慢性的な看護師の不足が問題となっています。
深刻な看護師不足で患者への医療サービスが低下しています。
医療現場の崩壊の危機についても見ていきます。
■“なりたい職業”も看護師不足 医療崩壊の懸念
病院を対象にした、実態調査です。
「看護職員は、現在不足していますか」という質問に対し、
「不足している」と答えたのが75.4%、
「不足していない」が19.4%で、
4分の3の病院が、看護職員が不足していると答えました。
看護職員の需要と供給の見通しです。
青線の需要は、大きく上昇していて、2025年の需要見通しは180.2万人となっていますが、赤線の供給は、需要と比べると伸びは、ゆるやかで、2025年の供給見通しは、174.7万人と需要を下回り、看護職員不足の状態であることがわかります。
看護職員は子どもたちにとっては憧れの存在です。
2025年の小学生の将来なりたい職業ランキングです。
小学生男子では、
1位がサッカー選手・監督など、
2位が野球選手・監督など、
3位が医師となっています。
小学生女子では、
1位が保育士、
2位が同率で看護師と美容師となっており、
小学生女子の中では、憧れの職業となっています。
子どもたちにとっては憧れの存在の看護師ですが、若者のなり手が減っています。
大学・看護師学校養成所の受験者数です。
2020年、約19万8000人いた受験者は、
2025年に約14万1000人と、5年で5万7000人減っています。
閉校する看護師の養成学校も出てきています。
埼玉の秩父看護専門学校です。
▼定員40人
▼11年前(2015年)から定員割れが続き、
▼2026年度の新入生は、過去最低の9人になりました。
▼2029年3月で閉校することが決まっています。
「少子化やコロナ禍で“看護師は危険の高い職業”と伝わった影響で学生が減った(と考えている)。この人数になると、学校運営を続けるのは困難。これまで新人看護師の重要な供給源として、卒業生が地域の医療機関に従事してきた。閉校は、地域医療の将来に直結する深刻な問題」と話しています。
「看護職員の不足は医療提供体制が縮小されるなど、大きく影響を受ける。今後、超高齢化社会に入り、看護職員の需要は確実に高くなる。現在の状況が改善されなければ、医療崩壊の懸念も」
■看護師不足で入浴回数減 サービス低下 病床休止の病院も
看護職員が不足していることで、医療現場ではどういうことが起きているのでしょうか。
看護職員不足による医療提供体制への影響です。
看護職員不足の病院のうち、「患者へのサービスが低下している」と答えた病院は83%でした。
具体的には、
▼これまで入浴回数が週2回だったのが、週1回に減った。
▼夜勤時、トイレに誘導する余裕がなく、ベッド上で(おむつで)排泄してもらっている。
▼人員不足でナースコールに対応できず(間に合わず)、転倒して骨折してしまった。
▼夜勤時に人員不足で胃ろう(直接胃に栄養を注入する栄養補給方法)対応ができず、3食から2食に減らし、日勤時に対応している。
看護職員不足による労働者(看護職員)への影響です。
▼夜勤回数の増加
▼時間外労働の増加
▼休憩・休暇が取れない
と答えた病院が半数を超えていました。
看護職員不足で病床の一部を休止している病院も出てきています。
千葉・銚子市の島田総合病院です。
▼2020〜2025年の5年間で、定年や業務量の多さなどで退職した人が24人。
▼一方、新規採用できたのは19人(新人含む)にとどまりました。
(※2020年からの5年間ではなく、2026年も入れて)
▼2025年4月、看護師不足により120ある病床のうち、24床を休止しているということです。
「看護師不足のため、1人にかかる負担が増え、就業時間の超過、休日がギリギリしか取れない、体調を崩す職員も出てきた。体を休める時間や、家族と過ごす時間が必要と考え、病床の一部閉鎖を決断した。休床を解消し、地域の人々のための病院を早く戻したい」と話しています。
■看護師の過酷な労働実態 給与上がらず「責任に合わない」
人手不足により、看護師の労働も過酷になっています。
都内の一般病院に勤務する40代Aさんの1日のスケジュールです。
