JR北海道が、赤字が続く8つの区間について、沿線の自治体に改善案を提示して注目されています。
鉄道会社が運行を行い、自治体が線路などを管理する『上下分離方式』。
赤字路線をどう再生するのか?ローカル線の未来を、見ていきます。
■JR北海道 赤字区間で“上下分離”検討 自治体は負担増?
JR北海道は、4月、日本一短い本線として知られる、JR留萌本線を廃止し、115年の歴史に幕を下ろしました。
JR北海道は、この8年間で赤字の5区間を廃止しました。
さらに、JR北海道が単独では維持することが困難だという『黄線区(きせんく)』が8区間あります。
地図の黄色部分が『黄線区』です。
この8区間の赤字額の合計は、2024年度で約148億円に上ります。
この8区間は、どんな場所なのでしょうか。
道東を走る釧網線の赤字額は、約20億円。
この区間は、茅沼駅という、野生のタンチョウが飛来する姿が見られる無人駅があります。
室蘭線の赤字額は、約11億円。
この区間は日本で最後まで蒸気機関車(SL)が定期運行していた追分駅があります。
JR北海道は沿線自治体と、協議を始めることを発表しました。
JR北海道の主な経営改善策です。
・輸送体系のさらなる見直し
・担い手の確保
・固定資産税の負担軽減
・『上下分離方式』の検討
上下分離方式とは、『上』は、列車の運行のことで鉄道会社が行い、『下』は、線路などの維持管理のことで、自治体などが行います。
運行とインフラを別主体が管理する仕組みのことです。
上下分離方式にすることで、鉄道会社は、線路などの維持管理がなくなるので負担が減ります。
「設備投資のコストを気にせず、観光列車の運行など顧客サービスや増収策に経営資源を集中できる」
JR北海道が検討するとした上下分離方式について、沿線自治体から懸念の声が上がっています。
JR宗谷線の名寄高校駅は、高校まで徒歩3分の場所にあり、生徒70人が利用しています。
「便利なので廃止しないでほしいと心の底から思っている」という声が出ています。
「鉄道の維持管理は専門性が高い。ノウハウもないので、きっとできない」といいます。
「長大かつ施設の老朽化が著しい北海道において、上下分離方式はJRの負担軽減が注目されるが、これを地域が主体となって維持していこうとするならば課題が多く容易ではない」と話しています。
「単に負担を自治体に押しつけるだけではダメ。浮いた分をしっかり経営改善に回せるかどうかが重要」ということです。
■“上下分離”導入 JR只見線は奇跡の復活 黒字化した鉄道も
上下分離方式を導入した路線の実態です。
福島県の会津若松駅と新潟県の小出駅を結ぶJR只見線です。
豪雪地帯の住民の足として、55年前、1971年に只見線として全線開通しました。
ただ、車社会の到来や地域の過疎化などで、路線の利用状況は、2010年度にワースト2位となりました。
追い打ちをかけたのは、2011年の『新潟・福島豪雨』です。
線路の橋げたが崩壊するなど甚大な被害がでて、只見線の途中区間が寸断しました。
被災した区間の復旧費用は2017年当時で、約81億円にのぼりました。
JR 東日本は当初、被災区間について、バス路線への転換を提案しましたが、福島県と17市町村は、2016年度までに、只見線の復旧費用約21億円を積み立てました。
最終的には、復旧費用約81億円のうち、県と17市町村が3分の2を負担することでJRと合意しました。
地元の強い思いで、2022年、列車は、JRが運行。
駅・線路は県が保有するという上下分離方式で復活しました。
全長約135キロ、11年ぶりの全線再開です。
只野線のシンボルです。
只見線のシンボルとも言われる第1只見川橋梁です。
橋に差し掛かると景色を楽しめるように、列車の速度を落として走行します。
10年間の総事業費です。
2025年度から2034年度の10年間の総事業費は67億円です。
県は2025年度から国の補助金を活用して、負担を年間約4億円に抑えるということです。
「鉄道を走らせることで6〜7億円の経済効果があると期待している」
滋賀県にある、米原駅と貴生川駅を結ぶ近江鉄道です。
2024年4月に、列車は、近江鉄道が運行。
