救急車のひっ迫が問題視される中、その課題を解決するために登場した新たなビジネスがある。起業したのは、元救急救命士だ。
株式会社パラメディックの釜祐樹代表は「救急出動の約5〜10%は転院搬送。病院から病院の搬送にも公的な救急車が使われている。容体が安定した方が次の病院に移動する時に、公的な救急車ではなく、病院の救急車や民間の搬送車両を使って搬送することで、119番の公的な救急車が現場に行くファーストタッチを早くすることができる」と話す。
病院で容体が安定した緊急性の低い患者を違う病院に民間の事業者が搬送することで、救急車を迅速に現場に向かわせるという発想だ。公的救急との違いは、救急救命士の同乗は義務づけられておらず、サイレンを鳴らして走行しない点などが挙げられる。
釜代表自身も、横浜で10年勤務していた元救急救命士。現役時代にはトラブルを経験したという。
「搬送しようとしたら『税金泥棒、搬送しろよ』と。その患者になぜ救急車を呼んだのか聞くと、『タクシーが捕まらないから呼んだ』と。現場の救急をやっている時は時間が限られて、伝えることも端的に伝えなきゃいけない。そういう意味ではトラブルが起きやすい環境」
民間救急ビジネスを立ち上げてみると、患者の容体も安定しているためトラブルはほぼゼロ。さらに救命士時代には体験できなかったこともあった。
「印象的だったのは人生最期の旅行をしたいという方、余命宣告も受けていて、その方が思い出の地を巡る時に、『何があるか分からない。最期の思い出を作るのを手伝ってくれないか』と。これは救急車とは全然違う。すごくやりがいがあるなと」
現在、民間救急の事業者は全国でおよそ300社。年々増加傾向にある。民間の患者搬送の需要が高まるのは、それだけ救急の現場が逼迫している証とも言える。
「心肺停止した方は1分遅れると10%くらい救命率が下がる。救急車は、何万人に1台の割合で配置する決まりの中で作られている。その 1台がいなくなると、そこの何万人に対してすぐに接触することが難しくなってしまう」
また、元看護師のNurse-Men代表の秋吉崇博氏も「1分1秒でも早く病院に運ばれて、治療を受けなければ命に関わる方々の優先順位がどんどん後回しになって、そこの判断をする救急隊の負担がすごく大きくなっていく。(救急隊は)呼ばれたら行くしかない。我々の連携を高めていくだけでなく、救急車を呼ぶ側が意識を変えていかない限り、ひっ迫は避けられない」と指摘した。
(『ABEMA的ニュースショー』より)