終活中の高齢者を狙った詐欺が増えています。
特殊詐欺の年間被害額が過去最悪となり、その被害の半数を高齢者が占めています。
悪質な“終活詐欺”の手口について見ていきます。
■特殊詐欺被害 過半数は高齢者 ニセ警察が“逮捕状”郵送!?
特殊詐欺の被害が増加しています。
特殊詐欺とは、被害者を電話やSNSを利用して、対面することなく信頼させ、指定口座へ振り込みなどをさせて現金などをだまし取る犯罪です。
5月末に公表された、最新の特殊詐欺の被害状況です。
2020年以降、特殊詐欺は年々増加し、2025年は、警察による認知件数が、約2万8000件。
被害額は、約1423億円と、ともに過去最悪の被害となっています。
被害額は、2024年から1年で約2倍と急激に増加しています。
認知されている被害のうち、半分以上は65歳以上の高齢者が占めています。
増加の原因は、警察官などをかたり、捜査名目で現金などをだまし取る『ニセ警察詐欺』の被害が増加しているためだということです。
70代の高齢者は、1件当たりの被害額が平均で1800万円を超え、高額な被害となっています。
ニセ警察詐欺で最近増えている新しい手口が『逮捕状の郵送』です。
「暴力団が関係する犯罪組織の捜査で、 あなたを関係者と認定しました。捜査に協力しなければ逮捕します」とまったく身に覚えのない電話が来ました。
その翌日には、自宅の郵便受けに封筒が届き、中にはAさんの名前や生年月日が正確に記された『逮捕状』が入っていました。
「あなたの口座の現金と 犯罪で使われた現金の紙幣番号を照合します。650万円を準備して、現金は封筒に入れて門の柱の上に置くように」と指示を受けました。
Aさんは指示に従い、現金が入った封筒を門の柱の上に置いたところ、いつの間にか封筒はなくなっていました。
その後、警察のホームページで同じ事例を見つけて、詐欺だと気付いたということです。
特殊詐欺の被害に遭わないよう、今すぐできる対策があります。
特殊詐欺の犯行に国際電話が利用されるケースが急増しています。
国際電話が犯行に利用されるケースは2023年が約1万4000件、2024年が約4万8000件確認されていましたが、2025年は約9万3000件と急増しています。
2025年、特殊詐欺の犯行に利用された電話番号のうち、75.5%が国際電話の番号を利用していたということです。
普段から国際電話を利用する機会がない人は、国際電話の着信の利用休止が有効な対策となります。
その手続きは国際電話不取扱受付センターで可能です。
携帯電話はアプリで国際電話の着信をブロックすることができ、警視庁の防犯アプリ『デジポリス』では、2025年12月から国際電話のブロックシステムを搭載しています。
このアプリは国際電話番号からの着信通知を遮断。
さらに警察が把握している、犯行に利用された電話番号もブロックできるということです。
■終活中の高齢者狙う“終活詐欺”どう防ぐ?法制度に課題も
そんな中、終活中の高齢者を狙った“終活詐欺”も増えています。
これは、消費者問題に詳しい金田万作弁護士が実際に対応したものです。
Bさん(70代)女性、
▼都内で一人暮らし
▼終活として、持ち物を整理していました。
数年前のことです。
「買い取り業者です。いらない物あれば、買い取りますよ」と、突然トラックでBさんの自宅を訪れました。
Bさんは売りたいものがあったため、買い取り業者を名乗る男性を自宅に招き入れました。
「バッグではお金になりませんよ。宝石はないですか」などと言って、宝飾品などを持ってくるよう促しました。
男性が「見積りだけでも」というので、Bさんは、(ネックレスや指輪などの)宝飾品を見せました。
Bさんは、宝飾品は売るつもりではなかったので断ったのですが、
「今売っておくと、後々ラクです」などと言われ、家にあった高額なものを安い価格で買い取られてしまいました。
金田弁護士によると、本来の推定の売却価格は数十万〜100万円ほどとみられるといいますが、
▼受け取ったのは、5万円程度
▼明細はなく、業者もわからない
このケースは、Bさんが娘に相談したことで発覚し、弁護士に相談をしたということです。
“終活詐欺”とは、
▼人生の終盤に向けて様々な準備や整理を進める『終活』を行う高齢者を狙った詐欺です。
▼『終活』は、金銭に関わる整理も活動内容の中心なので、ターゲットになりやすいということです。
モノの押し買いトラブルにあわないための注意点です。
▼突然訪問してきた購入業者を家に入れない
▼購入業者から電話がかかってきても、安易に訪問を承諾しない
▼訪問を承諾する場合、一人では対応しない
▼売却した際は、契約書面の交付を求める
もし契約してしまった場合は、違法な訪問購入を取り締まる『特定商取引法』があり、クーリング・オフについて記載された契約書面を受け取っていれば、8日間は“無条件で”契約の解除ができます。
続いて、不動産の押し買いです。
これも、金田弁護士が実際に対応したものです。
Cさん(70代)男性、
▼都内の戸建てに一人暮らし
▼終活として、数年後には自宅を売却し、施設に入居することを検討していました。
