社会

ABEMA TIMES

2026年7月12日 09:00

「手書き離れが若者の老害化を招く」半数が"漢字を思い出せない"時代に…2030年デジタル教科書導入で加速?順天堂大教授が警鐘「前頭前野の機能が低下する可能性」

「手書き離れが若者の老害化を招く」半数が
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 日常生活でスマートフォンやパソコンが欠かせない存在となった現代、手書きで文字を書く機会は急速に減りつつある。

【映像】手書き→デジタル化で人間に起きてしまうこと(実際の映像)

 とある調査によれば、およそ半数の人が「最近、漢字を思い出せない」と回答。2030年度からは小学校にデジタル教科書が導入予定であり、今後さらに手書き離れが加速する可能性も指摘されている。

 そうした状況に対し、順天堂大学医学部の矢野裕一朗教授は「手書き文化の衰退が若者の老害化を招く」と警鐘を鳴らす。手書きとデジタルでは脳の使われ方が根本的に異なり、手書きの機会が失われることで前頭前野の機能が低下する可能性があるという。

 手書きは時代遅れなのか、それとも失ってはならないものなのか。『ABEMA Prime』では手書きの価値について考えた。

■「手書きとタイピングでは脳の使われ方が根本的に違う」

矢野教授

 矢野教授は「老外化とも繋がるぐらい手書きは大事」といい、「前頭前野という部分が感情のコントロールに非常に重要で、20代ごろまで発達した後、加齢とともに機能が低下していく。10代から20代にかけて本来発達しなければならないこの部分に阻害要因があると、機能が落ちるスピードが速くなる可能性がある。それが老害化につながりうる」と解説した。

 手書きとタイピングの脳への影響の違いについては、大きく2点を挙げた。1つ目は「物事を書く過程の違い」だ。「タイピングで『夏』と入力する場合はNATUと打って候補を選ぶだけだが、手書きの場合は『夏』という言葉を聞いた瞬間に、アイスクリームや海など夏に関するイメージが広がる中から意味にフォーカスが絞られ、視覚的なイメージとして脳内に浮かんでから書くという過程をたどる」。

 2つ目は「身体性の違い」だ。「タイピングは均一的な動作だが、手書きでは強弱をつけたり余白を調整したりと、空間認知的な能力や微細な運動が伴う。こうした違いにより脳の活性化パターンが異なることが、脳波を使った実験でも証明されている」と語った。

 その上で、デジタルの優位性も認める。「大学や学会ではAIやDXの推進役を担っている。膨大な情報を蓄積・整理する点ではデジタルが優れており、何か知りたいと思ったときにすぐ情報が得られることでドーパミンが活性化し、好奇心の連鎖につながるのもデジタルの良さだ。デジタルとアナログを両輪で回すことが大事だと考えている」と述べた。

■「0から1のアイデアは手書き、加速度的に進めるときはデジタル」

手書き→デジタル 進化する部分

 議論の中で実業家の岸谷蘭丸氏は、「0から1のアイデアを出すときは手書き、そこから加速度的に進めるときはデジタル」という使い分けの考え方を提示した。「新しい事業を考えるとき、手書きで整理することが多い。ペンの強弱が思考の整理につながる」。

 これに対して、文化通訳でシンガーソングライターのネルソン・バビンコイ氏は「自分はAIに話しかけてアイデアをイラストに起こしてもらうところからスタートする」と、構想段階からデジタルを活用するスタイルを明かした。「ホワイトボードは基本使いたくない。全部ドキュメントにしてから進めたい」。

 リザプロ代表の孫辰洋氏は「99.99%デジタル」と明かしつつ、中国語を入力する場合だけはスマートフォンの画面に手書きで漢字を書き、予測変換を使っている。「音声で入力して文字起こしさせる方が早い。メモ帳を持ったことがない」と、デジタルネイティブならではの感覚を示した。

 芸歴22年目のピン芸人でフリップネタをすべて手書きで制作しているエクソシストまーくんは、「もともと建築現場で働きながら芸をやっていた。現場のネタをフリップで書いてみようと始めたのがきっかけで、文字を見せることで観客に分かりやすく伝えられるようになった。手書きによってネタの見え方が変わった」と手書きにこだわる意味を実感として示した。

 矢野教授は最後に、「手書きを完全に捨ててしまうのではなく、脳の発達という観点からも、特に若い世代が手書きと向き合う機会を意識的に持つことが重要だ」と改めて訴えた。

(『ABEMA Prime』より)

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