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2026年6月2日 16:00

医療費値上げ 新たに徴収『キャンセル料』背景に病院危機“ナフサ不足”で資材高騰も

医療費値上げ 新たに徴収『キャンセル料』背景に病院危機“ナフサ不足”で資材高騰も
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病院や薬局など、医療機関に支払う診療報酬が、6月1日から引き上げられました。

患者が負担する医療費が値上げされ、一部医療機関でキャンセル料の徴収も始まります。
その背景にある病院の危機についても見ていきます。

■6月から患者負担増 診察・入院費用増 物価高 賃上げに対応

6月から医療に関する費用が上がります。

6月1日から、保険の対象となる病気やけがで受診した際に、医療機関や薬局に支払われる診療報酬が改定されました。

診療報酬は初診料や再診料、手術料など診療内容ごとに国が決めた点数に基づき、全国一律で1点につき10円で計算されます。
医療の進歩や経済状況を踏まえて、2年に1度、見直しが行われています。

診療報酬の使い道です。

医薬品・医療機器の購入費や人件費、施設の維持・管理費などに充てられ、医療にかかる様々な経費を賄う医療機関の主な収入源となっています。

今回の診療報酬の改定で、窓口負担が3割の人の場合、外来の初診は、改定前から190円の上乗せとなり、患者側の支払い額はこのうち3割の57円増加
外来の再診は、改定前から70円の上乗せとなり、患者側の支払い額はこのうち3割の21円増加します。
※支払額は医療機関により異なります。

増額分の大半が医療従事者らの賃上げ物価高への対応に充てられます。

診療報酬の改定について、上野厚労大臣です。
「患者の一部負担金も上がるが、 医療従事者の賃上げの対応も含め、地域における必要な医療の確保という観点から重要と考える」と説明しています。

診療報酬については、これまで様々な議論が行われてきました。

2025年5月に、財務大臣の諮問機関である『財政制度等審議会』が医師や病院などの地域の偏り是正のため、『地域別診療報酬』の活用を提案しました。

これは、診療所が不足している地域と過剰な地域で、診療報酬の単価(1点あたり10円)を変えることで、不足地域への医療従事者などの移行を促すという考えです。
例えば、過剰地域では1点あたりの単価10円を引き下げることを主張しています。

経済同友会も全国一律の診療報酬体系での均質な医療サービスの維持・提供に限界が生じていることから、『地域別診療報酬制度』の導入を提言しました。

こうした『地域別診療報酬』の主張に、日本医師会の松本吉郎会長は、
「日本医師会としては、地域別の1点あたりの単価の変更は断固反対
「地域別診療報酬にした場合、都市部ほど窓口負担が安くなり、医師不足の地域の住民は、負担感を強いられることになる」と指摘しています。

物価高などの対応は他にもあります。

入院に関する費用です。
発症直後の『急性期』の患者が一般病棟に入院した場合、
▼入院の基本料金が、1日あたり558円
▼入院中の食費が、1食あたり40円
▼入院中の光熱水費が、1日あたり60円
それぞれ増加します。

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■キャンセル料 一部で導入 背景に「年150万円損失」

一部の医療機関では新たな徴収が始まります。

6月1日から一部の医療機関で、診察日の直前に患者側の都合でキャンセルをした場合、診療のキャンセル料の請求が可能になります。

請求ができるのは、予約料をとることを国に届け出て、『予約に基づく診察』として特別な料金を徴収している医療機関のみです。
2024年時点では、全国約18万の医療機関のうち、約900施設です。
今後は、届け出れば順次導入が可能だということです。

医療機関は、
▼診察予約時にキャンセル料が発生する可能性を患者に説明し、同意を得ること
▼キャンセル料などを院内に掲示すること
▼医療機関のホームページにも掲載することが
義務付けられています。
また金額などは各医療機関が決めます。

先日キャンセル料の導入の届け出をした医療機関があります。

東京・北区にある、いとう王子神谷内科外科クリニックです。
一部の高額な検査などについて、キャンセル料の徴収を行う予定です。
例えば、
▼胃カメラは、3日以内のキャンセルで1500円
▼大腸カメラは、5日以内のキャンセルで2000円
のキャンセル料となります。

