先月、ネットで公開され、話題となった「ジェンダーギャップチェックリスト」。
【映像】ジェンダー格差を感じる30代・女性の“生々しい”エピソード(実際の映像)
30の質問に答えることで、職場にどのような男女格差があるかを数値化し、その要因まで探れるという内容で、「定時の時間外で会議が開かれることが多い」「女性専用のトイレが整備されている」「飲み会やゴルフが仕事上の重要なコミュニケーションの場になっている」といった項目を採用や育成など各分野で4段階評価する仕組みだ。
公開後は想像を上回る反響があり、未だ大変な思いをしている人の多さを改めて示す形となった。産後の職場復帰や賃金格差など、女性の社会進出をめぐる課題は都市部でも地方でも根強く残っている。子どもを持ったことで昇進や賃金に不利益が生じる「チャイルドペナルティ」を感じる当事者も後を絶たない。
一方で、兵庫県豊岡市は、専門部署を設けて2018年からジェンダーギャップ解消に取り組み、公立小中学校教師への研修会や女性の就労支援など官民一体で実施してきた自治体もある。取り組みの結果、市役所の女性の管理職が4年で2倍以上になるなどの成果も現れ始めている。
『ABEMA Prime』では、都市部の職場でのチャイルドペナルティ、地方ならではのジェンダーギャップについて考えた。
■「最前線から異動に…」当事者が語るチャイルドペナルティ

第2子の育休復帰と同時に、会社の経営に関わる部署から成果を上げにくい部署へと一方的に異動させられたという、でこぴんさん(30代前半)は、「会社側としては出張のない仕事にという配慮だったが、自分はもともとの部署で頑張ろうと思っていたので晴天の霹靂だった」と話す。
異動についての交渉や事前の意思確認はなく「あなたはここですっていうような感じ」だったという。育休などの制度は整っているものの「その後の働き方はやっぱりセーブしようね」と、男性社員に同様の配慮はなく「男性はバリバリ働くのが会社の文化になっている」と説明する。
ジェンダー格差を研究をする、アジア経済研究所・主任調査研究員の牧野百恵氏は、チャイルドペナルティについて、「残業や出張が重要とされる職種では子どもが生まれることで格差が開き、チャイルドペナルティが大きくなる。日本はほぼ全ての職種においてこうした柔軟な働き方ができない状況なので、どうしてもチャイルドペナルティが起こりやすい」。
また、「放っておいたら家事労働は女性の仕事という思い込みが強いので、男女の家事労働時間を同等にするのは進まない。アメリカでチャイルドペナルティが解消された背景には男性の家事労働負担の増加がある」と続けた
■「子供生まれるのにまだ正社員で働くの?」地方ならではの固定観念

地方出身で現在は都内の会社で正社員として働くきらりさん(30代前半)は、出産で実家に帰省中、地元に住むいとこの女性から「子どもが生まれるのにまだ正社員でバリバリ働こうとしてるの?子供もかわいそうだし、もっと楽な仕事ないの?」と言われたという。「せっかく正社員で続けようとしているのに、そう言われてすごくもやもやした」と当時の心境を明かす。
そもそも地方に違和感を覚え始めたのは高校生の頃だった。「都会から転校してきた友人に、『都会ではバリバリ働いているお母さんも多いし、よそはよそ、うちはうちという考えがあるから、人のお母さんが働いているからどうとか気にしない』と聞いた時、私も都会の大学に出て都会で働きたいと思った」。
牧野氏は地方の状況について、「高校卒業後の進学や就職の場面で、女子は地元から通わせる、浪人は許さないといった家庭を普通に見聞きした。親や教師に悪気はないが、知らず知らずのうちに娘にはそんなに頑張らなくていいと言い、息子にはもっと頑張れと言ってしまう。こうした無意識の思い込みが将来の賃金格差にもつながることが経済学で実証されつつある。これは女の子だけでなく、競争したくない男の子にとっても不幸なことだ」と述べた。
■「社会規範の影響力の大きさに気づくことが第一歩」

働き方の選択と個人の自由についても議論が及んだ。「働きたくない、家にいたいという女性もいる。そこの個人の選択は尊重すべきではないか」という問いに対し、牧野氏は「個人の自由で強制できることではない。ただ、なぜそういう選択をするかは、おそらく内面化の一つの結果だと考えることも可能だ。女性はそんなに経済的に自立しなくていいという形で20数年間育ってきた結果として、起きている可能性がある」と答える。
また、社会規範とジェンダーギャップ、少子化の関係について、「男は外、女は家庭という社会規範が比較的小さい国は、女性の社会進出が進んでいて少子化もそこまで深刻ではない。一方、韓国、イタリア、スペイン、日本のように少子化が最も深刻な国は、女性の社会進出が進んでおらず、家事労働負担の男女格差も大きいという特徴がある。これが日本の少子化の最も大きな問題の一つだと思う」と語る。
そして、「一言で言うと、社会規範がジェンダー格差にもたらす影響力の大きさにみんなが気づくことが重要だ。チェックシートのように可視化していくことがとても大事だと思う」とした。
(『ABEMA Prime』より)