社会

ABEMA TIMES

2026年7月12日 12:00

ムダ削減なぜ進まず?日本版DOGE 見直し120件中、廃止はわずか1件…元官僚「自分の担当案件を不要と言う奇特な奴はいない」

ムダ削減なぜ進まず?日本版DOGE 見直し120件中、廃止はわずか1件…元官僚「自分の担当案件を不要と言う奇特な奴はいない」
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 予算の無駄遣い解消を目的に、片山財務大臣を中心に立ち上げられた租税特別措置・補助金見直し担当室、いわゆる「日本版DOGE」。4月に厚労省・国交省・経産省・こども家庭庁など13の府省庁に、十分な効果が認められない減税措置や補助金がないか自己点検と結果の公開を要請していた。しかし、約120件ある案件のうち、廃止の方向が示されたのはわずか1件。片山大臣自身も「現時点での結果は、担当大臣として満足がいくものではない」と述べている。

【映像】「2位じゃダメなんですか?」事業仕分け時の蓮舫氏

 SNS上では「自民党がやっている時点でお察し」「自己点検で省庁が予算を手放すはずがない」「日本版DOGEは茶番」といった声が相次いだ。なぜ日本版DOGEは進まないのか。『ABEMA Prime』では、行政の無駄をどう削減していくかについて考えた。

■省庁の「自己点検」で廃止はたった1件に…

日本版DOGE

 日本維新の会で今回の見直しに関わる青柳仁士衆院議員は「1件だけという結果にはがっかりだ」としつつも、「第1ラウンドということで、国民のみなさんから削減のアイデアが3万7000件出てきた。これを省庁のみなさん自分たちで見直さないのかと1回突きつけてみた段階だ。本丸はこれから」と語る。

 今後の方向性として青柳氏は、補助金・基金・租税特別措置を「国民からお預かりしたお金を国民のために投資するもの」として再定義し、ゼロベースで見直す必要性を説く。「そのリターンは何か、本当に国がやらなければいけない事業か、どういう状況になったらその補助金をやめるのか、ポートフォリオはどうなのか、国民に対して透明性を持って説明できているか。こういったことを考え直そうと今提案している」と述べる。

 また、国の財政状況への危機感も示す。「政府は消費税減税で10兆円、防衛費増額で約6兆円、370兆円の官民投資と、お金を出す話しかしていない。マーケットが怖くなって円安・物価高・長期金利上昇につながっている。財政が健全化するための具体的な努力はこれしかないわけだから、しっかりやらなければいけない」と強調する。

 元経産省官僚の石川和男氏は、自己点検という座組そのものに根本的な問題があると指摘する。「自分の担当しているものが必要か不要かと問われて、『不要です』と言う奇特な奴はいない。自分でそういうことをやって次のポストで飛ばされた経験もある」と明かす。

 さらに構造的な問題として、租税特別措置が法律である点を挙げる。「役人の目線から言えば、自分たちは無駄ではないと言うが、もし本当に無駄だというなら国会で削減してくれということになる。予算は補助金・交付金として国会に上程され可決成立するものだし、租税特別措置も法律だ。省庁が自ら廃止を言い出しにくい仕組みになっている」と説明する。

 また、減税や補助金はもともと業界側の要望を受けて実現したものであり、守りたいという動機が働くと指摘する。「やめる理由を説明するのも大変で、作った時からの変化を言わなければならない」と分析する。

 打開策として石川氏が提案するのは、首相主導による数値目標の設定と、政治家同士による公開審査だ。「総理が『全体で1割削減、できなければ大臣クビ』ぐらいのことをやって数値目標を掲げ、細かいところは各省に削らせる。そうでなければ進まない」と述べる。また、民主党政権時の事業仕分けについては「政治家と官僚でやらせたのが問題だった。官僚に決定権はない。自民党と維新の会の議員を片側に並べて、反対側に大臣・副大臣・政務官を並べ、政治家同士でテレビカメラの前でやらせる。そういう見える化をしないと分からない」と具体策を示す。

■誰のための見直し?EXIT・兼近大樹「自分事じゃないことは全て無駄に見えてしまう」

事業仕分けとは

 名古屋商科大学大学院・教授の大槻那奈氏は、今回廃止となった1件の意味を冷静に分析する。「適用が0件だったものを1件廃止しても、歳出カットにはならない。使っていないから0が0になるだけで、全く意味がない」と指摘する。

 一方で、多く使われている補助金を廃止しようとすれば「こんなに使われているんだから理由がある補助金だ」と言えてしまう構造にも言及し、「本当はそこで効果検証をしなければいけないが、政府の方でほとんどやっていないのが残念なところだ」と述べる。効果検証については、政府自らではなく「国会という場でやるべきだ。決算委員会で査定できるはずなのに、ほとんど注目されない」と石川氏の見方に同調する。

 維新が進めてきた大阪府・市での削減実績について石川氏は、「府知事や市長は直接選挙で選ばれた大統領型のリーダーだったからこそできた部分が大きい。国の総理大臣は議員内閣制のため与党議員の意見を聞かざるを得ず、各業界団体に押された議員から言い返されてしまうという現実がある」と、地方と国の違いを率直に語る。

 EXIT・兼近大樹は、国と国民の間にある「無駄」の認識のずれを指摘する。「自分事じゃないことは全て無駄に見えてしまう。細かく見れば自分に関係ないことは全て無駄になってくる。国の評価軸はお金を集めた、企業に応援してもらったというものだが、国民全体の評価軸は税金を払わなくて済んだということ。このズレが大きすぎて、どこから手をつけたらいいかわからなくなっている。補助金を削減しても喜ぶのは関係ない人だけで、補助金が欲しいのはやはりその場にいる少数の人たちだから、慎重になった方がいい部分もある」と語る。

 青柳氏はこうした「自分事の人たちだけが動いていく仕組みがそもそもおかしい」と問題の本質を示した上で、「維新は租税特別措置の全廃を公約に掲げていた。税法の本則を変えずに政策的な優遇をどんどん積み上げていける仕組みがある限り、無限に増え続ける。やるなら法改正で本則を変えるのが本筋だ」と訴えた。 (『ABEMA Prime』より)

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