福島県の磐越自動車道で高校生ら21人が死傷した事故で、8日午前、警察がバスの運行会社を家宅捜索した。バス会社と高校側の主張が対立する中、バス会社が取材に応じた。
学校とバス会社 “食い違う”主張
まずは、バス事故について見ていく。警察は7日、過失運転致死傷の疑いで、マイクロバスの運転手・若山哲夫容疑者(68)を逮捕した。若山容疑者は、マイクロバスを手配した蒲原鉄道の従業員ではなく無職だった。
警察によると、無許可で営業運行をしたとして、道路運送法違反の疑いも視野に捜査するとしている。若山容疑者は2022年から3年間、新潟県胎内市の臨時職員として、市が所有するマイクロバスの運転業務にあたっていたという。
事故を巡っては、学校側でバス会社とで、主張が真っ向から対立している。
まずは依頼内容について。バス会社は学校側から「貸切バスを使わず、レンタカーで送迎したい」「ドライバーもお願いできないか」と依頼があったとしている。
一方の学校側は顧問が「バスの手配を依頼した」「『レンタカーを手配してもらいたい』『運転手を出してもらいたい』とは伝えていない」と正反対の内容を主張している。
そして、報酬についてバス会社は「あくまでボランティア」としながらも「弁当や昼食代だとか、何らかの金銭は発生」と説明。
学校側は「遠征が終了した後で、蒲原鉄道にいつも通り代金を支払うこととしていた」と主張している。
運行会社が取材に応じる
そして、8日午後、バスの運行会社が取材に応じた。記者から、現状もボランティアという認識かと問われると、「ボランティアというのは、私から言った話ではないが、この支店の中でお手伝いをしてきた一つだと認識している」と話した。
また、金銭の授受は発生していなかったか、との問いに対しては「はい、今のところはまだ(そう)考えております」と答えた。
他にも記者からは質問があったが、「捜査を受けているので話せない」と繰り返し主張した。
政府の部活動改革とは?
今回の事故は部活動の遠征中に起きたものだが、こうした遠征には多額の費用がかかることも指摘されている。そうした中、政府は部活動の改革に乗り出している。
政府は今年度から、「部活動の地域展開等推進事業」をスタートさせた。2031年度までが実行期間とされているこの事業は、子どもたちの安心安全な活動などの観点から、遠征などの際の「移動手段の確保」を含む内容になっている。つまり、部活動の移動に関して政府がサポートするということだ。
ただ、「地域展開」はどういうことか。部活動に詳しい関西大学・神谷拓教授によると、これまでの学校の部活動を地域の民間のクラブなどに移行させるというもの。「政府が目指しているのは学校の部活動への予算増強ではなく、むしろ予算の削減だ」と指摘している。
高騰する費用 悩みの種に
一方、学校側は貸切バスを避けたい事情があるという。作家でスポーツライターの小林信也氏によると、背景には「学生スポーツの現実」があるという。
どういうことかというと、部活動が強くなるには県外への遠征が必須になる。遠征を多く行いたいが、その経費も以前より上がっている現実がある。発端となったのが、2012年4月に起きた「関越道高速バス居眠り運転事故」。7人が死亡したこの事故は、運転手の居眠り運転が原因とみられている。
これをきっかけに、貸切バスの運賃は高騰傾向となった。
2014年には、運転手を2人体制にするなどの安全コストを反映した「料金運賃制度」を導入。さらに2023年にはもう一段階上がり、近年の人件費や燃料費の上昇を反映した、新たな運賃になった。
つまり、多くの学校で部活動の遠征費用がますます悩みのタネとなった。そうした状況を解消するために、小林氏は国のスポーツ予算について「強化だけではなく、子どもの安心・安全のためにも使われるべき」と提言している。
(2026年5月8日放送分より)