こちらのクリニックでは過去に大腸検査の予約があったため、準備するも、当日に患者が来ず。
内視鏡の洗浄液の準備などで数千円の費用が発生したということがありました。

クリニックの伊藤院長です。
「患者さんのキャンセルの事情はもちろん考慮する。 ただ、高い検査や手術が直前に正当な理由もなくキャンセルされ、薬品や人件費が無駄となり、年間約150万円の損失が出る。抑止力につながればと思う」と話しています。
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■病院経営危機 物価高“ナフサ不足”の影 医師の偏りも

今、多くの病院が経営危機に直面しています。

医療機関の倒産、廃業が増加していて、2025年、倒産、休廃業、解散した医療機関は889件うち病院は28件で、3年連続で過去最多を更新しています。

内部努力で経費削減に取り組む病院もあります。

済生会横浜市東部病院です。
人件費の高騰に加えて、物価高による診療材料費の高騰や、給食や清掃など外部委託費の値上げによって、支出が増加しました。
病院では経費を抑えるため、職員だけが使う廊下の電灯を間引きしたり、清掃の頻度を減らすなどの工夫をしています。
しかし、2025年、必要な医療機器の更新ができませんでした
災害時に電力を供給する補助電源装置の更新を迎えていましたが、費用が約10億円かかるため更新を見送ったといいます。

この病院の三角院長は、
更新すれば赤字に陥っていた。問題なく使えるものは使い続けるしかない。病院経営は内部努力でどうにかしているにすぎない」と話しています。

中東情勢などによる物価高の影響で、病院移転の入札が中止になったところもあります。

愛媛県立今治病院では老朽化に伴い移転し、病院を新築する計画を立てていました。
開院は2030年度の上半期を予定し、計画に伴う整備費は211億円を予定していました。
しかし、入札に参加表明をしていたすべての事業者が辞退を表明
入札が中止となり、病院の開院も未定となってしまいました。

愛媛県の担当者です。
設備工事費用の高騰が事業者が辞退した大きな原因。中東情勢の影響も否定できない。今後は計画を見直し、再入札に向けて取り組んでいる」

医療資材も高騰しています。

医療資材の卸売会社によると、原材料費の高騰などを理由に6月1日付で、プラスチック製の容器医療用手袋などの商品を値上げしたということです。

4月から仕入れ価格が2割から3割ほど上がっているということで、担当者は、
「中東情勢の影響は出ているが、メーカーにはまだ在庫がある商品も。影響が本格化するのはまだまだこれからだと思う」と話しています。

医師の偏りも医療機関を圧迫しています。

地域間での医師の偏りです。

こちらは厚生労働省が発表している、医療ニーズに対する医師の数を示す『医師偏在指標』になります。
水色の部分は医師が足りていない下位3分の1、
黄色の部分は医師が足りている上位3分の1になります。
1位は東京、最下位は青森県となっています。

医師が不足する地域では、オンライン診療も活用されています。

岩手県の八幡平市立田山診療所では、2020年以降常勤の医師がいない状況が続いています。
こちらの診療所では約40キロ離れた市立病院から医師が交代で勤務していますが、月に1日から2日はオンラインで診療を行っています。

この診療所で診察を行う医師は、
「オンライン診療は天候に左右されないが、オンラインだけだと住民は不安に思う。対面と組み合わせるのがいいのでは」と話しています。

診療科の間でも医師の数に偏りがあります。

診療科別の医師の数を見てみると、最も多いのは内科で約12万4000人。
続いて多いのは外科ですが、大きく数が減り、約2万7000人。
地域の医療に必要な小児科は約1万8000人。
産科・産婦人科は約1万2000人と、診療科ごとに大きな差があります。

現場の医師の声です。

外科・産婦人科の医師は、
産婦人科は24時間仕事があるが、他の科は夜間の仕事がほとんどない科も」
リハビリテーション科の医師は、
早く帰れる診療科とそうでない診療科がある。脳外科の人数が少なくて冬にオペざんまい。ドクターがフラフラなのに、救急外来から緊急オペが回ってくる」
千葉大学病院特任教授で、病院経営や医療政策に詳しい吉村健佑さんです。
「医師の偏りは地域や診療科間だけでなく、病院や診療所間でも存在している。地域に必要な医療をどの病院が担うか、医療の集約化も含めて、地域全体で医療の提供体制を作る必要がある

(「羽鳥慎一モーニングショー」2026年6月2日放送分より)

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