本来の始業は午前8時半ですが、30分早い午前8時に出勤して、カルテの確認や点滴、検査の準備などの『前残業』をします。
始業後の午前中は、患者さんの健康状態の確認などを行い、担当している患者さん6人を順次検査室へ案内しながら、昼食の準備を行います。
Aさんも1時間の休憩がありますが、カルテの記入などをして、実質休めるのは10分程度です。
休憩が終わり、午後は担当する患者の対応や退院準備、入院患者の受け入れ。
1日約60回鳴るナースコールを看護師で手分けして対応します。
業務は、午後6時の定時には終わらず、午後9時まで残業するという状況が1カ月続いたこともあるそうです。
「看護師不足で、1人当たりの担当する患者数が10人前後になったこともある。それぞれ、術後観察が必要だったり、高齢の患者で、ベッドで安静にするよう言っても、歩いて転んでしまう人もいて、落ち着く時間はない」
看護師が辛いと思う背景に、厳しい夜勤実態もあります。
24時間体制で患者を見守る病院では、
▼各勤務時間が8時間ずつの『三交代制』、
▼朝から夕方まで勤務する日勤と、夕方から翌朝まで勤務する夜勤に分かれている『二交代制』があります。※休憩2時間込み
8時間以上の長時間勤務となる『二交代制』の病棟は、全体の54.8%と過去最多の割合となっています。
このうち、5割弱の病棟で、心身への負担が大きくなる16時間以上の夜勤となっているということです。
「二交代制は生活リズムをつけやすいというメリットもある。ただ、子育てや介護などで、日勤だけを選択する看護師もおり、夜勤が出来る人が限られるため、特定の人に集中してしまっている。月に9回夜勤をするケースもある」
給与の課題もあります。
全産業の大卒の労働者と看護師の給与を比較すると、20代では看護師の給与が上回っていますが、30代になると全産業の給与を下回り、以降は給与の格差が拡大していきます。
看護師の就業者が年代別で最多の45〜49歳の月給は、全産業の労働者と約10万円の差があります。
埼玉県の総合病院に勤務する30代Bさんの月の給与です。
基本給などが27万円。
4回分の夜勤手当てが6万円。
残業代が2万円で、税金などが控除された結果、手取りは28万円前後となります。
「一般企業が賃上げする中、 看護師は伸び悩んでいて、非常に責任の重い仕事をしているのに給与がこの金額でいいのか疑問」だということです。
「看護師の給与は診療報酬などから賄っており、経営者が上げたくても上げられないのが現状。2026年度の診療報酬改定で賃上げがあったが、反映できるかは病院の経営次第。他の業種との差はまだ埋まらないのではというのが現場の実感」
■看護職員確保の取り組み “スポット勤務”や外国人養成も
各自治体が看護職員を確保するため、様々な取り組みをしています。
愛知県の『スポットナース』という取り組みです。
子育てや介護などで現在、看護現場から離れているが、時短勤務を望む看護師に、1日単位や時間単位で勤務できる医療機関を紹介するものです。
その紹介を受けて、都合のつく時間だけ働きます。
仕組みは、
1、スポットで働きたい人が、県の看護協会やナースセンターのシステムに登録します。
2、医療機関からの『「〇月〇日 〇時〜〇時」に働いてくれる看護師を募集しています』など、スポットの求人募集の情報を登録した人に紹介します。
福岡県は外国人看護職員養成に取り組んでいます。
▼インドネシア・ミャンマーで、日本の看護師資格を目指す人へ学習や就労を支援するものです。
▼来日して、県内の看護専門学校で学習します。
▼2026年、(2024年に看護専門に入学した)7人全員が准看護師試験に合格。
現在、全員が県内の医療機関で働いています。
京都府の支度金で誘致する取り組みです。
京丹後市は、
▼市立病院で新たに働く医師や看護師へ『支度金』を準備します。
▼3年以上の勤務を条件に、1人あたり150〜1000万円を渡します。
ただ、3年勤務しなかった場合は、全額返金を求めるということです。
(「羽鳥慎一モーニングショー」2026年6月30日放送分より)















