全国各地で大規模な山火事が発生しています。
延焼の被害が拡大する原因についても、見ていきます。
■岩手・大槌町の山火事 消火活動阻む“2つの障壁”
今回の岩手県・大槌町の山火事の焼失面積は、平成以降2番目の規模です。
小鎚地区は、火が出たのが4月22日午後2時ごろ。
焼失面積は、4月26日午前6時時点で約338ヘクタールです。
そして、吉里吉里地区は、火が出たのが4月22日午後4時半ごろ。
焼失面積は、4月26日午前6時時点で約1035ヘクタールです。
これまでの被害です。
避難指示は1558世帯、3257人。
人的被害は避難所で1人が転倒し、軽傷。
建物被害は住宅を含む8棟です。
今回の山火事の影響で、市街地や住宅地には、煙がたちこめていて、日常生活にも影響が出ています。
岩手県は、煙の被害対策として、
●屋外での長時間の運動を控えること、
●呼吸器系に疾患のある人や子ども、高齢者に、外出時はマスクを着用するよう、
呼び掛けています。
大槌町に隣接する釜石市では、高濃度のPM2. 5を測定しています。
「急峻な山に囲まれているので、盆地のように空気が滞留しやすい地形。さらに『海からの風』と『山からの風』があり、風向きが変わりやすく、煙が流れていったと思っても戻ってくることもある」といいます。
そして、消火活動です。
地上の消火活動では、1300人以上が活動。
防災ヘリ、自衛隊ヘリ12機が、合計170回を超える空中散水を行っています。
ただ、消火活動の障壁となっているのが、急峻な地形です。
人が入りにくく、水源も限定されます。
さらに、2025年2月に大船渡で山火事が発生した時よりも気温が高く、火力が強くなっていることも障壁です。
大船渡の山火事が起きた、2025年2月26日の平均気温は、4. 8℃でしたが、今回、大槌町で山火事が発生した4月22日の平均気温は17. 8℃でした。
「当面は、鎮火を目的とするより、人的被害が出ないよう、ポイントを絞って消火活動をするしかないだろう。まとまった雨が降らないと、収まらないのではないか」
■なぜ延焼拡大?『リアス式海岸』 『燃えやすい木』も影響
岩手県大槌町の山火事ですが、なぜ、延焼が拡大したのでしょうか。
まず、現場付近の“地形”『リアス式海岸』です。
『リアス式海岸』は起伏の多い山地が海に沈んだ海岸で、入り組んだ海岸線と、急峻な地形が特徴です。
このリアス式海岸の影響で、急峻で火が燃え広がりやすくなります。
火から出た熱が上に向かうため、坂を上るように燃え広がります。
さらに、下から上へ燃え広がるだけでなく、斜面の上から下へ、火が付いたものが落ちて、さらに燃え広がります。
そして、風の影響です。
「リアス式海岸は、風向きが変わりやすい上に、突発的な強風が起きやすい」ということです。
大槌町に近い釜石では、山火事が発生した4月22日の平均風速は3. 9メートルでしたが、最大瞬間風速は21. 3メートルでした。
続いて、乾燥です。
山火事が発生した4月22日は、平均湿度23パーセント、最小湿度は9パーセントでした。
さらに、油を多く含む、針葉樹が多いことも延焼の原因の一つです。
今回、針葉樹で起きやすい、木の葉の部分が燃える『樹冠火』が発生していました。
隣の木に燃えうつりやすく、飛び火も発生しやすい状況になっています。
■山火事頻発 地球温暖化で『大規模時代』に “負の連鎖”も
全国で大規模な山火事が頻発しています。
2025年2月、岩手県の大船渡市の山火事は、焼失面積が3370ヘクタールで、平成以降、国内最大規模でした。
2025年3月には、岡山県岡山市で、県内過去最大の486ヘクタールが焼失し、同じく3月に愛媛県今治市で、県内最大規模の481. 6ヘクタールが焼失する山火事が起きています。
林野火災の発生件数と焼失面積の変化です。
2009年は2084件で、焼失面積が1064ヘクタールだったのが、2024年は、831件と減った一方で、焼失面積が1073ヘクタールで、1件あたりの焼失面積が拡大しました。
さらに、2025年の焼失面積は、少なくとも4692ヘクタールと急増しています。
この焼失面積拡大の原因は、地球温暖化です。
2024年の日本の平均気温は、平年より1. 48度高く、統計開始以降、最も高くなりました。
地球温暖化による影響です。
気温が1℃上がると、空気中に含むことのできる水蒸気量は、5〜7パーセント増えます。
結果、地表の水分の蒸発を促し、より強い乾燥をもたらします。
地球温暖化の2つ目の影響は、偏西風の蛇行です。
偏西風が蛇行することで、本来移動する高気圧や低気圧が同じ場所で滞留することになります。
高気圧が滞留すると、極端な高温・乾燥が続き、低気圧が滞留すると、同じ場所に強風をもたらします。
地球温暖化による負の連鎖です。
地球温暖化が進むと、極端な乾燥の拡大につながります。
極端な乾燥は、山火事を増大させ、山火事によって二酸化炭素濃度が上昇して、地球温暖化が進むという、負の連鎖です。
そして、雪国への影響です。
「日本海側の雪が積もる地域でも、今後山火事が増える」ということです。
地球温暖化によって、春先は、雪解けが早まり乾燥がどんどん進み、一方、初冬は、初雪の時期が遅れることで、その間に乾燥が進み、山火事が発生しやすくなります。
「2022年の国連環境計画の発表では、地球温暖化による大規模な山火事の発生頻度は、2022年と比べて、2030年までに14%、2050年までに30%、2100年には50%上昇する。大規模山火事時代の到来を意味する」
■鎮火後も二次災害のリスク 土砂災害を誘発
山火事の鎮火後の二次災害のリスクです。
日本大学の串田教授によると、現在の大船渡の森林は、樹林が大量に消失したため、『山の保水機能が低下』するといいます。
今後、大雨の時に土砂が流出するなど、土砂災害のリスクが増えるということです。
実際に、2017年12月、アメリカのカリフォルニア州で大規模な山火事が発生しました。
その翌月の2018年1月、豪雨によって、土砂崩れが発生しました。
山火事によって、樹木などが大量に焼失したことが要因と見られています。
「大規模な山火事が起きると、森林の再生には20年から50年ほどかかる。最初のきっかけは、人為的なものがほとんど。ひとりひとりが、山での火の扱いに注意することが非常に大切」ということです。
(「羽鳥慎一モーニングショー」2026年4月27日放送分より)

