2024年秋、自宅に若い男性が「不動産の営業です」とCさんの自宅を訪ねてきました。
その後、何度も訪ねてきて、親しくなりました。
その男性と、「将来はどうするつもりなんですか?」「施設入居を考えているんです」のような、身の上の話をするようになったということです。
そういった会話の流れから、
「高齢者施設に入るにも、一時金などが必要です。一旦自宅を売却して、そのお金を用意すれば良いです」などと言われ、
▼売却後も家賃を支払い、その物件(自宅)に住み続ける『リースバック』を提案されたということです。
▼(売却価格などの)相場などの説明なく、Cさんは、よくわからずに契約してしまいました。
リースバックとは、自宅を売却して、売却額を手にした上で、売却後も家賃を支払いその物件に住み続けることができる制度です。
契約書には、売却額:1500万円、(自宅を売却した後の)賃料(家賃):月10万円 と記載されていました。
だた、金田弁護士によると、売却額の相場は、2000万円〜3000万円、賃料の相場は、5万〜7万円程度だということで、相場と大幅なズレがあったといいます。
数年暮らすうちに、自宅を売った代金を賃料として消費していました。
息子がCさんの通帳を見て、これが発覚、警察と消費者センターへ相談したということです。
不動産の押し買いは、法制度に課題があると指摘する声があります。
不動産取引を取り締まる『宅地建物取引業法』には、住人が『売主』となる場合に、クーリング・オフができるという規定がありません。
違法な訪問買い取り業者を取り締まる『特定商取引法』では、不動産の訪問購入は、クーリング・オフの対象外です。
解約する場合です。
売主の都合で契約を解除する場合は、手付金の『倍額』を買主に支払う『手付倍返し』が民法で定められています。
例えば、売主が手付金100万円を受け取っていた場合、売主の都合での契約解除には、倍の200万円を買主に支払わなければいけません。
手付倍返しの期限は、契約日から1週間程度です。
期限を過ぎた後の契約解除は、契約違反にあたるため違約金の支払いが発生します。
こうした消費者が守られない状況に、日本弁護士連合会や第二東京弁護士会は、国交大臣や消費者庁長官に対し、法改正などを求める意見書を提出しています。
意見書では、
▼住人が売主の場合や不動産取引もクーリング・オフの対象にすること
▼買い取り業者に売買価格の根拠の明示を義務付けること
などを求めています。
『特定商取引法』と『宅地建物取引業法』を所管する消費者庁と国交省に、新しい動きはあるか番組が聞きました。
特定商取引法(不動産取引はクーリング・オフ対象外)について、
「この法律を改正する動きは現状ない。 住宅売却の契約リスクなどを注意喚起し、国交省とも連携して、事業者にもきちんと説明するよう働きかける」
宅地建物取引業法(住人が売主の場合、クーリング・オフ対象外)について、
「現時点で法改正の動きはない。リースバック被害対策については、現在、事業者向けにガイドラインを策定中」
「宅地建物取引業法の場合、 クーリング・オフを売主側にも一律に適用すると、消費者同士の売買でトラブルが起きる可能性がある。こういった懸念から、法改正が進まないのでは」
■狙われる認知症高齢者 4000万円超奪われ生活保護に
認知症の高齢者も詐欺のターゲットになっています。
認知症の高齢者を狙った詐欺事件です。
2025年5月、元市議の男が準詐欺、窃盗などの罪で懲役6年の実刑判決を受けました。
元市議の男は、佐賀市内の死別した夫の遺産を保有する、認知機能が低下した当時70代〜80代の女性に、「遺産分割協議を手伝う」と、女性を助ける素振りを見せて近づきました。
犯行の詳細です。
元市議の男は女性と一緒に銀行に行き、女性の口座から男の口座へ3400万円入金させ、また、女性のカードを使いATMから350万円引き出していたことも分かっています。
さらに、元市議の男は、「亡くなった夫の借金のため」などと不動産業者に嘘を言い、女性の自宅を売却。
売却代金395万円も奪ったということです。
被害にあった女性は、資産合計4145万円を失ったほか、荷物をほとんど持たないまま賃貸へ転居。
生活保護を受けるほど困窮する状態になったということです。
認知症の高齢者が被害に多く合う場面です。
1番多いのは、健康食品などの定期購入。
2番目に多いのは、訪問勧誘や電話での勧誘。
3番目に多いのは、屋根などの住宅修理。
続いて、訪問買い取り・押し買い、複数の訪問販売業者から購入する次々販売となっています。
高齢者本人だけでなく、家族も注意が必要です。
家族が注意すべきポイントは、まず、お金・物の変化です。
見慣れない領収書、短期間の高額出費、大量の同一商品があった場合、注意が必要です。
さらに人間関係の変化も注意すべきポイントです。
頻繁な営業の電話、過度な業者信仰、高齢者本人が何かを内緒にするような素振りにも注意が必要です。
(「羽鳥慎一モーニングショー」2026年6月9日放送分より)






















