かつては見えにくい夜の世界の職業とされていたキャバクラ嬢が、SNSの普及やメディア露出によって可視化されている。きらびやかな側面が見えることで憧れの職業として注目を集める一方で、業界に飛び込んだ後の苦労やトラブルなども抱え続けている。「ABEMA Prime」では、現役・元キャバクラ嬢をスタジオに招き、この業界の実態について議論が行われた。
【映像】人気キャバ嬢・家入みずほさん“陰キャ”だった高校時代(実際の様子)
■可視化された「夜の世界」と女性たちの憧れ

銀座や六本木、歌舞伎町の高級店ではキャバ嬢が注目を浴びており、水商売求人サイトEmilyの営業担当者によれば「有名高級店だと年間何百人と応募があっても1、2名採用するかしないかのレベルで、年齢、容姿だけではなく、SNSフォロワー数も採用基準に含まれ始めている」という。
キャバ嬢が憧れの対象となった背景について、銀座「J-VOGUE」では働く家入みずほさんは、「キャバ嬢が関西コレクションに出るなどして有名になった。それに出たら一流という感じで、みなさんが『キャバ嬢になりたい』と加熱している」と述べる。
また歌舞伎町の元カリスマキャバ嬢で実業家の愛沢えみり氏は「Instagramが業界を変えた。キャバクラ業界の華やかな世界が、Instagramとマッチして業界外の人も見てくださるようになった」と、SNSによる可視化の影響を指摘する。
ネット上でも「キャバ嬢のYouTube見てると、み〜んなスタイル良すぎて憧れ」「綺麗なドレスきて、頭セットして、キラキラのアクセサリー纏ってやってみたい職業やわあ」といった声が上がっており、可視化された華やかさが同性からの支持を集めている。
家入さんが業界に入った動機は極めて明快だ。「20歳になって、ある程度大学の単位を取り終わった後に何しようかと考えた時『時給1000円で働けないな』と思い、自分が頑張った分だけお給料がもらえるキャバ嬢になりたいと応募した」と語る。当初から「将来は資産貯めてFIRE(早期リタイア)するのが最適だ」と考えており、そのための手段として実力主義のキャバクラを選んだ。ただ、その後は働くことのやりがいを感じ、キャバ嬢として働きながらも、貯めた8000万円を元手に牛たん店をオープン、オーナーにもなった。
六本木「アンジュール東京」に勤務するすずさんは、芸能活動や広告代理店での営業職を経て、26歳で業界に飛び込んだ経緯を持つ。「地元だと(営業の)成績が良かった。25歳ぐらいになって、キャバ嬢さんたちがメディアに出ているのを見て、自分が夜でどこまで行けるのか興味を持った」と挑戦の理由を明かした。
仕事のやりがいについても、それぞれ違う。家入さんは「普段、出会うことのないお客様とお話ができる。(牛たん店を)経営していく中で不安や悩み事に直面することも多いが、キャバクラのお客様に経営者の方がたくさんいるので、その方に相談させてもらって、とても勉強になることが多い」という。客層についても「上場会社の方や、役員の方。そこまで上り詰めるのに、とてつもなく努力した方ばかり」であり、若くしてそのような層と繋がれる場であることを肯定的に捉えている。すずさんも「普通では出会えない方たちと出会えて、楽しく飲めるのにはやりがいがあるし、楽しいなと思う」と語る。
カリスマキャバ嬢としてファッション誌でも活躍した愛沢氏は、2日間で2億5000万円を売り上げた伝説の引退イベントが有名だ。「キャバ嬢として最後の2日間で、100組ぐらい来た」とその規模を語る。彼女の接客スタイルは「笑顔で自分が楽しみ、客を褒める」ものであり、飲めない酒を飲まず、イチゴジュースを飲み続けたという独自の接客スタイルでもあった。
すずさんも、月間売上3000万円を記録し店のNo.1となったが、苦労もあった。その内情を「1年目は何もわからず、がむしゃらに頑張っていたが騙されることもあったし、何を頑張ったら成功して売り上げになるかもわからなかった。2年目からはいろいろわかった。楽な仕事と思っている方も多いと思うが、そうでもない」と、安易な憧れに警鐘を鳴らしている。
■危険とも隣り合わせの側面も

華やかな世界には常に危険と隣り合わせの現実がある。家入さんは「アフターでホテルに連れ込まれそうになった」という具体的な被害を経験しており、さらには「牛たん店をオープンしたことに対して、『脱税したんだろ』『パパがいるんだろ』の声」といった周囲からの偏見にも晒されている。
愛沢氏は、現役時代の過酷な状況を次のように明かす。「2年にわたるストーカー被害」に加え、「SNSで攻撃され自己肯定感が下がる」、「売り上げ維持のプレッシャーや客からの暴言などで、メンタルが病み円形脱毛症になったことも」あったという。また、特殊な環境が人格に及ぼす影響について、「少しずれていたり、わがままだったりする女の子の方が、お客様からウケがよくて売れる傾向がある。そうすると、一般常識がなくなっていく。だんだん人格も変わっていくので、私自身もそれを治すのにすごく苦労した」と、引退後の社会復帰の難しさを吐露している。
すずも、自身の恋愛観や精神状態への影響を懸念しており、「ランキング入りすると売り上げ維持のプレッシャー」があることや「健康を害する」こと、そして「男性を信じられなくなる(恋愛観がバグる)」といったリスクを挙げた。
業界のタブーとされる「枕営業」についても、出演者たちは率直に言及した。家入さんは「(売上競争の中で)枕営業をしなければいけないと思う部分もあるが、私はそれをするぐらいなら、今自分が楽しいと思える範囲で仕事をしていたい」と、自身の線引きを語る。
これに対し、長年業界を見てきた愛沢氏は「(枕営業をしているのは)2、3割ぐらい」と具体的な割合を推測する。また、すずさんは「枕営業はある。自分の営業術によって違う。要求されたり、怖いことが起こるのは、結局は自分次第だ」と、自身のトーク術や振る舞いによる制御の重要性を説いた。 (『ABEMA Prime』より)