社会

ABEMA TIMES

2026年7月21日 11:00

新たな無差別殺人を防いだのは「元死刑囚の知人」秋葉原無差別殺傷事件を身近に知る者がとった行動と葛藤「彼を救ったとは思っていない」

新たな無差別殺人を防いだのは「元死刑囚の知人」秋葉原無差別殺傷事件を身近に知る者がとった行動と葛藤「彼を救ったとは思っていない」
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 富山県の男が無差別殺人を計画したとして、殺人予備の疑いで逮捕された。男は物価高による生活苦で死にたいと思ったと供述し、東京で無差別殺傷を起こせば射殺されるか死刑になると考えていたと明かした。逮捕のきっかけとなったのは、ある個人からの警察への通報だった。

【映像】大友さんと容疑者、逮捕前に行った実際のやりとり

 通報したのは保護司の大友秀逸さんだ。2008年に7人が死亡した秋葉原無差別殺傷事件を引き起こした加藤智大元死刑囚の友人・同僚であり、事件をきっかけに保護司となって情報発信を続けている。大友さんのXに男からリプライが届き、その後はDMでのやり取りに移行し、「片道切符で東京へ行く」というメッセージが届いた時点で大友さんは通報を決断。大友さんが警察に情報提供したところ、男はリュックにナイフを所持していたとされ、実行前に逮捕された。『ABEMA Prime』では、警察でも行政でもない一個人として、男と向き合い続けた大友さんとともに、現代社会のあり方を考えた。

■SNSでやりとり、事件化の可能性を感じ通報へ

大友秀逸さん

 男が大友さんに連絡してきた理由は、『ABEMA的ニュースショー』で秋葉原事件が特集され、大友さんがVTRに出演したことがきっかけだったという。。大友さんは「秋葉原事件に興味があって自分に連絡してきている。加藤智大の友人で同僚ということで連絡してきたというのは確実」と述べる。

 ある日、男がリプライで「秋葉のように楽しくやってタヒもいいかとよく思うようになりました」と、死をほのめかす内容を送ってくると、その後はDMに切り替えた。やり取りを重ねる中で通報に踏み切ったのは、「片道で行きます」という言葉がきっかけだった。大友さんはストレートに「それは犯罪をするということで言っているのか」と尋ねたという。「今まで連絡してきた人に質問すると『やってやる』とか、駅名出したり犯行方法を述べたり、『いや、もうやりませんから通報は絶対やめてください』というように、0か100かの対応だった。ただ今回は、『差し控えさせていただきたい』という返答で、それは初めてのリアクションだった」と語る。

 さらに、相手のアカウントのフォロー先や過去の投稿も確認していた。「イライラしている表現や、近所の方に危害を加えるようなことを読み取れる発言が過去にもあった。かなり高い確率で(事件を)起こしそうだと思った」と説明する。当初ネットの相談窓口が土日・夜間は休みだったため、翌日昼に地元の警察署に電話し、富山県警に繋いでもらう形で通報した。

 男が逮捕されたという連絡を受けた時、大友さん自身も罪状が思い浮かばなかったという。「僕は脅迫されてないし、特定のビルを爆破するとかいうことも言っていない。何の罪状も思いつかなかった」と振り返る。

 そして、通報したことへの複雑な思いを吐露した。「僕の感覚では、本来パソコンはボタンを押して電源を落とすところを、電源コードごと引き抜いて落としたような感覚。本人も、止めてもらったというよりも、わけがわからないままいきなり警察が来て、『大友が通報したのか』という驚きが勝っていると思う」と述べる。

 逮捕された男について「(犯行の)宣言はそうだったかもしれないが、それが救いを求めていたという可能性は全然ある。本当はそこのやり取りをしたかったが、それがすっ飛ばされて捕まってしまった」と話す。なお大友さんは、今回の動きはあくまで個人として行ったものであり、保護司として関与したわけではないことも強調した。

■「逮捕されたから救ったとは思っていない」

接触から逮捕まで

 今回の結末について、大友さんは「救った」とは言い切れないという立場をとる。「やるつもりはなかった可能性はゼロではない。現場に行ったけれど、最後に『もうできない』とバスで帰ったかもしれない。だから結果、逮捕されてしまったから救ったとは思っていない」と述べる。

 大友さんが描いていた理想の関わり方は、じっくり時間をかけて対話を重ね、事件につながりそうなら予防的に止めていくというものだった。しかし今回はメールが届いてから逮捕まで12日間、往復8〜9回のやり取りしかできなかった。「本当ならば、時間をかけてゆっくりと予防したかった。『東京に出てきたら飯でも食おうよ』と言っていたのに。彼がどこに着地するかまでが僕の結論だと思うので、まだ始まってもいない話」と語り、逮捕された男と早く直接会って話したいという思いを繰り返し口にした。

 行政や警察の限界についても言及した。「法律は人を救うが、法律が人を排除もしてしまう。自ら行政につながれないという人もいる。そうすると、おせっかいな僕みたいな人間が手を携えてやるしかない。やるしかないからやってきたし、これからもやっていく」と力を込める。

 今回の通報が今後、大友さんへの相談のハードルを上げてしまうかもしれないという懸念も話題に上った。それでも大友さんは「来たら同じようにやる。僕が救う必要はないし、救っているとも思っていない。誰かがやればいい。無差別殺人をなくしたいという信念で、形が変わっていっても続けていく」と語った。逮捕された男の今後については「彼の人生は間違いなく変わった。引き金を引いたのは自分で、通報した責任がある。彼がこれからどう生きていくか。選択肢があって、それを一緒にやれるならいい。まだそれは自分一人で言っている一人よがりだから、早く会いたい」と述べた。 (『ABEMA Prime』より)

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