災の時です。そう、水を備蓄する人が増えたんです。若い方のために説明しますと、2000年問題、とは1999年から2000年になる瞬間、コンピューターが誤作動を起こして水や電気などのインフラに大きな影響が出るのではないか、と心配された問題です。

2000年問題

もちろん、持ち歩きやすいサイズのペットボトル発売などほかにも契機はありましたが、こうした出来事を経て、水を買う習慣が根付いていったといわれています。今ではミネラルウォーターの市場は40年前と比べて60倍と拡大しています。水を買うのはすっかり当たり前となりました。

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韓国と仲良くなるとは思わなかった!?

日韓関係

 今日本でも韓国グルメやコスメはすっかり定着しました。韓流ドラマやK-POPアイドルの人気もすごいですよね。韓国に旅行に行く人も多く、距離も近くてまさに「身近な国」、になりました。
でもちょっと前までは全然違ったんです。1980年代までは日本と韓国はほとんど交流もなく、近くて遠い国でした。
 そもそも日本と韓国、国同士の関係が始まったのは、1965年の日韓基本条約です。当時の韓国は軍事独裁政権で、メディアを厳しく管理していたこともあり、情報はあまり入ってきませんでした。日本から観光に行っても橋や空港の撮影を不用意にすると捕まってしまうこともある、そんな国だったんですね。その後1987年、ソウルオリンピックを前に韓国は民主化を果たします。そこから徐々に交流が始まりました。そして大きな転機となったのが1998年の日本大衆文化開放です。それまで韓国内で禁止されていたアイドルや漫画、映画などの日本文化が韓国で少しずつではありますが、解禁されたのです。

日本大衆文化開放

そして劇的に日韓の距離が縮まったのが、2002年の日韓ワールドカップです。

日韓ワールドカップ

その後の韓流ドラマブームなどもあって、すっかり文化交流は当たり前のものとなりました。政治的には日韓関係はいい時も悪い時もあって、それぞれニュースになっていますが、音楽や映画、ドラマや食などの交流、市民レベルの交流は絶えることなく続くようになったんです。まさに「こうなるとは思わなかった!」関係になりました。

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戦争がなくならないとは思わなかった!?

戦争

 30年以上前、1991年にソ連が崩壊したことで、長く続いた東西冷戦は完全に終結しました。米ソという超大国が対立し、世界を二分していた冷戦が終わった時は「これでもう戦争は起きることはない。世界は平和になる」と誰もが思ったものでした。でも今はロシアとウクライナやイラン・アメリカの対立を見てもわかるように、世界は平和になった、と言える状況ではありません。「こんなことになるとは思わなかった!」状態になったのは一体なぜでしょうか。

 ベルリンの壁が崩壊し、冷戦終結へと向かっていた頃突如として起きたのが、湾岸戦争でした。イラクのフセイン大統領(当時)が石油欲しさにクウェートを侵略、占領したことをきっかけに、多国籍軍が編成され、戦争となったんです。ただ、この時も多国籍軍で戦ったことから、「みんなで戦争を解決する」という新しい形が始まったと当時は期待されたのです。

 その後冷戦が完全に終結し、1993年にはEUが発足、翌年には南アフリカでアパルトヘイト廃止を受けて初の黒人の大統領が選ばれ、95年にはWTO、世界貿易機関も設立されて対立より協力を模索するなど、まさに平和で新しい世界となった雰囲気にあふれていました。しかしその世界を一変させたのが、テロ事件です。2001年のアメリカ同時多発テロでした。
 このテロ事件をきっかけに、世界は国家、国民の安全確保が最優先となり、入国審査や監視体制が一気に強化される、ということが起きました。グローバルに自由に行き来できる社会よりは「危険を防ぐ社会」が重視されるようになったんです。

 さらにその動きに拍車をかけたのが2008年のリーマンショックです。アメリカの1つの投資銀行の破綻が世界に不況の波をもたらしました。まさにグローバル経済、世界で深くかかわりあう経済がもたらした結果です。そこで各国とも「自国経済をまずは守ろう」という動きへとシフトしていったのです。それを象徴したのが、2016年のイギリスEU離脱決定でした。

イギリスEU離脱の瞬間

イギリスもヨーロッパの仲間と手を取り合ってやっていくのではなく、イギリスファースト、イギリスさえ守れればいい、という発想で離脱したわけです。その後アメリカでもトランプ大統領が誕生し、アメリカファーストを掲げ、関税を使って自国の経済を守る、という動きとなりました。1990年代、世界は一つとなって平和になるのか、と思っていたら、自国ファースト、個々の国が個々の国の利益を追求する世界分断の時代となってしまったわけです。

池上彰さん

 こうしてみてきますと、AIが登場したときには「便利になる!」と思ったものですが、今ではAIができたことで人と置き換えられて仕事がなくなる、なんて「こんなことになるとは!」ということも起きてきています。これから日本はどうなっていくのか、どんな社会を目指していけばいいのか、是非皆さんも考えていただければと思います。

(池上彰のニュースそうだったのか!!4月25日OAより)

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