300キロを超える「メタボグマ」の目撃が相次ぐなか、要注意なのが「肉食化したクマ」です。こうしたクマは人を襲う可能性が高まるというんです。
“メタボグマ”続出
登山道に続く林道。ヒグマは一度姿を消した直後、車に向かって戻ってきました。
北海道のど真ん中に位置する新得町で、12日に撮影された映像です。
「車の前方を横切って、右の竹やぶのほうに入っていった。怖かった」
目撃者によりますと、このクマ以外に子グマとみられる小さいクマが2頭いたということです。
北海道で相次ぐヒグマの出没。親子とみられるヒグマです。北海道雄武町の道路を横切る姿が確認されました。
「車と同じぐらいの体格に近い」
この映像は、旅行中の女性が助手席から撮影しました。子グマはスルリと柵を抜け、それを追いかけるように母グマが柵を乗り越えます。
撮影した人の印象に残ったのは、やはりその肉付きです。
「やせている感じではなくて、すごく肉付きも良く、がっしりして毛並みもつやっとしていた」
母グマでもこの大きさ。オスの成獣となれば、それ以上です。
冬眠明け、北海道では巨大なヒグマの姿が相次いで確認されました。
今月は興部町で推定300キロ級がカメラに映り、苫前町では体長2メートル超え、箱わなに入るのか不安になるほど丸々と太ったおよそ330キロのヒグマが捕獲されました。
ヒグマはツキノワグマの倍近いサイズとされていますが、それでも冬眠明けにしては肉付きの良さが印象に残ります。
食に変化か
冬眠から目覚めたヒグマは、どのような食事をしているのでしょうか。その様子を捉えたドローンの映像を新たに入手しました。
画面中央のあたり、ヒグマが1カ所にとどまっています。食べているのはエゾシカです。
ここは北海道南部の山の中、シカを夢中で食べているヒグマの腰回りは、冬眠明けにしてはたっぷり脂肪を蓄えているように見えます。
BEAR FORCE 有惠啓司代表
「野生動物の調査のデータをとるために、自社で(ドローンを)飛ばしている時に、偶然見つけた。イメージしていた春グマの痩せた感じとは全く違った。『本当に冬眠明けか?』くらいの健康的でまん丸い、体格の良いクマだった」
こうしたシカ肉も、ヒグマの肉付きが良くなる要因の一つとみられます。本来、ヒグマはシカを食べるものなのでしょうか。
環境省の鳥獣保護管理捕獲コーディネーターで、ヒグマ防除隊隊長も務める玉木康雄さんに映像を見てもらいました。
ヒグマ防除隊 玉木康雄隊長
「自分で仕留めたシカではないことは、ほぼ確実かなと」
そもそも、クマは雑食で知られています。
「本当に食べられるものがあれば、それに合わせていく。『日和見(ひよりみ)雑食性』といって、肉だけじゃなく穀物系のもの、草木類、それらもすべて食べて栄養摂取の糧にできるように体を改造していったのがクマという個体」
「日和見」とは、環境によって行動を変えること。
シカはクマよりも俊敏で、雪がない時期にクマが自ら逃げるシカを捕らえるのは難しく、それ故、クマは山菜や木の実などに栄養を求めているといいます。
ただ近年、この食性に変化が見られています。
肉食化…人を襲う危険も
「先ほど申し上げた日和見雑食性で、本来は堅果類、炭水化物を含む木の実を好むクマが、肉食を覚えてしまって、しかも肉が容易に手に入る」
今、簡単に肉の味を覚えてしまうクマが、人を襲う危険が高まっています。
ヒグマ防除隊隊長の玉木さんは去年、それを肌で感じた出来事があったといいます。
札幌市南区の住宅から1キロほど離れた山林で撮影されたヒグマです。農家から通報があって駆け付けた時、異変がありました。
「(クマに)接近を試みた。行ったり来たりしながら、ブラフチャージ=威嚇行動、『これ以上接近すると襲いかかるぞ』みたいな」
ハンターが警戒するブラフチャージ=威嚇行動がみられたといいます。
このヒグマは、人間を恐れない「問題個体」と判断され、駆除されました。
「逃げてもいかないし、大事なものを抱えているんだろうと」
その予想通り、ヒグマの足元にはシカが横たわっていました。
エゾシカの推定個体数は73万頭。2019年度に増加に転じ、増え続けています。
「人里近くはハンターが撃てないので、シカがそこに住んでしまっている。シカの自然死個体が増えれば、クマの肉食率は高まっていく」
玉木さんは、人里近くで「シカを食べるクマ」が増える前に、シカへの対策も必要だと話していました。
(2026年5月13日放送分より)