線路やホーム、車両などは、県や沿線10市町が保有し、維持管理をするという上下分離方式に移行しました。
近江鉄道の鉄道事業は、1994年から営業赤字が続いていました。
そのため、鉄道活用を盛り上げるため2022年に『全線無料デイ』を実施。
利用者が増えることで地域イベントが盛大になり、さらに渋滞が減ることで鉄道の存在感を地域に実感してもらうことが狙いだということです。
2026年3月期には、鉄道事業の営業損益は6800万円の黒字見通しとなりました。
営業黒字は2期連続となります。
黒字化の要因です。
「まだ会社に余力あるうちに今後の鉄道事業について県や自治体との協議を始めた」といいます。
■『夜行列車』『国鉄カラー』ローカル線 再建への工夫
大井川鐡道社長の鳥塚さんは『ローカル鉄道再生請負人』と呼ばれています。
2009年に千葉県のいすみ鉄道の社長に就任。
グルメ列車などのアイデアで話題になりました。
2019年にはえちごトキめき鉄道の社長に就任。
会社は2021年度に初の黒字になりました。
2024年から大井川鐡道の社長です。
新潟県の妙高高原駅と、直江津駅、市振駅を結ぶえちごトキめき鉄道についてです。
約97キロメートル、21の駅があります。
2015年、北陸新幹線の延伸に伴って、並行在来線の経営を引きついだ第三セクターの鉄道です。
並行在来線とは新幹線に平行している在来線で、原則JRから経営分離されます。
鳥塚さんがえちごトキめき鉄道の社長就任直後にやったことです。
直江津駅に自習室を作りました。
学生だけが使用できるもので、冷暖房完備、ワイファイ完備。
当時、1日あたりの、えちごトキめき鉄道の利用客は約1万1000人で、そのうち6割が中学生や高校生でした。
その中高生へのサービスを強化しました。
2019年の年末には夜行列車を走らせました。
ボックス席に大人2人、こども2人までで、駅弁とお土産がついて1万8000円です。
目的地は、直江津駅を出発、妙高高原駅に着いて、直江津駅に戻ります。
その後、市振駅に着いて、また直江津駅に戻ります。
午後10時に乗って、翌朝5時40分ごろまで、一晩かけて往復するだけです。
チケット販売前、社内から不安の声があがっていました。
当時の会社の幹部は売れないことを予想して、
「年末は列車の中で寝ることになる」と、自腹でチケット購入する覚悟だったといいます。
しかし、実際販売すると、数分で売り切れました。
2021年には国鉄形観光急行を走らせました。
JRから古い車両を購入、国鉄カラーに塗装して観光列車にしました。
国鉄形観光急行に関連するサービスです。
・ホームで駅弁などの販売。
・車内でのワゴン販売。
・観光案内放送。
・見どころでの徐行運転など行いました。
こういったアイデアと、コロナ禍の支援金もあり、2021年度には初の黒字となりました。
「当然黒字化を目指すが、鉄道だけで考えるのではなく、観光客の誘致など地域経済のトータルで考えることが大事。『地元客が乗る頻度を上げてローカル線を維持する』のは、もはや不可能」
■大井川鐵道 観光列車化で新料金へ 狙いは?
静岡県の金谷駅と井川駅を結ぶ、大井川鐵道です。
2022年の台風被害で一部不通です。
秘境駅が多く、トーマス列車などで有名です。
2026年3月、きかんしゃトーマスの列車に続き、パーシーが登場しました。
大井川鐵道の井川線です。
6月から観光列車にする予定です。
現在、千頭駅から井川駅まで1340円ですが、6月以降は企画料込みで3500円になります。
沿線の川根本町の住民への対応です。
2年間1000円で、乗り放題のフリーパスを販売予定。
また、単なる移動手段として利用する観光客の対応として、今まで通りの運賃の列車は、1日1往復運行予定です。
地域住民の需要は井川線では、過去15年間、定期券が売れていませんでした。
地域住民の移動手段としての需要は低いということになります。
「地域住民には今後丁寧に説明していく」としています。
「収益を上げられるようにすることで井川線にマンパワーを割くことができるようになる。そうすることで観光の町としての地域の将来を一緒に作っていけると考える」
(「羽鳥慎一モーニングショー」2026年5月4日放送分より)





















