76歳の妻を殺害したとして逮捕されたのは82歳の夫でした。30年以上、妻を献身的に支えていたという夫に何が。
82歳の夫を逮捕
「(容疑者は)もう何十年も妻の介護をしていて、食事とか用意して全然普通な感じ」
「(Q.2人で歩く様子は?)病院とか連れて行くのに車に乗せる時、寄り添って車に乗せているのは見た。お茶とか何回か飲んだことあるけど、すごい良い人。妻が歩けない、松葉づえついていたから介護もしていた」
「(Q.悦子さん(被害者)との関係などは?)夕方とか、あまり遅くは出かけない。ご飯の支度とかやらなきゃいけないから、時間になると帰ったりはしていた」
「(Q.悦子さん(被害者)はどのような状態?)ここ引っ越して、もう30年になるけど、私が来た時点では松葉づえついて玄関まで出てきたりはしていた」
“介護疲れ”…そうみられる事件は、福島市で起きました。
井上巧容疑者(82)が警察署から出てきました。ゆっくりと車両に乗り込んでいます。
上着をかぶり、その表情は見えません。ただ、車に乗り込むとき、少しふらつく様子にみえる井上容疑者。妻の悦子さん(76)を殺害した疑いで逮捕されました。
「妻を殺した」
10日午前6時過ぎ、通報したのは夫自身でした。
警察が自宅を訪れると、倒れている妻を発見。その後、死亡が確認されました。
家には、井上容疑者もいたということです。頭を鈍器のようなもので殴ったり、手で首を絞めたりして殺害した疑いが持たれています。
「最初は強盗かと思ったけど、井上さんだというから奥さんを長く介護していたから」
夫婦は二人暮らし。近隣住民によると、地区の役員を務める夫の井上容疑者。足を患う妻の介護を、30年以上やっていたそうです。
「町内会長として回ってきたので、2週間前にしゃべった。『奥さん元気になった?』なんて言った。(被害者は)足が悪いから、外には出てこない。松葉づえをついている。訪ねると玄関まで出てくるけど、出歩いたりはしなかった」
「(Q.妻を病院に連れて行った?)整形外科で何回も会っていた。容疑者は新聞配達をやっていた。妻の面倒をみなくてはいけないから」
「(Q.1人で介護をしていた?)そうです。誰も頼りません」
「(Q.人に頼まないのは、なぜ?)お金がかかるから」
「(Q.周りに苦労を話したりは?)そういうことはしません。近所はみんな、年を取っているから」
30年以上妻を支えた容疑者。ところが最近になり…。
介護に疲れ犯行か
井上容疑者は近隣の人と接する機会も多かったそうですが、近隣住民によると井上容疑者の様子に“ある異変”を感じていたといいます。
「何週間か前に集金に来た時、疲れている様子は見かけた。前よりはりがないというか、やせた感じには見えた」
警察は、妻の介護疲れから突発的に事件を起こしたとみて捜査を進めています。
今年3月、東京・町田で92歳の妻の介護をしていた86歳の夫が、妻の首を絞め殺害しようとした疑いで逮捕されるなど、老々介護での事件は各地で起きています。
中でも目立つのは、男性が容疑者になるケース。男性が介護するケースは全体の3割ほど。ただ、介護疲れなどを理由とする“殺人事件”は、その半数以上が男性容疑者となっています。
専門家は、介護する男性の特徴を指摘します。
淑徳大学 総合福祉学部 結城康博教授
「男性の場合の特徴の一つは、抱え込む傾向にある。介護というものを仕事のようにとらえて、しっかりきちっとやって『自分でやらなければいけない』という自負心のある男性介護者が多い傾向。本来、介護保険ヘルパーなど社会支援を使って、言葉は悪いが『楽をしながら・長く続ける』介護が本来の長期戦だが、『すべて自分でやらなければいけない』と、どうしても孤立化してしまうのが男性介護者の特徴」
制度の抜本的な見直しも必要だと指摘します。
井上容疑者は「間違いありません」と、容疑を認めているということです。
(2026年5月11日放送分より)




