社会

ABEMA TIMES

2026年7月19日 16:45

学習指導要領「異性への関心」記述「教科書みて普通じゃないと悩んだ」トランスジェンダー当事者の教員が語る苦悩

学習指導要領「異性への関心」記述「教科書みて普通じゃないと悩んだ」トランスジェンダー当事者の教員が語る苦悩
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 小中学校の学習指導要領に「思春期には異性への関心も芽生える」と記されていることをめぐり、LGBTQの当事者らが表現の見直しを求める署名活動を展開した。

【映像】「自分は普通じゃない」トランスジェンダー女性の中学教員(顔出しあり)

 任意団体「教科書にLGBTを!ネットワーク」が中心となってオンライン署名を集め、4月からの3カ月でおよそ1万2000筆を集め、今月8日に文部科学省へ提出した。同団体の発起人は、当時の教科書について「非常にショックだった。普通から外れてしまったという思いが強く、隠さなければと思った。自分を否定し、間違っている人間なんだと思い続ける日々が続き、苦しかった」と語っている。署名では「異性」という語を「他者」に置き換えることを提案している。

 こうした動きに対しXでは「異性という書き方は変わってほしい」という賛同の声がある一方、「あれもこれも配慮しなくちゃいけなくなる」「親が教えればいい」といった反対意見も上がっている。

 学習指導要領の表現見直しが子どもたちにとってどのような意味を持つのか。『ABEMA Prime』では、署名活動に賛同したトランスジェンダー当事者の教員に話を聞いた。

■「自分は普通じゃないと苦しんだ」

 千葉県の公立中学校で教員を務めるトランスジェンダー女性の永井恵氏は、自身の経験を振り返り「中学生の時に自分の在り方にすごく悩んだ。当時は性自認という概念がなかったので、自分は体も男性で男性のことを好きになるから同性愛なんだという感覚で自分を認識するしかなかった。教科書の『異性に』というキーワードを見た時に、自分は普通じゃないんだ、自分の在り方は想定されていないんだと感じた。その時の苦しさや悩み、無力感の根本が指導要領の記述にある」と語る。

 学習指導要領を変えることの意味について、「私たち教員が授業を作るときの根拠、発端にあるのが学習指導要領だ。授業作りに悩んだり迷ったりした時に立ち返るのが指導要領とその解説。そこで異性愛以外の在り方についてきちんと取り上げておくことは、全国の教員が授業作りをする上で法的根拠のような強い意味合いを持っている」と与える影響の大きさを強調する。

 現状については、すでに一部の教科書では性の多様性に関する記述が取り入れられていることも示された。大日本図書の小学校保健体育の教科書には「気になったり好きになったりする相手が異性の場合もあれば同性の場合もあって好きの形も様々です」と記され、東京書籍には「異性など他の人が気になる」という表現が使われているという。ただし永井氏は「性的マイノリティそのものの取り上げ方は、本文ではなくコラムという形にとどまっている教科書がまだまだ大多数だ」と指摘する。

■「日本は揺り戻す余地がないくらい進んでいない」

 教員の研修についても議論が及ぶと、永井氏は「教員になるにあたって、性の多様性についてきちんと学んできた経験があるという先生はまだまだ割合として低い。文部科学省が定める教員養成課程のカリキュラムの中にすら位置づけられていないのが実際だ。先生たちが正しく知った上できちんと教えられる状態を作っていくことが大事で、そのための研修は不可欠だ」と説明する。

 そして、「学校教育は保健体育科だけで成り立っているわけではなく、道徳、社会科の公民分野、英語など様々な教科書の登場人物に多様性が盛り込まれてきている。残念ながら日本は、揺り戻す余地がないくらい進んでいないのが現実だと思う。こういった変化を少しずつ進めながら、学校の中だけでなく地域、保護者も含めて理解を得ながら教育を進めていくことが大切だと改めて考えている」とした。

(『ABEMA Prime』より)

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